29 もしも彼らに逢えるようなことがあったなら

文字数 7,236文字

 中身がだいぶ減っていたのが(さいわ)いして、テーブルはさほど濡れなかった。ルチアの口から漏れた小さな悲鳴を聴きつけた給仕の男性が、手際よく片付けてくれた。
「みなさん、お怪我はありませんでしたか?」
 わたしたちは首を振った。給仕の男性はほっと息を吐いた。そして大きなボウルにひびの入った瓶を慎重に入れ、テーブルを拭きながら申し出た。
「新しいものをお持ちしましょうか」
「お願いします」わたしは言った。
「おなじものでよろしいですか?」
 わたしはみんなを見渡して確認を取った。「ええ」
 ボウルのなかのものを首をかしげて眺めつつ、彼は厨房の奥へ引っ込んでいった。
「あぁ、びっくりした」ルチアはぱちりと瞬きをした。そして自分のグラスを近くの(あか)りに透かし、その内側をまじまじと検分した。「妙なこともあるものね。最初から割れかけていたのかしら。破片とか入ってないよね」
 テンシュテットも片目を瞑って顔の前でグラスを揺らす。
「そんなふうには見えなかったけどな」
「でもそれ以外、考えられなくない? あんなの初めて見たわ」
 わたしたち三人も、二人に(なら)って自分たちのグラスを調べる。もちろんなにも問題はない。ルチアの眉間に集まっていた薄く上品な皺たちが、早くも解散を告げられる。
「まぁともかく、誰も怪我したり服を濡らしたりしなくてよかったですね」少女はけろりと言った。
 新しいワインが運ばれてくるのと、各々が注文した肉や魚の料理がテーブルに並べられるのが、ちょうど重なった。一同は気を取り直して再びグラスを重ね、それぞれの料理の感想を述べあったり、他愛のない雑談――天気のこと、この街での暮らしのこと、今流れている音楽のこと、等々――に花を咲かせた。割れた瓶が巻き起こした小さな騒ぎのおかげで、直前まで青年たちが口にしていた小説の話題は脇に追いやられた。そのまま忘れ去られて、どこか(すみ)の方でじっとしていればいい。
 食事をしながらみんなでもう一度ワインリストを眺めた。女性陣は今のままでいいという意見で一致した。ルータとテンシュテットが二人だけで話し合って、新たに別のワインを取った。そちらは泡の立つ軽やかな白ではなくて、重く濃厚な赤。二人は丸みを帯びた大ぶりのグラスをそれで満たし、男同士にしか授受できない暗号でも送り合うみたいに、ひっそりと乾杯をした。
「ルータたちのおじいさんが元気になられたら、是非ともお会いしてみたいものだよ」
 グラスをくるくると回しながら、テンシュテットが言った。
「どうして?」ルータは彼の目をちらりと窺う。
「昔のお話をうかがってみたいんだ」
「兄さんは子供の頃から、ご年配の方々の話を聴くのが大好きなんです」ルチアが解説する。「そのおかげで、どこへ行ってもおじいさまやおばあさまがたに可愛がられたものです。今だって、考古学とか伝承学とか民俗学とか、そういう古い時代を扱う学問に夢中なんですよ。一度みなさんにも見てもらいたいな、実家の兄の部屋を。もう、訳のわからない古ぼけたがらくたとか古文書とかでいっぱいなんですから」
「がらくたとはなんだ」青年は顔をしかめる。「おまえみたいな新しもの好きには理解できないかもしれないけどな、ああいった逸品はどれもこれも二度とは手に入らない貴重なものなんだぞ」
「はいはい」妹は首をすくめ、わたしたちに向かって苦笑してみせる。「ほら、いつもこんな調子なんですよ。周りがほとほと呆れ果ててることなんか、まるで目にも入っちゃいないんだから。あんな泥や(ほこり)や虫まみれの骨董品をありがたがってるのは、兄さんくらいのものよ」
「泥や埃……」兄はがっくりと肩を落とし、恨めしげに妹を睨む。「人が小さい頃から集めてきた宝物を、よくもそんなふうに……」
 ふと見るとルチアのグラスが空になりかけていたので、わたしは白ワインをそれに注いであげた。彼女は恐縮して礼を述べ、また清々しい飲みっぷりを披露してくれた。優雅な手つきでグラスを置いて、彼女は口もとを拭いつつ話を続ける。
「だから今回のクーレンカンプの新作なんて、きっと兄さんの心を鷲掴みにしたにちがいないんです」
「なるほどね」ルータはにやりと笑う。「そういうことだったんだ。たしかに今作は、古代神話にまつわる逸話や言及が、いつにも増して山盛りだったものね」
「あぁそうさ。そのとおりさ」テンシュテットは悔しそうに、でもそれ以上に(たの)しそうに、こくこくとうなずいた。「おかげで立て続けに三度も読み返してしまったよ」
「気持ちはわかるよ」ルータもうなずく。「現実の歴史や神話を創作に盛り込む手腕には昔から定評のある作家だけど、今度の作品からは異様なほど鬼気迫る取材と研究の手応えが伝わってきた」
「超古代文明の遺産〈月雫(げつれい)の果実〉、古代アトマ族の大賢者たち、空飛ぶ方舟(はこぶね)……」ルチアが指折り列挙する。「たくさんの重要なモチーフが登場しましたよね」
