40 わたしたちだけのひみつ

文字数 7,206文字

 一週間後の朝、テンシュテットがルータを遊びに誘いにうちまで来た。
 なんでも彼は、妹の快復を見届けたあとで自分もばっちり風邪に捕まって、今度は妹によって三日三晩に渡り看病されていたのだそう。これまでに蓄積してきた疲労が便乗して一気に牙を剥いたような、むごたらしい風邪だったという。それがようやく癒えて、どうにかまともに動けるようになったものだから、今日は任務も休みだし、一緒に食事や買い物でもどうかなと思ってさ、と彼は晴ればれとした笑顔でまくしたてた。
 この日は、前日の天気予報では雨もしくは雪になる見込みだといわれていた。でも一夜明けてみたら、人類の観測能力を嘲笑うかのごとき雲一つない青空が、窓の外で全力全開になっていた。それでわたしたちは、悪天候に乗じて決行するのを予定していた用事を取り止めたところだった。ルータが誘いを断る理由はなくなった。
 二人を玄関先で見送ると、わたしとイサクも支度をして出掛けることにした。
 目的は特になかった。
 ぽっかりと空いた一日を、のんびり歩き回ったりいろんなものを眺めたりして、気ままに穏やかに満たそうという心積もりがあるばかり。
 もう、この街にも慣れたものだ。自分の部屋のなかみたいに、どこになにがあるかすぐに思い当たる。暮らしやすい街だった。まるで、昔気質(むかしかたぎ)堅物(かたぶつ)に見えるけれど、話してみると快活で気さくな人みたいな土地柄だ。もしも人間として生まれていたなら、わたしはこんな街にずっと住んで、絵本作家や挿絵画家のような、絵でみんなを喜ばせる仕事に就きたかった。庭の付いた小さな家に暮らして、猫を飼って、市場や書店や画材屋に通って、毎日散歩をしたり料理をしたり庭仕事をしたりして、そしてお休みの日には、郊外の丘に暮らす素敵な友人たちに会いに行くのだ……。


