第13話 奇跡
文字数 1,883文字
翌日9時30分になると修練場に向かった。
アーク兄さまとシルバーに挨拶を済ませ、配下のところに向かった。
もうみな来ていた。
シャレムまで左腕にギブスをして来ていたのには驚いた。
「シャレム! あなたは怪我を治すことが先決よ。帰宅してね」
と言うが、首を横に振った。
「ラムディア様、何も出来ないとは思いますが居させてください。お願いいたします」
と真剣な目で訴えてきた。
「わかったわ。その代わり、午前中だけよ」
「かしこまりました」
*
私の配下のみんなを集め、実戦の話をした。
まず私が簡単に説明し、シャレムが感想を述べた。
続いてシャレム隊からも、遠目から見ていたのを知っていたので話をさせた。
「え? 姫様、お気づきだったのですか?」
「シャレムをあんなタイミング良く迎えに来るのだから、見ていたのだろうって思っただけよ」
「あ!」
「自白しちゃったわね」
と笑いかけてあげた。
その後、シャレムが気絶した後の話は私からした。
みな、それぞれの感想も言い合って、午前は終了となった。
「シャレム隊は、今日は私が訓練をするわよ」
とだけ伝えておいた。
*
実はお昼前に、私のところにお父様の使いの者が来ていたのだ。
なんとお父様が修練場までおいでになっているとのことで、シャレムを連れてくるように伝言があった。
シャレムにそれを伝え、一緒にお父様に居る部屋に向かった。
「王様が私に直接、お会いくださるなんて夢のようです。お叱りを受けることになっても、私は幸せです」
と少し危ない言葉まで発していた。
部屋の前まで来ると、護衛の者がドアの前からどいてくれた。
ドアをノックし、
「お父様、ラムディアです。シャレムを連れて参りました」
「待っていたよ。入っておいで」
と直ぐに返事が返ってきた。
素直に中に入る。
シャレムは凄い緊張していた。
お父様がシャレムに向かって温かな笑顔で、
「シャレム。娘を助けてくれて、ありがとう。君がいなければ、最初から巨人とこの子は2:1で戦闘しなくてはならなかった。だから、ありがとう」
「いえ。勿体ないお言葉‥‥こちらこそ真っ先に気絶してしまい、姫様をお守りすることができませんでした」
「そんなことはない。最初から2:1だっから、この子は殺されていたよ」
と言葉をかけていた。
シャレムが感動して涙を流している。
「さぁ、シャレム。そこに横になりなさい」
とベットに横たわるように指示をした。
「そんな失礼なことは出来ません」
「いいのだよ。さぁ早く」
と慈愛に満ちた言霊だった。
「はい。それでは失礼いたします」
とベットの上に仰向けになった。
私も少し離れて、様子を見ていた。
お父様は、シャレムに近づくと、
「シャレム。あなたは、トートの神を信じますか?」
と問うたのだ。
シャレムは迷いなく、
「はい。私はトート神を心から信じております」
と返事をすると、お父様も満足げな表情となった。
そして慈愛に満ちた顔に変わり、祈り始めた。
「我が先祖にして偉大なるトートの神よ。あなたの愛を癒しの力に変えこの者の怪我を癒したまえ」
と、手で空を仰いだあとその手をシャレムの左腕にあてた。
お父様の手から白い光が広がり、シャレムの左腕を包んだ。
「うん。もういいぞ」
と言うと、シャレムから離れた。
シャレムが不思議そうな顔をすると、何を思ったのかギブスを外し始めたのだ。
「シャレム、無茶しちゃダメよ」
と声を掛けるが、気にせずそのまま外してしまった。
そして、腕を普通に動かしているのだ。
見ると、怪我の跡すらない!!
