ぴゃーちゃんナビゲーション

文字数 686文字

 随分前のこと。
 ぴゃーちゃんがまだ生きていた頃の話。
 
 ぴゃーちゃんが数日間迷子になってしまいました。
 まだその頃は、猫はぴゃーちゃんとかぶちゃんだけで、しかも外に出していました。
 完全室内飼いはその数年後です。

 それで、ある日外へ出たぴゃーちゃんがなかなか帰ってきません。
 ところが数日後、うちの子供が「ぴゃーちゃんの声がする」というのです。

 それで声を頼りに探すと、家の前の溝から声がします。
 いやいや、溝の中からです。だけど溝にはコンクリートの頑丈な蓋がしてあり、所々金属で出来たの網状の蓋があります。

 それで子供が言うには、家の前に出たとたんに、溝からぴゃーちゃんの声がしたというのです。
 そして見てみると、金網の蓋のところにぴゃーちゃんがいました。

 中でみゃーみゃーと助けを求めています。
 それで根性で溝の蓋を外し、ぴゃーちゃんを救出しました。

 それにしても一体どうやって溝の中に入ったのでしょう?
 この溝は家の前を通っていますが、延々と蓋がしてあります。
 それで入れそうな場所を探すと、数百メートル離れた山の麓に入れるような場所がありました。
 だけどそこから入ったとして、真っ暗な溝の中を何百メートルも歩いたはずです。
 しかも溝は団地内で枝分かれし、入り組んでいます。

 一体どうやって我が家の前の溝にたどり着いたのでしょうか?
 まったく外が見えない状態で溝の中をさ迷い、どうやってここが我が家だと知ったのでしょう?
 
 謎です。
 だからきっとぴゃーちゃんにはナビゲーション機能が備わっているのです。

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