第58話 北方拠点の再建
文字数 1,604文字
アチ地区の拠点現場で、首都から派遣された建築関係の者たちが会話を交わしていた。
「しかし、なんて大きな砦なんだ」
「奴らは身長が平均5メートルもあるからな。そりゃ建てるものも大きくなるさ」
「無傷で奪還したから、この砦もこのまま使いたいけど‥‥これは無理だな」
「扉がドデカく重い、これでは開閉できない」
「それでけではないさ。見てみろよ。こんな隙間だらけのガラクタだぞ?」
「科学技術力が圧倒的違うからな。無理もないさ」
「まぁしばらくは、この砦はそのままにして中の建物を壊して、アトランティス用に再建しないとな。神殿も立て直さないといけない。発電ピラミッドは‥‥首都からコア部分は送ってもらわないと無理だが」
「墓地も奴らは破壊して畑にしやがった! なんて奴らだ。許せん!!」
「それが完成したら砦を再建して、その次は第2拠点の再建か。これは大変だ」
「重力無効化技術がなかったら、お手上げだったな」
「本当に存在したのかわからんが、トートの神様に感謝しないとな。なんと言っても開発したのがトート神と伝わっているんだから」
「本当に存在したのかね。地上にトート神は‥‥」
「王家がその末裔なのだろう? 現王のアカシック王、アモン王子。このお二人はあきらかに、この何代かの王家の方々とは違う。それは分かる」
「うちの嫁さんなんが、もうアカシック王の教えに心酔しているよ。でもちゃんと家事や育児も手を抜かない。いや教えに触れる前よりも良くなっている」
「そうなんだよ。以前までは俺が帰宅しても、”おかえり”とは言ってくれていたが、今では玄関まで迎えに来てくれて”今日もお疲れ様でした。ありがとう”って言ってくれるようになったんだぜ」
「アカシック王が活動されてから信じる者が増えてきた。その信じる者たちは常識を維持しつつ精神的に‥‥なんて言うのかな。向上している、成長しているって感じがする。だから俺もアカシック王を信じるようになったよ」
そう会話していると、
「お前ら、サボっていてはダメだぞ」
上司が来て、叱られてた。
「あと、なんだって? アカシック王が立派だ? あんなのペテン師だぜ。信じるなよ」
そう言って上司が去っていった。
みんなは『困ったね』と目で会話をして仕事を再開し始めた。
*
北方の国グリーンラッド。
ラグナロク王も今回の件では冷静でいられなかった。
折角、アトランティスの北方を手に入れ、温暖な土地で食糧生産し本国に持ってくることができ国民も喜んでいた。
たった1日で、すべてを失ってしまったのだ。
軍人も500人常駐させていたが、ほぼ全滅。
食糧生産のために送り込んだ一般国民さえ犠牲になってしまった。
逃れてきた少数の話を聞くと、不思議な雪がいきなり降りだしてきて、寒さに慣れている我らでさえ凍死してしまうか、凍えてろくに動けなくなれてしまったと言うのだ。
『アトランティスの小人どもは、なんと恐ろしいものを使ってきたのだ。これでは攻めようがないではないか! 今後、またアトランティスの一部を占領したとしても同じことをされてしまっては対抗しようがない』
忸怩 たる思いであった。
好戦的な巨人族も今回のことでは流石に肝が冷えたようで、アトランティスへ反撃しようという声はほとんど上がってこなかった。
『どうするか? 不思議な雪への対抗策を練って再侵攻するか、それともアトランティスへの侵攻を止めるか‥‥いや、そんなことは出来ない。あの温暖な領土は欲しい!』
『今は兵士も大人しいが時が過ぎれば、好戦的な本性を抑えられなくなる。一旦、手にしたあの土地、食糧生産で豊かになれることを味わってしまうと諦められない!』
心の中での葛藤 が続いていた。
*
こうして巨人族が大人しくしている間に、1年が経過しアチ地区の拠点再建は完了した。
時は、オリハルコン歴1593年となっていた。
そして7月も過ぎ、ラムディアも22歳になっていた。
