第31話 クローン兵投入

文字数 1,150文字

 更に半年が経過した。
 その間に、巨人が攻めてくることは一度もなかった。

 アトランティス大陸は赤道近くにあるため年中温暖だ。
 後世、バミューダ海域と言われる地域である。

 しかし、時折一時的に狭い範囲で冷える現象が発生するようになった。
 人里離れた場所であったため、特に被害者はでず原因不明のままであった。

 政府がクローンの開発を正式に発表し、軍事への投入と各家庭の家政婦として販売を始めた。
 アトランティスの国民は歓迎した。
 戦での犠牲者の減少と家事の軽減になるからだ。

 そして、兵の装備も新素材の開発で軽くて丈夫な防具の製造ができるようになり、旧式はクローン兵に与えられた。
 北方のアソ地区へ300体ものクローン兵が駐屯部隊に加わった。
 今では拠点の建物も増築し、アトランティス人300人、クローン兵300体の態勢となっている。

 私も17歳になった。



 その1ヶ月後、巨人の侵攻開始の報が偵察舟から知らせがあった。
 今回も500人規模とのことで、首都から900人の増援が送られた。
 銃剣の光弾も威力を増すのに成功しており、勝利は確実と予想されていた。

 しかし、開戦初日にまたも砦まで撤退との報が届くと政府は驚いた。
 報告では、巨人がクロスボウ部隊を投入し、遠距離での攻撃であっという間にクローン兵の半分が倒されたというものだった。
 両手200人、片手200人、クロスボウ100人の構成とも報告にあった。

 1年3ヶ月ぶりの戦であったこと、新しい開発、クローン兵の投入で敵を甘く見ていたのも敗因であった。
 政府は急いで他の東のコチ地区、西のソコ地区から急いで300人をアソ地区へ向かわせた。

 首都では、アーク兄さまが、
「今回は俺たちが行くぞ」
 と言って150人もの近衛隊を引き連れアソ地区へ向かっていった。



 翌日の再侵攻での砦戦では、相手のクロスボウ部隊の性で、砦上の配備したアーク兄さまの部隊が支援射撃が思うようにできない状態であった。

 そこでクローン兵をクロスボウ部隊に特攻させ盾にして反撃し、拮抗状態にまで押しやった。
 そうなると支援射撃も出来るようになり、巨人族は国へ撤退していった。

 が、アトランティス軍の被害も多かった。
 当初、駐屯部隊300+クローン兵300+援軍900の総勢1500人。
 当日の夕方に、東のコチ地区、西のソコ地区から300人、アーク兄さまの近衛隊150人の総勢、1950人もの大人数で打ち勝ったのだが、犠牲者がクローン兵250体、アトランティス兵も200人の死者がでた。重傷者は100人、軽症者多数と酷い有様となった。

 アーク兄さまの近衛隊にも犠牲者がでた。
 クロスボウの威力が甚大で、10人が亡くなった。

 勝利こそしたものの巨人族の強さは、まだまだ計り知れなかった。
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登場人物紹介

アトランティス王家最後の第二王女で、本作の主人公

ラムディア・ラァ・アトランティック

「皆さま、どうかアトランティスの悲劇を現文明で繰り返さないようお願いします」

アカシック王

アトランティス滅亡を防ぐため降臨した救世主(メシア)

「愛とは奪うものではなく与えるものである。爽やかに吹き渡る風のように」

「創造神は人に完全なる自由を与えた。しかし自由には責任が伴うのだ」

後世、イエス・キリストとして降臨する。

アモン(第一王子)

アカシック王の後継者。

アカシック王の第一子。

性格は温厚で優しく、遠視や未来を視る能力を持つ。

重要な役割を負うことになる。

ラファティア(第一王女)

アカシック王の2番目の子で、巫女を務める。

能力が高く結界の守護者。

性格は早くに亡くなった母のように母性の高く思いやりに満ちている。

アーク(第二王子)

アカシック王の3番目の子で、近衛隊長を務める。

性格は正義感が強いが、気性が少し荒い。

曲がったことが嫌い。

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