 半日ぶらぶらと街を巡って帰宅すると、アパルトマンの前でラモーナの姿を見つけた。
 彼女はいつものように暖かい格好をして、いつものように白猫を抱きかかえ、いつものように家政婦に見守られていた。
 けれど一つだけ、いつもと違っていることがあった。
 普段は建物の前庭から出ることなく、住宅の敷地内で遊ぶことを習慣としている彼女が、今日は正門の外の、細い通りを挟んだ川沿いの歩道にまで出てきていた。猫を抱えたままぼうっとした面持ちで、堤防の柵に身を寄りかからせ、滔々(とうとう)と流れる大河の水面に見入っている様子だ。
 家政婦の女性は門柱に背を預けて立ち、抜かりなく周囲を見張っている。少し険しい表情をしてはいるけれど、この道は車や馬はほとんど全く通らない。とりわけ今の時間帯は、主婦や学童やカラスや落ち葉なんかが気紛れに通り過ぎていくだけの、絵に描いたように閑静な通りだ。
 わたしたちに気付いた少女は、にっこりと明るい笑顔を浮かべてお辞儀をした。
「こんにちは、ラモーナ」わたしが言った。
「こんにちは」
 少女は愛想よくこたえる。しかしその腕のなかのケルビーノは、二人きりの時間を邪魔されて愛想を取り下げた。
 猫をそっと下へ降ろしてやりながら、少女はこちらを見あげる。
「お二人で、おでかけしていらしたんですか」
「うん、そうなの」わたしはうなずく。「ラモーナはこんなところでなにをしてるの? 寒くない?」
「はい、さむくないです。へっちゃらです」その言葉とは裏腹に肩を縮こませて、彼女は大袈裟に背筋を伸ばす。「いまは、タフィー川をながめていました。ケルビーノといっしょに」
 そのケルビーノは、すでに通りを横切って路地裏へと消えていくところだった。
 わたしは猫から視線を戻し、もう一度ラモーナを見おろした。
 以前に着ていたのとおなじ羽根綿の詰まった上着を、彼女は今日もしっかりと着込んでいる。前側のボタンは上から下まで全部留められ、ふかふかとしたフードが首回りを包んでいる。マフラーは巻いていない。手袋も着けていない。袖口からのぞく両手の指先は、ほんの少し震えているようにも見える。
「それ、どうしたの」
 出し抜けにイサクがたずねた。
「え?」わたしとラモーナが声を揃えた。
「それだよ」イサクは指差す。「その、手首に着けてるやつ」
 彼女がいったいなにを言っているのか、わたしにはわからなかった。けれどラモーナは、まるで氷水でも浴びせかけられたみたいに頬をこわばらせ、上目遣いでじっとイサクの顔色を窺った。
「今まで、そんなの持ってたっけ?」少女の手もとをのぞき込みながら、イサクはなおも(ただ)す。
 少女は眉と唇を()ねくり回して笑顔をこしらえはしたが、やがて観念したかのように、縮こまらせていた肩をすとんと落とした。両手がすっかり露わになり、イサクが目ざとく指摘したとおり、その左の手首には、これまで見掛けたことのないブレスレットが巻かれていた。ビー玉くらいの大きさの鮮やかな黄色い(たま)が、数珠(じゅず)繋ぎになっている品だ。
「あら、素敵ね」わたしは笑みをこぼした。「よく似合ってるわ。お父さんに買ってもらったの?」
 少女は右の手でそれをさっと包み隠し、短く首を振った。
 わたしとイサクは顔を見あわせた。
「……ね、じゃあそれ、どうしたの」柔らかい声を作って、イサクが追求する。
「これは……」少女はブレスレットをじりじりと肘の方へ()り上げながら、わたしとイサクの顔のあいだに輝く夕陽へと視線を泳がせた。「……これは、実は、今日ここをとおりがかったかたから、いただいたんです」
「なにそれ」イサクが首をかしげる。
「どういうこと?」コートの裾を折って、わたしはその場にしゃがみ込んだ。そしてほほえみかけた。「ねぇラモーナ。お姉ちゃんたちに、なにがあったか教えてくれる?」
 ちらりと振り返って家政婦を見やってから、少女は改めてこちらに向き直った。
 それから一度こっくりとうなずき、深呼吸をして、ゆっくりと口を開いた。
 その話を要約すると、こういうことだった。


