第59話  亮介の場合  石垣島前日 9

文字数 362文字

 マンションに帰って来てドアを開けた。
家の中は真っ暗だった。
皆、寝ているのだ。
俺は電気を点けた。
「ふうっ・・」
兎に角、ほっとした。

俺は皆を起こさない様にそっと廊下を歩いた。
リビングはがらんとしていた。
ソファの上に何かが置かれている。
「えっ?」
俺は立ち竦んだ。
そこに走り寄った。
俺の荷物だ。
大きなスーツケースに入れて置いた・・・。
部屋の中を見回す。大きなスーツケースが無い。どこにも無い。
まさか・・・。
ドキドキした。まさか、まさか。

テーブルの上に封筒がひとつ。封筒には弁護士の名刺がクリップで留められていた。
俺は震える手でそれを取り上げた。
写真が入っている。写真がいくつも。
俺は封筒をひっくり返した。

バサバサと写真が落ちた。
PCで見たのと同じ。エリと俺の写真。それが何枚も・・・。
最後にからんと英子の結婚指輪が落ちて転がった。
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