第4話 修練
文字数 2,254文字
昼食後30分ほど休憩をとったあと、宮廷でランニングをし体を温めた。
そして、修練場に向かった。
*
500名ほど近衛兵が修練の出来る場所であるため、大変広い。
私は、まずアーク兄さまに挨拶をした。
「アーク兄さま、遅くなり申し訳ございません。本日はこれから参加いたします」
「ん? 今日も歴史資料館で歴史を振り返ってくると言ってだろ?」
「はい。そのつもりでしたが、午前中で結構進みました。あと昨夜、兄さまがおっしゃったように2日もサボっては体がなまります」
「ははは。そうだな。お前らしくて良い」
「それでは、行ってきます」
「ああ、またな」
次に、師匠のシルバーに挨拶へ向かった。
「シルバー、昨日は申し訳ない。そして本日も遅くなり失礼しました」
「おや、ラム様。事情はアーク様からお聞きしておりますゆえ、大丈夫でございます」
とニッコリと迎えてくれた。
「元々、近衛隊の修練はシルバーにお任せしているのが正直なところです。いつも、ありがとうございます」
「勿体ないお言葉。こちらこそ、ありがとうございます。さぁ、女性陣がラム様をお待ちですよ。ささっ、どうぞ向かってくださいまし」
「はい。早速、行って参ります」
と女性の近衛隊の修練場へ向かった。
*
私の姿を見ると、リーダー格のシャレム、イスカ、テリア、ユリス、ソフィーアが集まってきた。
シャレムが片膝を落として、
「ラムディア姫、お待ちしておりました。昨日はおいでにならなかったので心配いたしました。事情はシルバー様よりお聞きしておりますので、ご安心ください」
と挨拶してきた。
「シャレム。あなた、わざと言ってるわね。やっぱり連絡もせずにサボったから怒ってるの?」
「いいえ。全然でございます。ラ・ム・ディ・ア・ひ・め・さ・ま」
『‥…相当、怒っているわね。そりゃそうね』
「えっと、皆さんごめんなさい。昨日の朝のお祈り時に急にインスピレーションがあってね。つい突っ走ってしまったの」
お辞儀をして謝った。
ソフィーアが、
「シャレムー、姫様もお詫びされているのですから許して差し上げたら?」
と言うと、
「ふぅ~、姫様! ちゃんと連絡くらいはしてくださいね!!」
そう言って、立ち上がってニッコリしてくれた。
「はい。今後は、必ずそういたします」
『シルバーには伝えたのだけど‥…、と言っても言い訳よね』
「さぁ、修練再開しましょう!」
と号令をかけた。
一同が、「はっ!」と気合を入れて、それぞれの持ち場に帰っていった。
『さて、今日私はイスカの隊の番ね』
そう思い、イスカについて行った。
「姫様、本日は私の隊ですか?」
「そうです。順番ですからね。昨日は本当にごめんなさいね」
「いえいえー、シャレムだけむくれていただけですよ」
優しく微笑んで答えてくれた。
イスカ隊の場所に到着するとイスカが、
「さぁ、みんな。本日は姫様が直々に相手をしてくださいますよ」
と言うと一同が片膝を置き、
「姫様、本日はよろしくお願いいたします」
と挨拶してくれた。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いしますね。早速、順番に行くわよ!」
最初に、コリンの前に立った。
そして、お互い礼を取り木剣での打ち合いが始まる。
「さぁ、コリン。遠慮なく掛かっておいで!」
「それでは、参ります。はぁーーー」
と剣で突いてきた。
それをひらりと体を回転させながら避けると、回転を利用してコリンの右小手のガードに木剣を叩きつけた。
ぼとっと音がして、コリンの木剣が地に落ちる。
「参りました!」
「最初に突きでくるとは思わなかったから、なかなかよ。でもモーションで読めちゃったよ。ちょっと気合を入れ過ぎたのかしら?」
「は、はい。つい意表を突こうとして気合を入れ過ぎてしまいました。しかし姫様の優雅なあの回転するような動きには、見とれてしまいます」
「ありがとう。私は攻守ともに弧 を描くのが合っているの。なかなかでしょ?」
とウィンクしてみせた。
コリンがしばらく、ぼ~と眺めていたので、
「コリン? どうしたの?」
「いえ。姫様の美しさに見とれてしまいました」
「あ‥‥、そうなのね。ありがとう。素直に喜んでおくわね」
「は、はい!」
元気よく返事が返ってきた。
「さぁ、まだまだこれからよ」
と打ち合いが続き、その度にコリンへのアドバイスをした。
*
そのように隊、全員との打ち合いを済ませると修練終了の音楽が流れた。
イスカが、
「イスカ隊、全員集合!」
と号令をかけると、一同が迅速に集まってきた。
「姫様、本日は私の隊への修練をしてくださいまして、ありがとうございました」
と全員が、お礼を述べてくれた。
「はい。みんなもお疲れ様でした。夜はゆっくりと休んでね」
「じゃ、あとはイスカお願いね」
その場を任せた。
後ろから、
「姫様は本当にお強いです。あの独特の動きは真似できません」
「本気で向かっていくのだけど、ぜんぜん相手にもなれませんでした」
「今日、褒められちゃった。もう眠れないよー」
「姫様、毎日この隊にいらっしゃらないかな」
などと聞こえてくる。
『みんな、本当にいい子ばかりね。私は恵まれているわ』
と喜びを噛みしめていた。
振り返って見ると、丁度イスカが、
「はいはい。早く片付けをして帰りましょう。姫様も、ゆっくり休むようにおっしゃったでしょ」
と指示すると、隊員は見事な動きで片づけ始めた。
『うんうん。みんな、ゆっくり休んでね』
心の中でそう声をかけてから、シルバーとアーク兄さまに挨拶をし、水晶神殿で夕刻のお祈りを済ませ王宮に戻った。
