第31話 かーくんの得意技その二

文字数 533文字

 夕食。

 それは生存競争。

ああーッ! 兄ちゃんが僕の肉とった! 猛のバカー!
あはは
かーくん。油断は禁物ですよ
うう……
  翌日。
でもいいんだもんねぇ。かーくんの得意技は、つまみ食い〜。うまうま。作りたては、うまいなぁ
あれッ? かーくん、何やってんだ?
 ギックーン。
な、なんでもないよ?
なんでもないなら、こっち見てみ?
ヤダ
なんで?
だから、なんでもないって——わあッ! 何、のぞいてんの?
 背後から見おろす猛。
……かーくん。いつもか?
えっ? なんのこと?
いつも炊事のとき、つまみ食いしてたのかッ?
えっ? 知らないよ?
じゃあ、今、くわえたままモグモグしてるのはなんだ?
えーと、エビフライかな?
つまみ食いしてたろ?
ちっ、違うよぉ。これは味見だよぉ
エビフライなんか味見しなくても、味つけはソースだろ?
  もぐもぐ。
兄ちゃんは悲しいよ。かーくんが兄ちゃんにナイショで、そんなズルしてたなんて。嘘つきの始まりだぞ
  もぐもぐ。ごっくん。
……うっ、うう……兄ちゃんが僕を信じてくれない。兄ちゃんが……うっうっ……
な、なんだよ。泣くことないじゃないか
だって、兄ちゃんが僕のこと嘘つきって言った
ああ、ごめん。ごめん。悪かったよ
 ふっ。チョロいぜ。
 かーくんの特技は、つまみ食いと泣きマネ。
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登場人物紹介

東堂薫(かーくん)

京都五条の町屋で兄の猛と蘭さんといっしょに暮らしている。アパレルショップ店員。

東堂猛(兄)

顔も頭も運動神経もいいけど、ちょっと残念なほどのブラコン。

九重蘭

絶世の美貌の友人であり、同居人のミステリー作家。

男ですよ。

三村鮭児(みむらけいじ)

大阪の友達。ときどき遊びに来る。

ミャーコ

うちの愛猫。猛になつかない。蘭さんが大好き。三村くんを敵だと思っている。

真顔の蘭さん

得体の知れない何か

得体の知れない何か2

ちゃるちゃる

長年、愛されるおサルのぬいぐるみ

得体の知れない何か3

トラ

オウム

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