 かたん、かたん、と冷ややかな音を響かせて、イサクがナイフとフォークを順に置いた。そして両手を軽い握り(こぶし)にしてテーブルの縁に添え、つんと顎を上げた。
 ちょっと不穏な予感がしたけれど、遅かった。
「妖精郷〈テルル〉は出てくる?」
 イサクが訊いた。ルータにでもなくルチアにでもなく、ただテンシュテットだけに向かって。
「出てきますよ」
 間髪入れず青年はこたえた。その即応ぶりが、実にいじらしい。ワインのおかげで顔が赤くなっていてよかったね、とわたしは内心思う。それに、店内はほどよく暗いし。もしこれが昼間の明るいうちで素面(しらふ)だったなら、その顔色は平静を保てていなかったんじゃないかしら。
 頬の赤みを増補するための燃料をさらに喉へ流し込むと、青年は人知れず深く息を吸って、止めて、静かに吐いた。そして、とても上手に自然な笑顔を作り上げた。
「イサクさんは、〈テルル〉にご興味がおありですか」彼はたずねる。
「まぁ少し」イサクは肩をすくめる。「子供の頃、じいちゃんがよく昔話の絵本を読んでくれたんで」
「それに〈テルル〉が描かれていた?」
「うん」
「どんなでした?」
「どんなって……」彼女は首をかしげる。「別に、どうってことない、典型的な楽園って感じで描かれてたと思うけど」
「典型的な楽園、か。だとしたら、あの絵本かな……」腕を組んで、青年は大真面目に考え込む。
「ほら、また」ルチアが兄の肩を小突く。そしてこちらを向いて大袈裟に嘆息してみせる。「ね。この人ったら、すぐこうなっちゃうんですよ。自分の好きなものについて考えだすと、他のことは一切お構いなしになって延々と追求し始めるんだから。この手の話題に食いついたが最後、まるでスッポンみたいに離れないんです」
 わたしはくすっと笑った。「素敵なことじゃないですか。そこまで夢中になれるものがあるなんて」
 彼方へと飛ばしていた意識を一気に地上へ降下させて、青年はわたしにほほえみかけた。
「さすがはリディアさん。うちのじゃじゃ馬と違って、実に共感力が豊かでいらっしゃる」
 遠回しに責められた妹が、すかさずなにか反論しようと身構える。でもそれより先に、わたしが口を開いた。
「テンシュテットさんは、〈テルル〉にもお詳しいんですか」
 そんな素振りはおくびにも出さずに、ルータがため息をつくのが感じられた。けれどわたしは、質問を取り下げない。だって、これこそ機会というものだ。
「……ま、それなりに……ってとこですね」青年は軽く目を伏せ、哀愁さえ漂う細い声でこたえる。「胸をどんと叩いて、そのことならなんでもこの僕にお尋ねください、なんて言えたらかっこいいのですけど。〈テルル〉については……あのいくつもの創世神話や古代の伝承にその名が語られる楽園については、残念ながら、空想をもとに理想郷を描く絵本作家とさして変わらない程度の知識しか、持ち合わせていません」
 同情するように、あるいは理解を示すように、ルータは静やかにうなずいた。そして色濃い赤ワインをそっとあおった。
 テンシュテットはわずかに背中を丸め、組み合わせた両手を眼前に置き、それを相手に打ち明け話でもするみたいに、密やかな語り口で吐露する。
「……子供の頃からずっと変わらない、大切な夢なんだ。太古の昔から伝えられる数多(あまた)の神話の謎を、この手ですっかり解き明かすことが。どうやってこの世界が生まれ、こんな形になったのか。僕らはどこから来て、どこへ向かうのか。人間ってなんなのか。アトマ族ってなんなのか。テルルってなんなのか。そして、僕らより先にこの世界に現れ、いつしか忽然(こつぜん)とその姿を消してしまったという原初の人類〈アクア族〉の人々は、いったいどこに行ってしまったのか……」
 その名を耳にしても、もう瓶が割れたりすることはなかった。わたしたちの方にも、すでに動じないための心構えが出来上がっていたから。
「そうそう。その話をしてたんでしたね」
 食べ終えた皿に丁寧に食器を置き、ルチアが先ほどの話題を再び引っ張り出してきた。できればどこかの隅に追いやったままでいてくれたら、よかったんだけど。
「あの最後の決戦の舞台に、突如やって来たアクア族。場面展開としてはすごく面白いし、胸が熱くなりはしたけれど、でもちょっと冷静になって振り返ってみたら、いくらなんでもやりすぎなんじゃないのかな……って気が、しないでもないです」
「と言うと?」唇に付けたグラスの脇から相手を垣間見るようにして、ルータがたずねた。
「だって、もし神話や昔話の言い伝えが本当だとしたら、あの人たちってアトマ族以上に顕術を使い放題なのでしょう。そんな、思うがまま空を飛び回ったり、どんな大きなものでも自由自在に動かしたり(あやつ)ったり壊したりできるなんて……」少女は右に左に白旗を振る仕草を見せる。「その上さらに不老不死っていうんだから、そこまで