 この日の昼、天気が良くて陽射しも暖かそうなので、ラモーナと家政婦はお弁当を作って前庭でランチを楽しむことにした。
 ところが食事が始まってしばらくすると、急に家政婦のお腹の調子が悪くなった。くれぐれもここから動かないようにとラモーナに告げて、彼女は建物のなかへ一人で戻っていった。階段を上がる余裕がなさそうだったので、慌てて彼女は一階に住む管理人の部屋のドアを叩いた。サラマノさんが家政婦を出迎えて、お手洗いに案内し、そのあとで薬箱を持ち出してきて中身を探り始めるのを、ラモーナは外から窓越しに眺めていた。
 するとその時、庭と外の通りを隔てる門扉(もんぴ)(かげ)に、彼女の友人ケルビーノが姿を現したことに気が付いた。ラモーナは食べ物をベンチに置き、そちらの方へ駆けていった。
 門柱に鼻先を(こす)り付けてからその場で毛繕いを始めた白猫を、ラモーナは背後から忍び寄ってひょいと抱き上げた。
 ちょうどその瞬間だった。
 アパルトマンの前を通りがかった一人の見知らぬ男性が、ラモーナの眼前で立ち止まった。
 そしてきょろきょろとあたりを見回すと、なにやら困り果てた様子で、少女の方へ接近してきた。
 少女はさっと身を翻して建物の方を向いた。家政婦はまだお手洗いに籠もったきりだ。サラマノさんは、今やっとこさ老眼鏡を掛けたところ。
 男性は、身なりの良い紳士だったという。
 ラモーナは、その人のことを〈学者さん〉と呼んだ。
 といっても、その人物がみずからそう名乗ったわけではない。少女が勝手に憶測してそう呼んでいるだけだ。いわく――だってあんなにどうどうとされていらして、めがねがおにあいになっておられて、お顔だちのりりしいかたは、学者さんかなにかにちがいないもの。
 どうやら学者さんは、道に迷っているらしかった。
 少女がこの付近に住んでいることを察すると、(わら)にも(すが)るような勢いで、行先までの道のりをたずねてきたという。
 しかし少女は、彼のお役には立てなかった。
 彼が目的地としている場所の名前を、彼女は一度も聞いたことがなかった。ごめんなさい、おちからになれなくて。
 ところが彼は残念そうな顔一つせず、むしろいっそう紳士的な微笑を浮かべると、突然思いだしたように(かばん)を開けてなかを探りだした。そこから、(くだん)のブレスレットが登場したわけだった。
 その可愛らしい装身具に、少女の目は、そして心は、一瞬にして奪われてしまった。
 学者さんは立膝をついて恭しくしゃがむと、それをそっと少女に向けて差し出した。
 今にも手を伸ばしてそれをむしり取ってしまいたい衝動を覚えた少女だったけれど、ぎりぎりのところで踏み(とど)まった。
 そんな少女の姿を優しく見つめ、紳士は語りかけた。
 実は最近、知人夫婦の娘さんが誕生日を迎えたところで、その贈り物としてこれを購入した。しかしその子の母親がこれとよく似たものを娘さんに贈ることが、事前にわかってしまった。それで直前に別のものに差し替えたのだが、子供もおらず幼い友人も持たない自分としては、この品物をいったいどうしたものかと考えあぐね、理由(わけ)もなく鞄に入れっぱなしにしていた。もしよかったら、お嬢さん、これをもらってくれないかな。
 然るべき遠慮の言葉を口にしつつも、結局少女は圧倒的な決意と歓びをもって、それを受け取ることにした。
 どうもありがとうございます。
 いいや、こちらこそありがとう。良い一日を。
 はい、あなたも。……
 このようにして、ひと時の不思議な邂逅は幕を閉じた。ほんの数分足らずの間の出来事だった。
 いつの間にか、猫はどこかへ行ってしまっていた。見知らぬ訪問者を警戒したに違いなかった。でもそのうちまた戻ってくるはずだ。家政婦もやっとお手洗いから解放された。すかさずサラマノさんが水の入ったコップと薬を持って彼女に近付く。しかしそれを受け取るより先に、家政婦は脇目も振らず窓辺へと駆け、少女の姿を確認した。その時にはもう、ラモーナはベンチに座って食事を再開していた。二人は窓越しに手を振り合った。振られる少女のその手に、ブレスレットは着けられていない。それは大事に、ポケットのいちばん深いところに沈めてある。


「しらない人とはおはなししてはいけないって、いつもいわれているんです」もじもじしながら、少女はうつむく。
「じゃあ、その道を訊いてきた人のこと、誰にも話してないの?」わたしは少女の顔を下からのぞき込む。
 少女はうなずく。
「それをもらったことも、言ってないんだ」
 イサクがたずねた。ブレスレットは今またこっそりと外され、上着のポケットに押し込められたところだった。
 わたしはその一瞬の間に、注意深く観察した。
 上質な衣服を身に着け、見るからに育ちの良さそうなこの幼い少女に、その装身具は実に程好く似合っていた。といって、なにもそれが高価なものに見えるというわけではない。むしろ、ちょうど良い具合に安っぽい。下町の玩具店で見かけるような代物と、そう変わらない。でも決して、(ひん)に欠けているわけではない。

