第38話 象徴-黄金のシャチ-
文字数 1,231文字
我がアトランティスには、至るところに黄金のシャチが飾られている。
王城、城壁、神殿、城門、街の広場などに描かれてあったり彫刻が設置されている。
これはトート神がお生まれになったことに起因している。
トート様のお母様のマイーシャ様が、海から黄金の大きなシャチがアトランティスに向かってくる夢を見た日につわりが起こったことから、金色のシャチが国の象徴とされるようになった。
神殿の入り口にもあるが、祭壇にも黄金のシャチが描かれている。
『我が先祖にして偉大なトート神よ。お父様がトート神から啓示を受けられて以来、アトランティスを救おうと懸命に活動されているのに、何故あのような反対運動が起こるのでしょうか?』
感謝の祈り、今日の皆の無事を祈ったあと、そう問いかけた。
しかし、答えは返ってこない。
『このままではアトランティスが滅びてしまう。国民の全員が死に絶えてしまう。私は、どうすれば良いのでしょうか?』
と解かってはいても、問いかけてしまう。
「ラム。あまり思い詰めてはいけないわよ」
後ろから声をかけられた。
もちろん、ラファティア姉さまだ。
「お父様があれほどアトランティスを滅亡から救おうとされているのに、何故わかってもらえないのでしょうか?」
ついラファティア姉さまに問いかけてしまった。
「悲しいことよね。人はね、そう簡単には変われないのよ。今までの生き方、価値観があるからね」
と優しく答えてくれた。
「私は悔しいです!」
と言うと涙が出てきた。
ラファティア姉さまに抱き着く。
ラファティア姉さまが、私の背中まで手をまわし抱きしめてくださった。
「ラム。あなたは、本当に真っ直ぐで信仰深く生きてきたわね。とても立派よ。"私の妹よ!"って自慢できる子よ」
と頭を撫ぜてくれた。
そして、
「私たちはお父様を支え、守っていく。地道だけど、それをずっと貫くのは大変なことよ。お父様が活動を開始してから2年近く経つけど、頑張ってきたじゃない!」
「でも、でも! 悔しいのです」
とラファティア姉さまに甘えた。
「最初、お父様のご法話を聞きに来たのは1万人だった。でも今では8万人よ。10万人が入れる広場がいっぱいになる日は、そう遠くはないわ。大丈夫! ちゃんと国民も徐々にだけど目覚めてきている。ラム、これからも一緒に頑張りましょうね」
と私の気の済むまで抱きしめていてくれた。
*
「ラファ姉さま。ありがとうございました。お恥かしいところをお見せしました」
と感謝とともにお詫びした。
「いいわよ。たまには可愛い妹が甘えてくれるのも幸せよ」
とニッコリ微笑んでくれた。
慈愛に満ちた優しい姉。
尊敬している。
そして、今では精神修行の師匠でもある。
「さて、今日の午後も精神修行頑張ろうね!」
とウィンクしてくれた。
「はい! ラファ姉さま。剣の修練に行って参ります」
と神殿から出て、修練場へ向かった。
その背中で、神殿内の黄金のシャチが一層輝いていたことに誰も気づかなかった。
王城、城壁、神殿、城門、街の広場などに描かれてあったり彫刻が設置されている。
これはトート神がお生まれになったことに起因している。
トート様のお母様のマイーシャ様が、海から黄金の大きなシャチがアトランティスに向かってくる夢を見た日につわりが起こったことから、金色のシャチが国の象徴とされるようになった。
神殿の入り口にもあるが、祭壇にも黄金のシャチが描かれている。
『我が先祖にして偉大なトート神よ。お父様がトート神から啓示を受けられて以来、アトランティスを救おうと懸命に活動されているのに、何故あのような反対運動が起こるのでしょうか?』
感謝の祈り、今日の皆の無事を祈ったあと、そう問いかけた。
しかし、答えは返ってこない。
『このままではアトランティスが滅びてしまう。国民の全員が死に絶えてしまう。私は、どうすれば良いのでしょうか?』
と解かってはいても、問いかけてしまう。
「ラム。あまり思い詰めてはいけないわよ」
後ろから声をかけられた。
もちろん、ラファティア姉さまだ。
「お父様があれほどアトランティスを滅亡から救おうとされているのに、何故わかってもらえないのでしょうか?」
ついラファティア姉さまに問いかけてしまった。
「悲しいことよね。人はね、そう簡単には変われないのよ。今までの生き方、価値観があるからね」
と優しく答えてくれた。
「私は悔しいです!」
と言うと涙が出てきた。
ラファティア姉さまに抱き着く。
ラファティア姉さまが、私の背中まで手をまわし抱きしめてくださった。
「ラム。あなたは、本当に真っ直ぐで信仰深く生きてきたわね。とても立派よ。"私の妹よ!"って自慢できる子よ」
と頭を撫ぜてくれた。
そして、
「私たちはお父様を支え、守っていく。地道だけど、それをずっと貫くのは大変なことよ。お父様が活動を開始してから2年近く経つけど、頑張ってきたじゃない!」
「でも、でも! 悔しいのです」
とラファティア姉さまに甘えた。
「最初、お父様のご法話を聞きに来たのは1万人だった。でも今では8万人よ。10万人が入れる広場がいっぱいになる日は、そう遠くはないわ。大丈夫! ちゃんと国民も徐々にだけど目覚めてきている。ラム、これからも一緒に頑張りましょうね」
と私の気の済むまで抱きしめていてくれた。
*
「ラファ姉さま。ありがとうございました。お恥かしいところをお見せしました」
と感謝とともにお詫びした。
「いいわよ。たまには可愛い妹が甘えてくれるのも幸せよ」
とニッコリ微笑んでくれた。
慈愛に満ちた優しい姉。
尊敬している。
そして、今では精神修行の師匠でもある。
「さて、今日の午後も精神修行頑張ろうね!」
とウィンクしてくれた。
「はい! ラファ姉さま。剣の修練に行って参ります」
と神殿から出て、修練場へ向かった。
その背中で、神殿内の黄金のシャチが一層輝いていたことに誰も気づかなかった。