ミッキーとの別れ

文字数 1,452文字

 以前勤めていた病院の敷地内で出会い、私が里親として自宅に連れて帰ったブチ猫のミッキーは、いろんな思い出を残し、2012年、この世を去りました。

 私の家では、猫部屋を取り仕切る立派なリーダーとして活躍し、それからアイタローやいろんな仔たちの面倒を見て、チワワの代役まで務め、だけどそれから口内炎がひどくなり、どんどん食べられなくなってしまい、そしてどんどん衰弱してしまいました。


 それはある日、ミッキーがキャットフードを食べていて、カリッと噛んだ瞬間、突然しゃ~! と言ってから、食器から逃げるように走り出したことに始まります。
 走り出し、猫土間へ行き、隅の方でうずくまっていました。

 きっと口内炎が起こり、キャットフードを噛んだときに痛んだのだろうと思いました。
 それで獣医さんに連れて行ったら、やっぱりひどい口内炎で、それからミッキーは月に一度くらいずつ、ステロイドの注射を受けるようにしました。

 それは2010年夏ごろ。
 タバちゃんがうちへ来た少し後です。

 それで、注射をしてもらうと痛みが減り、少し食べやすくなったようで、かりかりを食べていましたが、噛むことはむつかしいらしく、丸のみするようにしていました。


 最近は、ほかのいろんな仔の療養の経験から、ホームセンターのペットフードコーナーを知りつくすに至り、担当の猫玉さん(本当の名前は内緒)にも教えてもらったりして、ウエットフードとか、流動食とか、猫ミルクとか、さまざまなフードの存在を知り、療養中の仔に合わせて使い分けています。


 だけどその頃は、私は猫の食べ物といえばキャットフード、さもなければ猫缶かかつおぶしか、はたまたいりこ、くらいしか知りませんでした。

 だから当初、ミッキーがかりかりを食べるのが辛そうだと知ったとき、とりあえず石でごんごんごんとキャットフードを粉々にして、水でとろとろにして与えていたのです。
 だけどミッキーは、これが結構好きだったようで、結構おいしそうに、ぺろぺろと食べていました。

 そしてそういうことが1年余り続きました。
 流動食なら、ぺろぺろと、何とか食べられていたのです。

 だけどその間、ミッキーは徐々に弱っていき、7.7kgあった体重は、とうとう2.5kgまで減ってしまい、よたよたと歩くようになっていました。
 そしてあるころから、全く食べず、ほとんど飲まなくなってしまったのです。

 それで獣医さんに連れていくと、末期の腎不全で、それから皮下点滴を始めました。
 この経験は、後にハナビ君の腎不全の療養に生かされます。

 若いハナビ君は皮下点滴で復活しましたが、推定年齢10歳以上のミッキーは、残念ながら、復活しませんでした。
 ある日、とうとうミッキーは、眠るように動かなくなってしまったのです。

 息はしていても、意識のないミッキーを、それから私は、ずっと抱っこしていました。
 それはとてもつらい日々でした。
 だけど最後までミッキーと一緒にいられて、本当に良かったです。


 ミッキーにがぶりと噛まれたのが2005年。
 それから友達になり、一緒に暮らし、いろんなことがあり…
 2012年までの7年間の、それはそれは楽しい、ミッキーとの日々でした。





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