には見えない。たぶんわたしやイサクが着けても、そこまでおかしくない。けどやっぱり、年端のいかない少女向けの商品らしい愛嬌がある。
 ふと、わたしは思いだす。
 そういえば、よほど怪しいものでない限り、贈り物というのは四の五の言わずに受け取っておくのがいいという、いささか風変わりな教育を、この子が母親から授けられていることを。
 だけどそれにしたって、見ず知らずの紳士から出会い頭にプレゼントを贈られるというのは、これは果たして、どう受け止めるべき状況なのだろう。そうそう日常的に起こるような出来事でないのはたしかだ。でも考えてみたら、小さな子が大人の人からお菓子やら玩具やらを与えられる光景は、割とよく目にする光景でもある。というか、わたし自身がそれをしたことがある。
 ぶつぶつと思案しながら、わたしはじっと幼い少女を見つめる。まったく、いじらしいとはこのことだ。まるで、飼うことを禁じられている仔犬か仔猫を拾って必死に(かくま)っているような、ひりひりと胸を焦がすまなざし。ラモーナはその小さな手のひらを、ポケットの上にぺったりと押しつけて、頑なに離そうとはしない。よっぽど魅入られてしまったものと見える。こんな状態の幼子を責めたり(とが)めたりする勇気は、なかなか湧いてこない。きっと、早く一人きりになって着けてみたくて、こんな寒い場所まで出てきていたのだ。川を前にしたこの場所でなら、家政婦に見つからずにすむかもしれないと考えて……。
 わたしは立ち上がってコートの皺を伸ばすと、吐息混じりに少女に語りかけた。
「そんなに気に入っちゃったんだ」
 彼女は顔を上げて、うるうると揺れる瞳でわたしを見つめる。そしてちょこんとうなずく。
「でもそれ、どうするの」イサクがたずねる。「お母さんとか、あそこにいる人とかに見つかったら、なんて言うの」
「わたし……」少女はやおら決然とした光をその目に宿す。「わたし、これをわたしだけのひみつの箱にしまっておきます。そしてこれから十ねんでも二十ねんでも、ず~っとたいせつにします。そしてそして、わたしがいつかおおきくなって、じぶんですきなものをなんでもかえるようになったら、そのときに、じぶんでかったみたいにして、これを箱からだします。それまでは、おへやで、ひとりで、つけたりながめたりするだけにします」
 わたしとイサクは再び顔を見あわせた。そして共に苦笑した。
「だから、おねがいです」少女は懇願する。「きょうのことは、わたしたちだけのひみつにしておいてください」
 もちろんわたしたちは聞き入れた。誰に断ることができようか。
 通りの向こうに目をやると、家政婦の女性が笑顔の会釈を送ってきた。わたしはそれにこたえる。すっかり顔馴染みになっているので、彼女はわたしたちが少女のそばにいることに(かえ)って安心している。
「でも、ラモーナ」ちらと少女を見おろして、言い含めるようにわたしは告げた。「やっぱり、全然知らない人とはお話ししちゃ駄目。特に、周りに他の大人の人がいない時には。いい?」
「はい」おでこが胸に埋まるくらい深く、少女はうなずく。
「よろしい。今日のことは内緒にしておくけど、これからはくれぐれも用心するんだよ」
「はい。きをつけます」
「……ねぇ、ちょっと待って」ふいにイサクが目を細めた。まるで何事かに思い当たったかのように。そしてまた少女にたずねる。「その、道をたずねてきたっていう人のこと、もうちょっと詳しく教えてくれない」
 ラモーナは空を仰ぐように顎を持ち上げて、記憶のなかの〈学者さん〉の姿を追想した。
 痩せていて、背が高い。肩幅もある。脚もとても長い。
 鎖の付いた金色の片眼鏡(モノクル)。黒いリボンの巻かれた灰色のシルクハット。
 黒いコート、灰色の背広。黒い蝶ネクタイ、灰色のシャツ。黒い革靴、灰色の鞄。
 髪はぴったりと撫でつけられて帽子に収まっていたので、どんな色をしていたかわからない。
 鼻の下にも頬にも顎にも、髭はなし。もみ上げもつるつる。
 肌は張りがあって健康的で、ほんのり日焼けしているけれど、元々は色白(いろじろ)そう。
 年齢は、あまりはっきりしない。でもまだ、いわゆるおじさんという感じはしない。たぶん、見た目より若いはず。……
 周囲の安全を確かめると、わたしとイサクは少女の手を引いて家政婦のもとへ送り届けた。途中まで四人で一緒にアパルトマンの階段を上り、わたしたちの部屋のある階で別れた。
 手を振りながら最上階へと上がっていく少女は、踊り場の角を曲がる間際に、こちらに向かって恐ろしく真剣なまなざしを注いだ。
 大丈夫よ。
 と、わたしは声には出さず唇だけぱくぱくと動かした。約束は守るわ。
 少女は大きな安堵の笑みを浮かべ、頬を美しい桃色に輝かせて、行ってしまった。