そして、修練場に向かった。
*
500名ほど近衛兵が修練の出来る場所であるため、大変広い。
私は、まずアーク兄さまに挨拶をした。
「アーク兄さま、遅くなり申し訳ございません。本日はこれから参加いたします」
「ん? 今日も歴史資料館で歴史を振り返ってくると言ってだろ?」
「はい。そのつもりでしたが、午前中で結構進みました。あと昨夜、兄さまがおっしゃったように2日もサボっては体がなまります」
「ははは。そうだな。お前らしくて良い」
「それでは、行ってきます」
「ああ、またな」
次に、師匠のシルバーに挨拶へ向かった。
「シルバー、昨日は申し訳ない。そして本日も遅くなり失礼しました」
「おや、ラム様。事情はアーク様からお聞きしておりますゆえ、大丈夫でございます」
とニッコリと迎えてくれた。
「元々、近衛隊の修練はシルバーにお任せしているのが正直なところです。いつも、ありがとうございます」
「勿体ないお言葉。こちらこそ、ありがとうございます。さぁ、女性陣がラム様をお待ちですよ。ささっ、どうぞ向かってくださいまし」
「はい。早速、行って参ります」
と女性の近衛隊の修練場へ向かった。
*
私の姿を見ると、リーダー格のシャレム、イスカ、テリア、ユリス、ソフィーアが集まってきた。
シャレムが片膝を落として、
「ラムディア姫、お待ちしておりました。昨日はおいでにならなかったので心配いたしました。事情はシルバー様よりお聞きしておりますので、ご安心ください」
と挨拶してきた。
「シャレム。あなた、わざと言ってるわね。やっぱり連絡もせずにサボったから怒ってるの?」
「いいえ。全然でございます。ラ・ム・ディ・ア・ひ・め・さ・ま」
『‥…相当、怒っているわね。そりゃそうね』
「えっと、皆さんごめんなさい。昨日の朝のお祈り時に急にインスピレーションがあってね。つい突っ走ってしまったの」
お辞儀をして謝った。
ソフィーアが、
「シャレムー、姫様もお詫びされているのですから許して差し上げたら?」
と言うと、
「ふぅ~、姫様! ちゃんと連絡くらいはしてくださいね!!」
そう言って、立ち上がってニッコリしてくれた。
「はい。今後は、必ずそういたします」
『シルバーには伝えたのだけど‥…、と言っても言い訳よね』
「さぁ、修練再開しましょう!」
と号令をかけた。
一同が、「はっ!」と気合を入れて、それぞれの持ち場に帰っていった。
『さて、今日私はイスカの隊の番ね』
そう思い、イスカについて行った。
「姫様、本日は私の隊ですか?」
「そうです。順番ですからね。昨日は本当にごめんなさいね」
「いえいえー、シャレムだけむくれていただけですよ」
優しく微笑んで答えてくれた。
イスカ隊の場所に到着するとイスカが、
「さぁ、みんな。本日は姫様が直々に相手をしてくださいますよ」
と言うと一同が片膝を置き、
「姫様、本日はよろしくお願いいたします」
と挨拶してくれた。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いしますね。早速、順番に行くわよ!」
最初に、コリンの前に立った。
そして、お互い礼を取り木剣での打ち合いが始まる。
「さぁ、コリン。遠慮なく掛かっておいで!」
「それでは、参ります。はぁーーー」
と剣で突いてきた。
それをひらりと体を回転させながら避けると、回転を利用してコリンの右小手のガードに木剣を叩きつけた。
ぼとっと音がして、コリンの木剣が地に落ちる。
「参りました!」
「最初に突きでくるとは思わなかったから、なかなかよ。でもモーションで読めちゃったよ。ちょっと気合を入れ過ぎたのかしら?」
「は、はい。つい意表を突こうとして気合を入れ過ぎてしまいました。しかし姫様の優雅なあの回転するような動きには、見とれてしまいます」
「ありがとう。私は攻守ともに
とウィンクしてみせた。
コリンがしばらく、ぼ~と眺めていたので、
「コリン? どうしたの?」
「いえ。姫様の美しさに見とれてしまいました」
「あ‥‥、そうなのね。ありがとう。素直に喜んでおくわね」
「は、はい!」
元気よく返事が返ってきた。
「さぁ、まだまだこれからよ」
と打ち合いが続き、その度にコリンへのアドバイスをした。
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そのように隊、全員との打ち合いを済ませると修練終了の音楽が流れた。
イスカが、
「イスカ隊、全員集合!」
と号令をかけると、一同が迅速に集まってきた。
「姫様、本日は私の隊への修練をしてくださいまして、ありがとうございました」
と全員が、お礼を述べてくれた。
「はい。みんなもお疲れ様でした。夜はゆっくりと休んでね」
「じゃ、あとはイスカお願いね」
その場を任せた。
後ろから、
「姫様は本当にお強いです。あの独特の動きは真似できません」
「本気で向かっていくのだけど、ぜんぜん相手にもなれませんでした」
「今日、褒められちゃった。もう眠れないよー」
「姫様、毎日この隊にいらっしゃらないかな」
などと聞こえてくる。
『みんな、本当にいい子ばかりね。私は恵まれているわ』
と喜びを噛みしめていた。
振り返って見ると、丁度イスカが、
「はいはい。早く片付けをして帰りましょう。姫様も、ゆっくり休むようにおっしゃったでしょ」
と指示すると、隊員は見事な動きで片づけ始めた。
『うんうん。みんな、ゆっくり休んでね』
心の中でそう声をかけてから、シルバーとアーク兄さまに挨拶をし、水晶神殿で夕刻のお祈りを済ませ王宮に戻った。