第64話 対話への呼びかけ
文字数 1,933文字
「私は、アトランティスの第2王女のラムディア・ラァ・アトランティックです」
上空から、王城に向かって音声を最大にして伝えた。
「事前連絡もなく、突如訪れたご無礼をお許しください」
まだ、王城からの反応はない。
「ラグナロク王。どうか私と会ってくださいませんか? そして対話をさせて頂きたいのです」
やっと城から人が出てくるのが見えた。
「私は、グリーンラッド国との和平を望んでいます」
大分、騒ぎになってきたのがわかる。
「この飛行船には操縦士を含め7人しか乗っておりません。決して争いにきたのではありません」
一言一言、心を込めて発言した。
きっと想いは届くはず。
「アカシック王からの親書も持参いたしました。是非、お目通りをお許しください」
もうラグナロク王の耳には、アトランティスから飛行船がやってきたことは伝わっているはずよ。
忍耐強く話かける。
「私たちは交戦の意思はありません。ラグナロク王、どうか私と会ってくださいませんか? よろしくお願いいたします」
『‥‥』
「反応ないわね。でもクロスボウで攻撃してくる気配もないから、待ちましょう」
そう皆に伝えた。
時折、呼びかけつつ30分が経過した。
すると王城の大きなテラスから、位の高い者だとわかる巨人が現れ、手をいっぱいに振って何やら呼びかけてきた。
「そちらのテラスに来られた方、そこに飛行船を降ろして良いと言うことでしょうか?」
何故か、そう言っているのが分かった。
その巨人は大きく手で〇を描いている。
「ありがとうございます。それでは非礼を承知で、そちらに着陸させて頂きます」
ベール機長に向かって、
「あそこに降ろしてください」
と指示をした。
『ふぅぅぅ。まずは第一関門突破ね』
*
少し時間を遡る。
「何? アトランティスの飛行船がこの王城に向かってきているというのか!」
ラグナロク王は、報告にきたトールに問う。
「左様にございます。但し1隻です。しかも小型機であります」
「うーーーむ。このようなことは遥か昔にあったとは聞いたことはあるが、この数百年では初めてのことだな」
「はい。そうでございます。王よ」
「なんの用だ? アトランティスは我が軍が侵攻を始めたことを知っていよう。なのに何故、わざわざここに来る必要がある?」
「私目には皆目予想ができませぬ」
「ギランを呼べ。あの者は頭が回るからな意見を聞こう」
「は! 早速、呼び出します」
トールは、そう答えながらも、
『くそぉ。またギランか‥‥』
と歯ぎしりしていた。
しばらくしてギランが現れる。
「ラグナロク王。お呼びとお聞きして急いで参りました」
「そちも耳にしていよう。アトランティスの飛行船がこの王城に向かってきているのだ」
「はい。先ほど耳に入りました」
「そちは、どう思う?」
「私もこの目で見てきましたが、例の兵器を積んでいる様子はありません。しかも飛行船が豪華な装飾をしておりました」
「なに! そうか。攻撃しに来たのではないのだな?」
「はい。そのように思えました」
「ならば、しばらく様子を見てみるとするか。しばらく、ここに留まれ。あとクロスボウでの攻撃はまだするでない。俺が許可するまではな」
「かしこまりました」
そう言いギランは、王室の護衛の者に伝令を頼んだ。
*
しばらくすると王城の上空付近に飛行船が到達し止まった。
そして女性の声が聞こえてきた。
「なにやら申しておるな。しばらく聞いてみるか」
ラグナロク王は意外に冷静で堂々としていた。
これが王の風格なのだろう。
「ほう。王女自ら参ったか。俺に会いにくるのだ。最低でも王家の者でないとな。その辺りは認識しているようだ」
「和平? この機に及んでなにを夢物語をしにきたのだ。やはり世間知らずのお姫様というところか」
少し気持ちが冷めてきた。
『‥‥』
不思議だが、聞いていると本気度を感じる。必死に呼びかけているのが伝わってくる。
「如何いたしますか? クロスボウの射程内ではありませんが、牽制攻撃をいたしますか?」
トールが確認をした。
「いや。攻撃は無用だ。話を聞こうではないか。7人できたらしいしな」
「信じるのですか? あの不思議な雪を仕掛けてくるやも知れませぬ」
トールが制した。
「トールよ。不思議な雪を使うのなら王城の上空で使って、さっさと撤退しておるわ。電撃作戦ならば、そうする。が、ギランの話から攻撃船ではないと分かったのでな。その警戒は無用だ」
流石は王だった。
「ギラン。大きなテラスがあるだろう。あそこならあの小さな飛行船なら着陸できるであろう。そちが迎えにいき、ここに連れてくるが良い」
そうギランに命じた。
「は! 早速、行って参ります」