の登場人物なんかが出てきたら、それこそ話の収拾がつかなくなっちゃいますよ。これまでの長く険しく泥臭い戦いの物語はなんだったんだ! ってことになりかねません」
「……たしかに」ルータは同感を示す。「そう言われると、並みの作家の手にかかったら物語そのものが破綻してしまいかねないところですね。でも、そこはほら、我らがウィルコ・ゴライトリーですから。きっと読者みんなが納得できるような展望を、お持ちのはずですよ」
「そうそう」テンシュテットも神妙にうなずく。「ここまで来てすべてを台無しにするようなことをなさるわけがないよ。絶対うまいこと大団円に導いてくれるはずさ」
「わたしだって、そうなることを願ってはいるけどね……」ルチアが吐息混じりにつぶやいた。
 それまでずっと厨房のなかにいた中年の女性――たぶんここの一家の母親だろう――が足音を忍ばせて奥から出てきた。店内を壁伝いに移動すると、彼女は蓄音機に操作を加えて音楽を変更した。ピアノと複数の弦楽器の室内楽から、フルートとハープのソナタになった。
 一瞬で室内の空気感が変わった。
 客たちの注文もおおかた落ち着き、それぞれの席の談笑はますます花開き、外の通りでは本格的に雪が舞い始めた。わたしたちのテーブルはいったん片付けられ、そこにデザートとコーヒーが運ばれてきた。それらを堪能するあいだ、ルチアがしきりにわたしたちの家業について質問を浴びせてきた。テンシュテットはそれをたしなめたけど、こちらはなにを気にするでもなく、どんなことにでも答えてあげた。主にルータが。
 よくもまぁ口からでまかせにすらすらとあることないこと話をでっち上げるものだと感心しながら、わたしもどちらかというとレノックス兄妹の(がわ)からルータの語りに耳を傾けた。しまいには、本当に自分たちが普通の宝石商として身を立てているような気がしてきたくらいだ。
 しかしこの(かん)、不気味なことに、イサクはただの一言も発しなかった。むっつりと黙ってレモンスフレを切り崩し、機械的に一片ずつ口に運び、その合間に黒い液体の入ったカップを口もとで傾けていた。
「お聞きすればするほど、興味が尽きません」
 話が一段落つくと、ルチアがしみじみと唸った。
「まったくだ。世のなかには、自分の知らない世界がたくさんあるものだな」テンシュテットも続く。「しかしそれにしても、おなじような品物と付き合ってるなのに、ここまで生業(なりわい)毛色(けいろ)が違うとはね」
「それほどかい?」ルータは首をひねる。
「煌びやかな紳士淑女たちのあいだを、美しい鉱石を抱えて優雅に渡り歩く宝石商。(かた)や、暗い顔をした男たちに囲まれて泥と埃と虫にまみれながら、石ころや土くれと睨めっこする研究者。まさに、月の表と裏って感じだ」
「あら、泥や埃や虫は兄さんの好物でしょ?」
 ルチアがからかった。わたしたちは笑った。ただ一人を除いて。
 固く口を閉ざしていたイサクが、コーヒーを最後の一滴まで飲み干して、真上から垂直にカップをソーサーに降ろした。
 そして出し抜けに、脈絡のない問いかけを放った。
「ねぇ。さっきあなたが口にしたその〈アクア族〉っていうのが、もし今もこの世界のどこかで生きてたとしたら、あなたはいったいどうするの」
 やはり、問われているのはテンシュテットだった。
 暖炉や燭台の炎が、眼鏡のレンズの表面で蜃気楼のように揺らめく。そしてその幻影の奥には、まるで波のない夜の湖のように澄み切った深青(しんせい)の瞳が、くっきりと真円を描いている。
 ルータとわたしは静かに息を呑んだ。
 ルチアは――無邪気にも――興味ありげに目を光らせて、兄の様子をじっと窺っている。
 青年は、束の間、たじろぐように身を引いた。
 けれどすぐにまた、まっすぐ前を向いた。
「もしも……」遠い目をして、彼は考え込む。そして偽りのない言葉を、想いを、自分自身の内で探っていく。「もしもアクア族が、現代に生きていたら……。う~ん、そうですね……月並みだけど、やっぱり、とりあえずは直接会って、ゆっくり話をしてみたいかな」
「……はなし」イサクの瞳孔がぴくりと震えた。「……それだけ?」
「ええ。もしも彼らに逢えるようなことがあったなら、互いに面と向かい合って、いろいろとお喋りをしてみたいです」想いに耽るように、青年はふと彼方を見つめる。「それで……あわよくば、友だちになれたらいいですね」
 ロウソクの火を吹き消すような息遣いで、ルチアが微笑した。
「お喋りをして……」わたしは言った。
「……友だちに」ルータが言った。
「それだけ?」イサクが繰り返した。
「はい」雪融けの時を迎えた春の野原みたいに笑って、青年はこくりとうなずいた。「それでじゅうぶんです」
「……そう」
 回答を得た問者(もんじゃ)はそれきり口をつぐみ、再び目の前のカップに手を伸ばした。でもそれはすでに空だ。
「もう一杯頼みましょうか?」テンシュテットが声をかけた。
「ううん」イサクは首を振った。「もういい」
 ちょうどその時、街の時計塔の鐘が鳴った。毎日何度も耳にしている音だけど、今夜はずいぶんと柔らかく、胸にしっとりと沁み込むような響きに感じられる。まるで、海の底で聴いているみたいだ。
 今、何時なんだっけ。きっと、十時とか、十時半とか。
 けれど、そういった数字の列を思い浮かべてみても、なんだか今はそれらの記号の意味がうまく頭に馴染まない。
 これまで暮らしてきた世界からいつのまにか遠く離れて、時間の概念さえも変容してしまった不思議な場所に、まるで自覚のないまま、不時着してしまっていたみたいな気分だ。
 ここは、なんていうか――とても静かだ。
 しばし瞳を閉じて、背中を(ゆだ)ねたくなってしまうほどに。
 背中を委ねる?
 いったい、なにに?……
「良い時間になりましたね」鐘が鳴り止むのを待って、テンシュテットがささやくように言った。「こんなに幸せな夜は、久しくありませんでした。ルータ、イサクさん、リディアさん、今夜は本当にありがとう」
 互いに感謝の意を伝えあい、しっかりとした握手を交わし、それぞれの辻馬車に乗り込んで、わたしたちはこの夜に別れを告げた。別れ際に、遠からずの再会を約束して。
 すぐには感想や評価をまとめられない演劇を観賞した後みたいに、わたしたちはほとんど口も利かないままアパルトマンに帰り着いた。ただ一言、馬車のなかでわたしが兄妹の二人に、気が動転して瓶を割ってしまったことを謝っただけだった。二人は二人で、あれは自分の顕術が暴発してしまったからだと思う、とそれぞれに主張した。
 (らち)が明きそうになかったので、結局この話はそのまま夜風のまにまに捨て置かれた。それでかまわなかった。結果的には少女が言ったように、誰も怪我したり服を濡らすこともなかったのだから。