『え? 何が起こったの?』
私は信じられないものを見てしまった。
なんと怪我が完全に治るどころか、元の綺麗な肌に戻っているのだった。
「お父様‥‥今、起きたことは‥‥いったい何だったのでしょうか?」
シャレムも同じ顔をしていた。
「この者が、心からトートの神への信仰を持っていた。だからトートの癒しの光がこの者の怪我を治したのだよ。もし口先だけの言葉だったなら、こうはならなかった」
と満足気な顔をしていた。
「き‥‥奇跡です!!」
「奇跡だわ」
と私とシャレムは同時に言葉を発していた。
「怪我は治ったがシャレム、今日は帰宅なさい」
とお父様がシャレムに言葉をかけると退室していった。
その後ろ姿に向けシャレムが、
「王様! 本当にありがとうございました。私は今後もこの命に代え王様を、ラムディア様を、アトランティスをお守りすることをお誓いいたします!」
と涙を流しながら宣言した。
お父様は振り返ると、
「よろしく頼むよ」
とだけ言い残し、王宮に帰って行った。
アーク兄さまとシルバーに挨拶を済ませ、配下のところに向かった。
もうみな来ていた。
シャレムまで左腕にギブスをして来ていたのには驚いた。
「シャレム! あなたは怪我を治すことが先決よ。帰宅してね」
と言うが、首を横に振った。
「ラムディア様、何も出来ないとは思いますが居させてください。お願いいたします」
と真剣な目で訴えてきた。
「わかったわ。その代わり、午前中だけよ」
「かしこまりました」
*
私の配下のみんなを集め、実戦の話をした。
まず私が簡単に説明し、シャレムが感想を述べた。
続いてシャレム隊からも、遠目から見ていたのを知っていたので話をさせた。
「え? 姫様、お気づきだったのですか?」
「シャレムをあんなタイミング良く迎えに来るのだから、見ていたのだろうって思っただけよ」
「あ!」
「自白しちゃったわね」
と笑いかけてあげた。
その後、シャレムが気絶した後の話は私からした。
みな、それぞれの感想も言い合って、午前は終了となった。
「シャレム隊は、今日は私が訓練をするわよ」
とだけ伝えておいた。
*
実はお昼前に、私のところにお父様の使いの者が来ていたのだ。
なんとお父様が修練場までおいでになっているとのことで、シャレムを連れてくるように伝言があった。
シャレムにそれを伝え、一緒にお父様に居る部屋に向かった。
「王様が私に直接、お会いくださるなんて夢のようです。お叱りを受けることになっても、私は幸せです」
と少し危ない言葉まで発していた。
部屋の前まで来ると、護衛の者がドアの前からどいてくれた。
ドアをノックし、
「お父様、ラムディアです。シャレムを連れて参りました」
「待っていたよ。入っておいで」
と直ぐに返事が返ってきた。
素直に中に入る。
シャレムは凄い緊張していた。
お父様がシャレムに向かって温かな笑顔で、
「シャレム。娘を助けてくれて、ありがとう。君がいなければ、最初から巨人とこの子は2:1で戦闘しなくてはならなかった。だから、ありがとう」
「いえ。勿体ないお言葉‥‥こちらこそ真っ先に気絶してしまい、姫様をお守りすることができませんでした」
「そんなことはない。最初から2:1だっから、この子は殺されていたよ」
と言葉をかけていた。
シャレムが感動して涙を流している。
「さぁ、シャレム。そこに横になりなさい」
とベットに横たわるように指示をした。
「そんな失礼なことは出来ません」
「いいのだよ。さぁ早く」
と慈愛に満ちた言霊だった。
「はい。それでは失礼いたします」
とベットの上に仰向けになった。
私も少し離れて、様子を見ていた。
お父様は、シャレムに近づくと、
「シャレム。あなたは、トートの神を信じますか?」
と問うたのだ。
シャレムは迷いなく、
「はい。私はトート神を心から信じております」
と返事をすると、お父様も満足げな表情となった。
そして慈愛に満ちた顔に変わり、祈り始めた。
「我が先祖にして偉大なるトートの神よ。あなたの愛を癒しの力に変えこの者の怪我を癒したまえ」
と、手で空を仰いだあとその手をシャレムの左腕にあてた。
お父様の手から白い光が広がり、シャレムの左腕を包んだ。
「うん。もういいぞ」
と言うと、シャレムから離れた。
シャレムが不思議そうな顔をすると、何を思ったのかギブスを外し始めたのだ。
「シャレム、無茶しちゃダメよ」
と声を掛けるが、気にせずそのまま外してしまった。
そして、腕を普通に動かしているのだ。
見ると、怪我の跡すらない!!
『え? 何が起こったの?』
私は信じられないものを見てしまった。
なんと怪我が完全に治るどころか、元の綺麗な肌に戻っているのだった。
「お父様‥‥今、起きたことは‥‥いったい何だったのでしょうか?」
シャレムも同じ顔をしていた。
「この者が、心からトートの神への信仰を持っていた。だからトートの癒しの光がこの者の怪我を治したのだよ。もし口先だけの言葉だったなら、こうはならなかった」
と満足気な顔をしていた。
「き‥‥奇跡です!!」
「奇跡だわ」
と私とシャレムは同時に言葉を発していた。
「怪我は治ったがシャレム、今日は帰宅なさい」
とお父様がシャレムに言葉をかけると退室していった。
その後ろ姿に向けシャレムが、
「王様! 本当にありがとうございました。私は今後もこの命に代え王様を、ラムディア様を、アトランティスをお守りすることをお誓いいたします!」
と涙を流しながら宣言した。
お父様は振り返ると、
「よろしく頼むよ」
とだけ言い残し、王宮に帰って行った。