ギランはそう答えるや否や、足早に大テラスへ向かっていった。
上空から、王城に向かって音声を最大にして伝えた。
「事前連絡もなく、突如訪れたご無礼をお許しください」
まだ、王城からの反応はない。
「ラグナロク王。どうか私と会ってくださいませんか? そして対話をさせて頂きたいのです」
やっと城から人が出てくるのが見えた。
「私は、グリーンラッド国との和平を望んでいます」
大分、騒ぎになってきたのがわかる。
「この飛行船には操縦士を含め7人しか乗っておりません。決して争いにきたのではありません」
一言一言、心を込めて発言した。
きっと想いは届くはず。
「アカシック王からの親書も持参いたしました。是非、お目通りをお許しください」
もうラグナロク王の耳には、アトランティスから飛行船がやってきたことは伝わっているはずよ。
忍耐強く話かける。
「私たちは交戦の意思はありません。ラグナロク王、どうか私と会ってくださいませんか? よろしくお願いいたします」
『‥‥』
「反応ないわね。でもクロスボウで攻撃してくる気配もないから、待ちましょう」
そう皆に伝えた。
時折、呼びかけつつ30分が経過した。
すると王城の大きなテラスから、位の高い者だとわかる巨人が現れ、手をいっぱいに振って何やら呼びかけてきた。
「そちらのテラスに来られた方、そこに飛行船を降ろして良いと言うことでしょうか?」
何故か、そう言っているのが分かった。
その巨人は大きく手で〇を描いている。
「ありがとうございます。それでは非礼を承知で、そちらに着陸させて頂きます」
ベール機長に向かって、
「あそこに降ろしてください」
と指示をした。
『ふぅぅぅ。まずは第一関門突破ね』
*
少し時間を遡る。
「何? アトランティスの飛行船がこの王城に向かってきているというのか!」
ラグナロク王は、報告にきたトールに問う。
「左様にございます。但し1隻です。しかも小型機であります」
「うーーーむ。このようなことは遥か昔にあったとは聞いたことはあるが、この数百年では初めてのことだな」
「はい。そうでございます。王よ」
「なんの用だ? アトランティスは我が軍が侵攻を始めたことを知っていよう。なのに何故、わざわざここに来る必要がある?」
「私目には皆目予想ができませぬ」
「ギランを呼べ。あの者は頭が回るからな意見を聞こう」
「は! 早速、呼び出します」
トールは、そう答えながらも、
『くそぉ。またギランか‥‥』
と歯ぎしりしていた。
しばらくしてギランが現れる。
「ラグナロク王。お呼びとお聞きして急いで参りました」
「そちも耳にしていよう。アトランティスの飛行船がこの王城に向かってきているのだ」
「はい。先ほど耳に入りました」
「そちは、どう思う?」
「私もこの目で見てきましたが、例の兵器を積んでいる様子はありません。しかも飛行船が豪華な装飾をしておりました」
「なに! そうか。攻撃しに来たのではないのだな?」
「はい。そのように思えました」
「ならば、しばらく様子を見てみるとするか。しばらく、ここに留まれ。あとクロスボウでの攻撃はまだするでない。俺が許可するまではな」
「かしこまりました」
そう言いギランは、王室の護衛の者に伝令を頼んだ。
*
しばらくすると王城の上空付近に飛行船が到達し止まった。
そして女性の声が聞こえてきた。
「なにやら申しておるな。しばらく聞いてみるか」
ラグナロク王は意外に冷静で堂々としていた。
これが王の風格なのだろう。
「ほう。王女自ら参ったか。俺に会いにくるのだ。最低でも王家の者でないとな。その辺りは認識しているようだ」
「和平? この機に及んでなにを夢物語をしにきたのだ。やはり世間知らずのお姫様というところか」
少し気持ちが冷めてきた。
『‥‥』
不思議だが、聞いていると本気度を感じる。必死に呼びかけているのが伝わってくる。
「如何いたしますか? クロスボウの射程内ではありませんが、牽制攻撃をいたしますか?」
トールが確認をした。
「いや。攻撃は無用だ。話を聞こうではないか。7人できたらしいしな」
「信じるのですか? あの不思議な雪を仕掛けてくるやも知れませぬ」
トールが制した。
「トールよ。不思議な雪を使うのなら王城の上空で使って、さっさと撤退しておるわ。電撃作戦ならば、そうする。が、ギランの話から攻撃船ではないと分かったのでな。その警戒は無用だ」
流石は王だった。
「ギラン。大きなテラスがあるだろう。あそこならあの小さな飛行船なら着陸できるであろう。そちが迎えにいき、ここに連れてくるが良い」
そうギランに命じた。
「は! 早速、行って参ります」
ギランはそう答えるや否や、足早に大テラスへ向かっていった。