第45話(テトラ) 多重人格探偵サイコ

文字数 1,701文字

 ホテルで裸の少女を2段重ねにして、後ろから交互に性器を突き刺す。12歳の少女と13歳の少女に、順番に喘ぎ声を出させながら、テトラは全く違うことを考えていた。ハツジのことだ。
 テトラは何となく、最初から思っていた。あいつは何か、自分たちとは違う人種だということを。最初はただ、体がデカいだけの従順な犬だった。だが最近は、目の輝きが違う。界隈でも、ハツジが『トー横の王』だと勘違いして呼ばれることも多くなってきた。ハツジだけではない。界隈四天王という、新しい勢力も出現している。
 テトラは今、25歳だ。マスクをしているので気づかれにくいが、年齢でいえば、このケツを振って喘いでいる2人の少女を足した年齢だ。
 若者たちは、やけに同年代にこだわる。界隈でも、それは例外ではない。徐々にキッズの間でも、「テトラは仲間ではない」というような空気も流れ始めている。
 なんとかしなくては居場所がなくなる。だが、テトラには、積み重ねてきたものがない。今更方向転換をしようにも、できることが何もない。ペットボトルのラベル剥がしのバイトでさえ、時間通りに起きられるかが不安だ。もう、追い詰められるまではこのポジションでいることに足掻いて、追い詰められたら死ぬしかない。独裁者のよくある末路だ。
 かといって、努力はしたくはない。今、セックスをしている少女の1人は、父が官僚らしい。だから、親の金目のものを持ってくることができる。ニンベン師に身分証を偽造してもらっているテトラは、それらを質屋に売り捌くことができる。売ったお金を折半すれば、両方が現金を手に入れられるというわけだ。
 おそらく、こいつの官僚の父は、すごく努力をして、今の地位を保っているのだろう。浮気もせずに、もしくは、浮気をしていても、こんなに若い女とは浮気できていないだろう。そして、頑張って生きた結果、自分の娘が、俺のような男に騙され、腰を振って喘いでいる。ハメ撮りもしたので、いずれは脅されるという恐怖にも苛まれることだろう。それだけ努力したのに、だ。
 テトラも、もうすでに、過去に、数えきれないほどの悪事を犯している。今更、綺麗な道に戻ることはできない。戻ったところで、誰かに写真を売られたり、足を引っ張られて、色々と流出させられるに決まっている。もう、どうしようもない。
 だが、テトラは許せなかった。そんな自分を尻目に、ハツジが格闘家として尊敬されていくことが。カミも今、アイドルオーディションの4次審査まで進んだと聞いている。
 MDMAにまで手を染めたポパイや、ソープランドの店長になったヤスは、もう、暗い道を進んでいくしかないだろう。だが、明るい道に進んでいく仲間たちを逃したくはない。
 カミに対しては、ウリの証拠や映像をたくさん持っている。ハメ撮りもした。いいタイミングで売り出せば、さぞかし高値で売れるだろう。その後のことは知らない。俺の元から離れるのなら、後は勝手にすればいい。
 パブに関しては、本名が分からないので、弱みを握りにくい。困ったものだ。だが一応、卍會に頼んで、情報を入手しようとはしている。
 パブは使える。卍會としても、このまま社会復帰させることは勿体無いと思っている。格闘家になるとしても、いいタイミングで八百長をさせたり、事務所やブランドを作らせて権利を奪ったりしたいところだ。
 だが、何の弱みも手に入れられない。日本の常識的に、男が若い時に色んな女とやっていたとしても、致命的な弱点にはならない。それに、最近では、いくら女に求められても、全く手を出さずにいるようだ。薬はもちろん、お酒も飲んでいない。格闘家と芸人の昔の脛傷は、反省しさえすれば逆に好感度が上がる。EXITのカネチーみたいなものだ。
 どうしようか。はあ。テトラは、本能に任せて腰を振った。吐精したくなる。こいつらも同罪だ。とことん道連れにしてやろう。少女たちにマリファナを吸わせ、何度も首を絞めた後、2人に半分ずつ中出しするため、テトラは、腰を振るスピードを速めていった。
 孕め。クソガキが。ハツジとカミの頑張りを思い出しながら、テトラは内心、焦っていた。
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