第60話(テトラ) 黒幕

文字数 1,020文字

 芸能人や金持ちが御用達にしているソープ。そこで情報を獲得し、その情報を元に、さらなる詐欺を働く。そこで働く人員を得るために、NPOと称し、子供たちに寄り添いながら、徐々に、裏の世界へと引き摺り込んでいく。運営に、中国人マフィアを使用して。
 ヤクザとマフィアを闘わせて裏社会のバランスを支配する。これが裏幕、新宿卍會の正体だ。
 もちろん、NPOは、慈善事業として活動している団体が多い。だが、詐欺師もいる。国から活動費をもらい、しっかりと活動している団体を模倣して、詐欺を働く。8割の真実に、2割の虚偽を紛らわせる。そうすると、一見、良い活動をしているように見える。
 現に、レイノは反社で詐欺師だが、ハリスは本当に、自分が慈善事業をしていると信じている。そのため、近づかれたが最後、騙されない手段はない。
 これらの策を仕組んだのは、もちろん、裏で組織に加担しているテトラだ。自分の元から逃げようとする仲間を、少しでも道連れにしたい。それが、テトラの野望だった。
 ヤスとポパイは、デッド・リーによって健常者になった。だが、一生お菓子をやめるなんてことができるほど意志の強い人間が、果たしてどれだけいるだろうか。元々、欲望に弱い2人だ。快楽のために使用した薬は、簡単にやめられない。たった1週間で、また元の薬中に戻すことができた。彼らには、オレオレ詐欺の仕事や、風俗店の仕事を与えて、テトラの元から逃げられなくしてある。
 カミも、今回の一件でソープに沈めることができた。ここで金を稼がせて、息のかかっているカミの担当ホストと折半する。そうすれば、金を返し終わるまでに長い時間がかかり、カミの若さが失われるまではソープで働かせることができる。
 もっと若いトー横の少女たちは、少女売春としてプチエンジェルプロジェクトに加担させている。自分よりも若くて可愛い子を3人紹介すれば辞められるということにしているが、実際、ここを辞めさせても、器量に合わせて違う風俗に送るだけだ。もう、夜の世界からは逃げられない。
 テトラの策は、今のところ成功している。バックに新宿卍會という、資本と暴力がついていることが大きい。最後に、ハツジを用心棒へと引きずりこむ。そうすれば、仲間を部下に、ずっと王として君臨することができる。
 テトラは自分の策に満足しているが、自分もレイノにうまく操られていることには気づいていない。テトラはレイノと共に、最後の作戦へと取り掛かった。
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