第145話 ★イチゴむすび消失事件

文字数 780文字

ら、蘭さん。何も怒らなくても……
怒ってませんよ?

ちょっとビックリしただけ

ああ、美味かった〜

別にいいだろ。

ジャム、どうせ誰も食いたくなかったんだから

まあ、そうだけど。でも、たしかに作ったんだよ〜
変ですね。

絶対に誰かが食べたはずなのに……。

ハッ! まさか、イチゴジャムにあたった人がズルして、こっそりすてたんじゃ?

ええ〜!

せっかく作ったのに〜!

食べ物を粗末にしたらダメなんだよ〜

食べ物で遊んでるけどな
責任持って食べるんならオッケー!

それが東堂家のモットー!

そんなのはいいんです。

問題は誰がイチゴむすびをすてたのか!

ええっ?

そんなの、どうやって調べるの?

とりあえず、一人ずつ、何を何個食べたのか言いましょう
おれは、高菜、オカカ、鶏そぼろ、塩昆布、ツナマヨ、塩昆布、高菜、鶏そぼろ、和牛だな
ギャ〜! 肉が全部、猛に集中してる! 鶏そぼろ二つしか作ってないんだよ!
おれが肉を愛するぶん、肉もおれを慕ってくれるんだ。

おれには肉の声が聞こえる

どおりで一個も鶏そぼろ、あたらないと思った
そういう、かーくんは?
オカカ、オカカ、塩昆布、ツナマヨだよ
ふうん。僕はシャケと塩昆布。

今、十五個でしょ?

ってことは、残り五個が鮭児くんですよね?

えーと、シャケ、高菜、梅、オカカ……
ちょっと待ったー!
えっ? えっ?

なんやねんな

僕、梅なんか作ってないよ!

今日、切らしてたから!

…………
…………
…………
……それだな
それですね
イチゴジャム……
ふつうに食ってたよな?
ふつうに食べてましたね
ていうか、むしろ、美味そうに食ってた
てっきり、ハチミツ漬けの梅やと……(//∇//)
究極の二択じゃなかったな
なかったね。

地獄はひそかに終わってた

 ゴゴゴ……。

(蘭さんのなかで何かが壊れた音)

そんなの、つまんない!
あはは……
ふへへ……
すまん、すまん(//∇//)
 こうして僕らのイチゴむすび消失事件は解決した……。
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登場人物紹介

東堂薫(かーくん)

京都五条の町屋で兄の猛と蘭さんといっしょに暮らしている。アパレルショップ店員。

東堂猛(兄)

顔も頭も運動神経もいいけど、ちょっと残念なほどのブラコン。

九重蘭

絶世の美貌の友人であり、同居人のミステリー作家。

男ですよ。

三村鮭児(みむらけいじ)

大阪の友達。ときどき遊びに来る。

ミャーコ

うちの愛猫。猛になつかない。蘭さんが大好き。三村くんを敵だと思っている。

真顔の蘭さん

得体の知れない何か

得体の知れない何か2

ちゃるちゃる

長年、愛されるおサルのぬいぐるみ

得体の知れない何か3

トラ

オウム

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