 お湯を張った浴槽に身を沈めてキャンドルの火を見つめていると、上階からかすかに歌声が聴こえてきた。ラモーナの母親が、入浴か寝支度をしながら口ずさんでいるにちがいない。あるいは、娘への子守唄かもしれない。そうだったら素敵だな、と思う。
 やがて歌が終わると、わたしも火を吹き消し、おやすみラモーナとつぶやいて浴室を出た。
 三人で川の向こうへ祈りを届けて、口数の少ないまま、わたしたちは各自のベッドへ向かった。
 首もとまで毛布を引き上げたまさにその時、すとん、と小さな物音がした。わたしの部屋のベランダにケルビーノが訪ねてきたところだった。すかさずわたしはスケッチブックを手に取り、月明かりを浴びながら毛繕(けづくろ)いに(いそ)しむ彼女の姿を描きとめた。それは思いがけずとても出来(でき)の良い素描になった。
 描き終えたそれを眺めながら、わたしは眠りに落ちていった。
 耳の奥では、まだレノックス兄妹の甘く溌溂(はつらつ)とした声の残響がきらきらと踊っていた。
「おやすみ、二人とも」わたしは声にならない声でつぶやいた。「おやすみ、二人も」続けて繰り返した。
 そして両目を閉じた。スケッチブックは開いたままだったけど、もう指一本動かす気も起きなかった。
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登場人物紹介

