第113話 シュークリーム消失事件

文字数 820文字

ああッ! ない! 冷蔵庫に入れといた僕のシュークリームがないィー!
 容疑者A(猛)登場。
どうしたんだ? かーくん
どうしたんだじゃないよ! 兄ちゃん、僕のシュークリーム食っただろ?
食ってないよ
そんなわけない。猛しか勝手に僕のおやつ食うやつなんていないよ
かーくん。兄ちゃん、甘いもの好きじゃないだろ?
う、うん……
兄ちゃんがお菓子とったことあるか?
あるけど、煎餅かスナック菓子か、アイスだね
だろ? シュークリームは兄ちゃんの好物じゃない
うん。まあ……じゃあ、兄ちゃんじゃないのか
 容疑者B(蘭さん)登場。
あれ? 何をさわいでるんですか? かーくん。猛さん
……蘭さんだね? 蘭さんがやったんだね?
えっ? 何?
疑いたくないけど、猛じゃないなら、蘭さんしかいないんだよ。蘭さん、僕のシュークリーム食べた?
食べてません
蘭さん。ほんとのこと言って!
食べてませんよ
ええーっ!
ちょっと、待てよ。かーくん。蘭が冷蔵庫のなかのシュークリームを食べるはずがない
えっ? どうして?
考えてもみろ。蘭は食べ物に関して高級品嗜好だ。おまけに匂いに敏感だろ。冷蔵庫のなかの匂いがしみついたようなお菓子を食べると思えない。食いたいときには、おまえかおれに小遣い渡して買ってこさせるはずだ
なるほど……でも、じゃあ、シュークリームはいったい、どこへ? このうちのなかには、僕と猛と蘭さんしかいないよ。ミャーコは襖はあけても冷蔵庫のドアはあけられないし……

 カチャッ。

 真犯人登場!

ああ、よう寝た。昼寝って、なんで気持ちええんやろなぁ
なッ! 三村くん、いつのまに?
昼からおったで?
ど、どこにいたの?
猛の部屋で寝とったで。なんやいな。さっきから、ガチャガチャさわいどんなぁ
……僕のシュークリームがないんだよ
あっ、あれ。かーくんのやったんか。食ったで。小腹へっとったんでな
猛。逮捕して
ああ。三村鮭児。午後五時五十二分。窃盗の罪で逮捕する
お縄はかんべんしてぇな
まっとうになるんだぞ
事件解決!
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登場人物紹介

東堂薫(かーくん)

京都五条の町屋で兄の猛と蘭さんといっしょに暮らしている。アパレルショップ店員。

東堂猛(兄)

顔も頭も運動神経もいいけど、ちょっと残念なほどのブラコン。

九重蘭

絶世の美貌の友人であり、同居人のミステリー作家。

男ですよ。

三村鮭児(みむらけいじ)

大阪の友達。ときどき遊びに来る。

ミャーコ

うちの愛猫。猛になつかない。蘭さんが大好き。三村くんを敵だと思っている。

真顔の蘭さん

得体の知れない何か

得体の知れない何か2

ちゃるちゃる

長年、愛されるおサルのぬいぐるみ

得体の知れない何か3

トラ

オウム

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