みー太郎との出会い

文字数 1,640文字

 みー太郎は男の子です。
 一方、阿久根駅のミーちゃんは三毛の女の子です。

 だけどみー太郎は、ミーちゃんに顔がそっくりなので、みー太郎と名付けました。
 みー太郎は白にキジです。

 出会ったとき、みー太郎は職場の駐車場の辺りで暮らしているらしく、ある朝、車を止めると、待ってましたとばかりに近づき、みゃーといいながらすりすりしてきました。

 だけど見かけは明らかに野良猫です。
 多分ここで、いろんな人におねだりなんかして、食べ物をもらったりしていたのでしょう。


 私は子供の頃から、再々、野良猫と仲良しになります。
 だから案の定、みー太郎ともすぐに仲良しになり、それから毎朝、駐車場に車を止めるたびに、みゃーとやってきて、私にすりすりしていました。

 そしてみー太郎は、駐車場だけではなく職場の玄関辺りにもよくいて、朝、職場へ行くと、玄関で出迎えてくれることもありました。

 それから毎朝毎朝、みー太郎と「みゃー」とあいさつし、時々昼休みにみー太郎に会いに行くと、玄関脇の陽だまりで、気持ちよさそうに昼寝をしたりしていました。

 とても可愛い猫なので、職場でも話題になり、連れて帰ろうという人もいました。
 だけど段ボールに入れたりすると、とても嫌がり、ぎゃ~~と言って逃げてしまいます。
 だから簡単には連れて帰れません。

 
 だけどその職場は、近く移転する予定でした。
 するとみー太郎はどうなる? 
 どうやって生きていく?

 心配になった私は猫飼いたい病を発症し、それで移転直前、みー太郎を保護することに決めました。
 
 だけどこの仔は逃げるので、簡単には保護できない。
 それで、自宅からロックのかかる頑丈なケージを持ってきて、雨に濡れないよう、職場の玄関近くの、軒のある場所に置きました。

 そしてキャットフードとか猫缶とかを入れておきました。
 とりあえずそうやってみー太郎がそこを「食事の場所」にしてくれたらいいと思ったのです。

 そしてある日、みー太郎がそのケージの中でキャットフードを食べていたので、ケージを閉めようとしたら、警戒してすぐに出てしまいました。
 そういう具合で、みー太郎はなかなか保護できません。

 そして移転の日が迫り、その時点で職場の玄関には引っ越しのトラックが出入りし始め、みー太郎にとっては異様な雰囲気だったと思います。

 そういうこともあり、朝行ってみても、みー太郎は出てきません。
 どこかへ行ってしまったようです。悲しかったです。

 だけどみー太郎は、この辺を縄張りにする野良猫だから、住み慣れた場所にいるのがいいのかな? なんて思い、私もどうしようかと迷っていました。

 そして最後の日。その日は移転に伴い休業でした。
 私は最後のチャンスと思い、職場へ行きました。
(お願い、みー太郎、出てきて!)

 だけど引っ越しのトラックが何台もあるだけで、やっぱりみー太郎はいません。
 もうみー太郎はいない?
 だけど辺りを探すと、私を待っていたかのように、物陰から「みゃ~~」と、みー太郎が出てきました。

 それで私はケージの方へ歩き、みー太郎もついて来て、私は持っていた猫缶を開け、ケージのいちばん奥に置きました。

 でもみー太郎は警戒して、ケージには近づきません。だけど何日も食べてなかってのでしょう。
 それからみー太郎は(どうしようかな…)という感じでいたのですが、(やっぱり食べよう♪)という感じでケージに入ってくれたので、みー太郎の後ろ足が完全にケージに入った瞬間に、ケージの扉を閉めました。

 保護成功です!
 それから家へ連れて帰りました。
 ブラシを掛けたり、いろいろしているうちに、二週間ほどで本当にきれいな猫になりました。

  ミーちゃんみたいな猫、みー太郎君です。



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