第64話 作戦
文字数 1,767文字
レイノの考えた作戦はこうだった。卍會の何人かと俺で、中国マフィアの経営しているソープランドに突撃をかける。卍會は、中国マフィアの悪事の証拠となるデータを盗む。俺は、カミを盗む。
カミが行方不明になれば、売り掛けも何も関係ない。そのまま、卍會が所有する隠れ家へと逃げ、良いタイミングで地方に引っ越す。地方でも、格闘技ジムはあるだろう。昔と違って、今のハツジには、格闘技を教える技術がある。そこで、コーチとして教えながら選手を目指す。
良いタイミングでハツジの母も救出する。俺とカミの2人ともが未成年でなくなったら、パスポートを作り、そのまま渡米して、アメリカで格闘家を目指せばいい。
俺は、レイノの作戦に納得した。信念を曲げないためには、この方法しかない。レイノの負担は大きいが、「お前らは、俺の子供のようなものだ。青少年の育成の為なら、このくらいの協力はするさ」と大笑いしてくれた。これは犯罪だ。こんなにも危ない橋を手伝ってくれるレイノには、感謝しかない。
ソープには、卍會が内偵をつけてくれている。本当は、突入前にカミに会って、話をしたい。だが、カミは逃げられないように、どこかに監禁されているらしい。その場所は分からなかった。
決行は、カミが高級ソープに送られたことが分かった瞬間だ。「内偵が情報を得しだい、すぐに出発することになる。準備だけはしておけ」と、レイノから言われる。俺に決心のブレはない。今のうちに、都会から逃げ出す準備をしておくことにした。
表の人間であるケンジには、ただ、家庭の都合で、近々東京を離れることになるかもしれないという話をしておいた。ケンジは驚いたが、「もし息行き先がわかったら、そこの近くにあるジムに雇ってもらえるように頼んでくれる」と言ってもらえた。
それから、スポンサーをしてくれているリーにも連絡をとった。近々、自分の信念のために東京を離れることになるかもしれないという話をした。リーは、理由を聞かなかった。ただ一言、「一生面倒見てやるから、困った状況になったらいつでも言え」と言ってくれた。
レイノからの呼び出しは、本当に突然だった。次の日の夕方、スマホが鳴る。カミがソープランドに入ったようだ。
「行くぞ」
俺は、送られてきたハイエースに乗り込んだ。中には、目出し帽をかぶった男が6人座っている。
運転手に渡され、俺も、他の6人と同じように目出し帽をかぶった。男たちは全員、防弾チョッキと拳銃を持っている。腰には、鉄の棒もぶら下げている。まるで闇の警官のようだ。俺も一式を渡された。だが、銃は使えない。鉄の棒と防弾チョッキだけを身につける。
ハイエースは、新宿と大久保の間にある、古いマンション街へと入った。まるで、廃墟のようだ。隊長らしき男が、地図を見せながら全員に話す。
「今から、奴らのアジトを襲撃する。風呂の場所は、ゲノムマンションの5階だ。ワンフロア全てを使用している。ターゲットの女性が入った部屋はここだ」地図に赤い印をつける。
「作戦は、まず、1階の管理室を襲撃する。そこでマスターキーを奪い、ターゲットを救出する。この役目は、お前がやれ」
「分かりました」俺は、緊張しながら答えた。
「他は、それぞれ違うカギを持ち、出来るだけ多くの部屋を開け。なるべく、こちらの目的が分からないように混乱させる。その間に、相手の不利になる情報を録画しろ。犯罪の証拠があるなら奪え。もし、先にターゲットを見つけたら、その時には、パブが助けに来た、と言え。ターゲットはついてくるだろう」
その通りだ。俺は強くうなづいた。
「お前たちが作戦を遂行している間、マンションの下に、ハイエースを2台用意しておく。ターゲットを車に乗せたら、先ず1台は出発する。もう1台は、ギリギリまでみんなを待つ。だが、危険に晒された場合に待つ時間はない。各自、それぞれの方法で逃げろ。追加の助攻のために、今、なるべく多くの追加部隊を集めている。だが、助けられるかどうかは分からない。それに期待するな。それから、もし捕まっても、チンコロだけは絶対にするなよ」男たちは一斉にうなづいた。
