第2話 晩餐

文字数 1,410文字

 その後、王家一族での晩餐(ばんさん)となった。

 一番奥の上席には、父のアカシック王(46歳)
 左側の奥には、長兄のアモン兄さま(24歳)
 左側の2番目には、次兄のアーク兄さま(19歳)
 右側の奥には、長女のラファティア姉さま(21歳)
 右側の2番目には(ラムディア)(16歳)

 食事の準備や配膳している者は、すべて王家の血が入っている。
 王宮と水晶神殿には、王族の者でないと入れない。
 ここは聖域であるため、古代より結界が張ってある。

 配膳が終わり、食事に入ることになった。
 お父様(アカシック王)が、トート神への祈りを始める。
 それに私たちも続いて唱和した。
「偉大なる先祖であり、神であるトートよ。本日もアトランティスは平和な一日で終わりを迎えようとしております。これも、トート神の加護の賜物です。感謝申し上げます」

「さぁ。みんな食事を始めよう」
 とお父様の言葉で、食事に入る。

 食事中でも、いろいろな報告や情報交換をしている。
 家族で集まる食事の時間は、恰好(かっこう)の機会なのだ。

 長兄のアモン兄さまからは、
「バレンスタイン宰相、軍最高司令官ガハル、科学技術長のマシュロンが、何やら怪しげな開発や実験を行っているという話を聞きしました。詳細は解りませんが、またご報告いたします」

 長女のラファティア姉さまは、
「本日も結界には、異常はありませんでした」

 次兄のアーク兄さまからは、
「本日の近衛隊の訓練もシルバー殿の指導の元、しっかりとされました」
 とそれぞれ報告があった。
 アーク兄さまは、近衛隊の隊長なのだ。

 その後、アーク兄さまから、
「ラム、珍しく修練場に姿を現さなかったな。いつもは卒先(そつせん)して兵の指導にあたるのに。なんかあったのか?」

「いえ。少し私なりにいろいろと考えたくなりまして、歴史資料館で改めてアトランティスの歴史を振り返っていました」
 と答えた。

「ほう! それは珍しいこともあるもんだ。あっはっははは」
 と笑われてしまった。

「アーク兄さま、わたくしでも勉学はしっかりしていますわ」
 と口をぷくっと膨らませて文句を言った。

「それは悪かったな。修練に来なかったのがあまりに珍しかったのでな。少しからかってみたのさ」
 と素直に詫びてくれた。
「それで、どこまで観たんだ?」

「丁度、ムーからの避難民の受け入れとピラミッドのエネルギー技術の継承までです。明日も続きを観てこようと思います」

「まぁ、いいんじゃないか。ただ、身体がなまるぞ」

 ラファティア姉さまから、
「時には歴史を振り返るのも大切ね。でも突然どうしたの?」
 と質問があった。

「不思議なのですが朝、神殿でお祈りをしていましたら、何故かそうすべきだと閃いたのです」

「そうなのね。そういうインスピレーションは大切にして従うといいわ。あなたは心が()んでいるから信用しているわよ」

「ありがとうございます。ラファ姉さま」

 お父様も満足そうであった。
「前々からみなにも話をしていたが私はトート神から啓示を受けた。今の王家は国家の象徴でしかないが私は今後、王宮前広場にてアトランティスの民に説法を始めようと決めた。皆も手伝ってくれるな」

 一同が即、賛同した。

「皆には食後に、神殿で簡単に話をしておこうと思うが時間はあるか?」

 兄弟姉妹一同が、
「問題ございません。是非、ご教授くださいますようお願い申し上げます」
 と答えた。

 晩餐後に2時間ほどお父さまから説法をお聞きし就寝前のお祈りを済ませると、みなも眠りについた。
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登場人物紹介

アトランティス王家最後の第二王女で、本作の主人公

ラムディア・ラァ・アトランティック

「皆さま、どうかアトランティスの悲劇を現文明で繰り返さないようお願いします」

アカシック王

アトランティス滅亡を防ぐため降臨した救世主(メシア)

「愛とは奪うものではなく与えるものである。爽やかに吹き渡る風のように」

「創造神は人に完全なる自由を与えた。しかし自由には責任が伴うのだ」

後世、イエス・キリストとして降臨する。

アモン(第一王子)

アカシック王の後継者。

アカシック王の第一子。

性格は温厚で優しく、遠視や未来を視る能力を持つ。

重要な役割を負うことになる。

ラファティア(第一王女)

アカシック王の2番目の子で、巫女を務める。

能力が高く結界の守護者。

性格は早くに亡くなった母のように母性の高く思いやりに満ちている。

アーク(第二王子)

アカシック王の3番目の子で、近衛隊長を務める。

性格は正義感が強いが、気性が少し荒い。

曲がったことが嫌い。

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