◆リディア


≫『独唱編』シリーズの主人公/語り部。人に見えて人に非ざる、ある謎深き一族の末裔。数少ない同族の生き残りであるルータたちと共に、広大な森の奥地に隠遁している。絵を描くことがなにより好き。

◆ルータ


≫リディアとおなじく、現生人類とは異なる神話的な一族の末裔。穏やかで飾らない人柄だが、責任感は誰より強い。大変な読書家。

◆イサク


≫ルータの実妹。リディアとは物心つく前からの親友どうし。かなりの人間嫌いで普段の言動も素っ気ないが、動物や自然を愛する心はとても深い。共に暮らす祖父の身を常に案じている。

◆テンシュテット・レノックス


≫ホルンフェルス王国の名家レノックス家の長子。〈想河騎士団〉副団長の立場にあるが、国王の命を受けてある調査隊の長を兼任する。子供のように穢れなき心の持ち主で、古代神話の謎を解明するのが積年の夢。

◆ヤッシャ・レーヴェンイェルム


≫ホルンフェルス王国軍人。平時は一個精鋭歩兵部隊を指揮するが、現在はある調査隊の副長を兼務する。家柄も発顕因子も持たない身でありながら、その傑出した実力と戦歴の故に国王の寵愛さえ受ける。

◆〈アルマンド〉


≫三年ほど前にホルンフェルス王国が建造に成功した、史上初の完成体カセドラ。同国軍の主力量産型巨兵として、また現世界最強の巨兵として、広くその名を知られている。

◆〈ラルゲット〉


≫コランダム公国が隣国ホルンフェルス王国の〈アルマンド〉に対抗すべく製造した、主力量産型カセドラ。運用が開始されてからまだ日が浅い。

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