作戦を言い終わり、武器や段取りの最終チェックに入る。こういう経験を何度もしているのだろうか。男たちは機敏に動く。俺は、彼らの姿を力強いと感じた。
カミが行方不明になれば、売り掛けも何も関係ない。そのまま、卍會が所有する隠れ家へと逃げ、良いタイミングで地方に引っ越す。地方でも、格闘技ジムはあるだろう。昔と違って、今のハツジには、格闘技を教える技術がある。そこで、コーチとして教えながら選手を目指す。
良いタイミングでハツジの母も救出する。俺とカミの2人ともが未成年でなくなったら、パスポートを作り、そのまま渡米して、アメリカで格闘家を目指せばいい。
俺は、レイノの作戦に納得した。信念を曲げないためには、この方法しかない。レイノの負担は大きいが、「お前らは、俺の子供のようなものだ。青少年の育成の為なら、このくらいの協力はするさ」と大笑いしてくれた。これは犯罪だ。こんなにも危ない橋を手伝ってくれるレイノには、感謝しかない。
ソープには、卍會が内偵をつけてくれている。本当は、突入前にカミに会って、話をしたい。だが、カミは逃げられないように、どこかに監禁されているらしい。その場所は分からなかった。
決行は、カミが高級ソープに送られたことが分かった瞬間だ。「内偵が情報を得しだい、すぐに出発することになる。準備だけはしておけ」と、レイノから言われる。俺に決心のブレはない。今のうちに、都会から逃げ出す準備をしておくことにした。
表の人間であるケンジには、ただ、家庭の都合で、近々東京を離れることになるかもしれないという話をしておいた。ケンジは驚いたが、「もし息行き先がわかったら、そこの近くにあるジムに雇ってもらえるように頼んでくれる」と言ってもらえた。
それから、スポンサーをしてくれているリーにも連絡をとった。近々、自分の信念のために東京を離れることになるかもしれないという話をした。リーは、理由を聞かなかった。ただ一言、「一生面倒見てやるから、困った状況になったらいつでも言え」と言ってくれた。
レイノからの呼び出しは、本当に突然だった。次の日の夕方、スマホが鳴る。カミがソープランドに入ったようだ。
「行くぞ」
俺は、送られてきたハイエースに乗り込んだ。中には、目出し帽をかぶった男が6人座っている。
運転手に渡され、俺も、他の6人と同じように目出し帽をかぶった。男たちは全員、防弾チョッキと拳銃を持っている。腰には、鉄の棒もぶら下げている。まるで闇の警官のようだ。俺も一式を渡された。だが、銃は使えない。鉄の棒と防弾チョッキだけを身につける。
ハイエースは、新宿と大久保の間にある、古いマンション街へと入った。まるで、廃墟のようだ。隊長らしき男が、地図を見せながら全員に話す。
「今から、奴らのアジトを襲撃する。風呂の場所は、ゲノムマンションの5階だ。ワンフロア全てを使用している。ターゲットの女性が入った部屋はここだ」地図に赤い印をつける。
「作戦は、まず、1階の管理室を襲撃する。そこでマスターキーを奪い、ターゲットを救出する。この役目は、お前がやれ」
「分かりました」俺は、緊張しながら答えた。
「他は、それぞれ違うカギを持ち、出来るだけ多くの部屋を開け。なるべく、こちらの目的が分からないように混乱させる。その間に、相手の不利になる情報を録画しろ。犯罪の証拠があるなら奪え。もし、先にターゲットを見つけたら、その時には、パブが助けに来た、と言え。ターゲットはついてくるだろう」
その通りだ。俺は強くうなづいた。
「お前たちが作戦を遂行している間、マンションの下に、ハイエースを2台用意しておく。ターゲットを車に乗せたら、先ず1台は出発する。もう1台は、ギリギリまでみんなを待つ。だが、危険に晒された場合に待つ時間はない。各自、それぞれの方法で逃げろ。追加の助攻のために、今、なるべく多くの追加部隊を集めている。だが、助けられるかどうかは分からない。それに期待するな。それから、もし捕まっても、チンコロだけは絶対にするなよ」男たちは一斉にうなづいた。
作戦を言い終わり、武器や段取りの最終チェックに入る。こういう経験を何度もしているのだろうか。男たちは機敏に動く。俺は、彼らの姿を力強いと感じた。