「しかし、なんて大きな砦なんだ」
「奴らは身長が平均5メートルもあるからな。そりゃ建てるものも大きくなるさ」
「無傷で奪還したから、この砦もこのまま使いたいけど‥‥これは無理だな」
「扉がドデカく重い、これでは開閉できない」
「それでけではないさ。見てみろよ。こんな隙間だらけのガラクタだぞ?」
「科学技術力が圧倒的違うからな。無理もないさ」
「まぁしばらくは、この砦はそのままにして中の建物を壊して、アトランティス用に再建しないとな。神殿も立て直さないといけない。発電ピラミッドは‥‥首都からコア部分は送ってもらわないと無理だが」
「墓地も奴らは破壊して畑にしやがった! なんて奴らだ。許せん!!」
「それが完成したら砦を再建して、その次は第2拠点の再建か。これは大変だ」
「重力無効化技術がなかったら、お手上げだったな」
「本当に存在したのかわからんが、トートの神様に感謝しないとな。なんと言っても開発したのがトート神と伝わっているんだから」
「本当に存在したのかね。地上にトート神は‥‥」
「王家がその末裔なのだろう? 現王のアカシック王、アモン王子。このお二人はあきらかに、この何代かの王家の方々とは違う。それは分かる」
「うちの嫁さんなんが、もうアカシック王の教えに心酔しているよ。でもちゃんと家事や育児も手を抜かない。いや教えに触れる前よりも良くなっている」
「そうなんだよ。以前までは俺が帰宅しても、”おかえり”とは言ってくれていたが、今では玄関まで迎えに来てくれて”今日もお疲れ様でした。ありがとう”って言ってくれるようになったんだぜ」
「アカシック王が活動されてから信じる者が増えてきた。その信じる者たちは常識を維持しつつ精神的に‥‥なんて言うのかな。向上している、成長しているって感じがする。だから俺もアカシック王を信じるようになったよ」
そう会話していると、
「お前ら、サボっていてはダメだぞ」
上司が来て、叱られてた。
「あと、なんだって? アカシック王が立派だ? あんなのペテン師だぜ。信じるなよ」
そう言って上司が去っていった。
みんなは『困ったね』と目で会話をして仕事を再開し始めた。
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北方の国グリーンラッド。
ラグナロク王も今回の件では冷静でいられなかった。
折角、アトランティスの北方を手に入れ、温暖な土地で食糧生産し本国に持ってくることができ国民も喜んでいた。
たった1日で、すべてを失ってしまったのだ。
軍人も500人常駐させていたが、ほぼ全滅。
食糧生産のために送り込んだ一般国民さえ犠牲になってしまった。
逃れてきた少数の話を聞くと、不思議な雪がいきなり降りだしてきて、寒さに慣れている我らでさえ凍死してしまうか、凍えてろくに動けなくなれてしまったと言うのだ。
『アトランティスの小人どもは、なんと恐ろしいものを使ってきたのだ。これでは攻めようがないではないか! 今後、またアトランティスの一部を占領したとしても同じことをされてしまっては対抗しようがない』
好戦的な巨人族も今回のことでは流石に肝が冷えたようで、アトランティスへ反撃しようという声はほとんど上がってこなかった。
『どうするか? 不思議な雪への対抗策を練って再侵攻するか、それともアトランティスへの侵攻を止めるか‥‥いや、そんなことは出来ない。あの温暖な領土は欲しい!』
『今は兵士も大人しいが時が過ぎれば、好戦的な本性を抑えられなくなる。一旦、手にしたあの土地、食糧生産で豊かになれることを味わってしまうと諦められない!』
心の中での
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こうして巨人族が大人しくしている間に、1年が経過しアチ地区の拠点再建は完了した。
時は、オリハルコン歴1593年となっていた。
そして7月も過ぎ、ラムディアも22歳になっていた。