 それからほどなくしてルータも帰宅したので、三人で老師の病室を訪ねた。
 暮れゆく太陽がすべてを真紅に塗り込める部屋のなか、わたしたちは点滴を受けながら熟睡する老師を囲んだ。
 窓の向こうの街並みから、そして院内の廊下や階段の奥から、さまざまな物音や人々の話し声が伝わってくる。
 けれどそれらはいずれも、まるで川底に沈められてしまったもののように、ぼんやりと揺らめいて聴こえる。あるいは、こことは異なる宇宙の、異なる摂理のうちに律動する、知覚しがたい音波のように。
 石みたいに硬く、枯れ枝みたいに(ふし)くれ立ち、ガラスみたいに冷ややかな老いたる手を握りしめ、こうして暴力的なまでに赤く染まる部屋に座り込んでいると、この世界のなにもかもが、わたしたちのもとから遠ざかっていってしまうような気がした。
 小一時間ほど病室に居たけれど、老師は一度も目を覚まさなかった。なにも知らない赤子のように、ティースプーンで(すく)うほどの分量の酸素を、ゆっくりと吸って吐いてを繰り返した。
 この(かん)イサクはずっと、祖父の手を両手で包んで自分の額にあてがい、なにかを強く念じていた。
 その肩に彼女の兄とわたしが、そっと手を載せた。そして腰を抱いて立たせた。
 三人とも少し歩き疲れた一日だったので、このまますぐには帰宅せず、適当な場所で夕飯を済ますことにした。
 瞬く間に真っ暗になった空に、今夜は星がほとんど見えない。夜闇と一緒に、大陸のように広大な暗雲が迫り来ていた。
「明日はかなり吹雪(ふぶ)くぜ」近くのテーブルに座っている(きこり)らしき集団の一人が、窓の外を睨んでそう言うのが聴こえた。「間違いねぇ。この俺が言うんだから」
「……だとさ」
 彼らの耳に入らないよう、ルータが小声でつぶやいた。
 わたしとイサクは黙って肩をすくめた。
「明日、行こう」窓から夜空を見あげ、ルータが言った。
「……めんどくさ」気怠げにスープを掻き混ぜながら、イサクがため息をついた。
 わたしはまた肩をすくめた。
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登場人物紹介

◆リディア


≫『独唱編』シリーズの主人公/語り部。人に見えて人に非ざる、ある謎深き一族の末裔。数少ない同族の生き残りであるルータたちと共に、広大な森の奥地に隠遁している。絵を描くことがなにより好き。

◆ルータ


≫リディアとおなじく、現生人類とは異なる神話的な一族の末裔。穏やかで飾らない人柄だが、責任感は誰より強い。大変な読書家。

◆イサク


≫ルータの実妹。リディアとは物心つく前からの親友どうし。かなりの人間嫌いで普段の言動も素っ気ないが、動物や自然を愛する心はとても深い。共に暮らす祖父の身を常に案じている。

◆テンシュテット・レノックス


≫ホルンフェルス王国の名家レノックス家の長子。〈想河騎士団〉副団長の立場にあるが、国王の命を受けてある調査隊の長を兼任する。子供のように穢れなき心の持ち主で、古代神話の謎を解明するのが積年の夢。

◆ヤッシャ・レーヴェンイェルム


≫ホルンフェルス王国軍人。平時は一個精鋭歩兵部隊を指揮するが、現在はある調査隊の副長を兼務する。家柄も発顕因子も持たない身でありながら、その傑出した実力と戦歴の故に国王の寵愛さえ受ける。

◆〈アルマンド〉


≫三年ほど前にホルンフェルス王国が建造に成功した、史上初の完成体カセドラ。同国軍の主力量産型巨兵として、また現世界最強の巨兵として、広くその名を知られている。

◆〈ラルゲット〉


≫コランダム公国が隣国ホルンフェルス王国の〈アルマンド〉に対抗すべく製造した、主力量産型カセドラ。運用が開始されてからまだ日が浅い。

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