第52話  亮介の場合  石垣島前日 2

文字数 798文字

戻る途中にスタバがあった。
俺はそこに入った。
今、見た事をよく考えてみようと思った。

あれはエリの新しい彼氏なのか?まさか俺に紹介するとか?・・・そんな事はあり得ない。俺と会う前に、彼と会って・・?何の話をするのだろう?・・・俺の頭はあらゆる可能性を探っていたが、全く見当が付かなかった。
でも、彼が同じ店にいるという事は、俺とエリの話に関係があるという事なのだろうな・・?

「エリは、あの男とずっと二股を掛けていたのか?・・・・??」
俺はそう思った。エリなら有り得ると思った。
俺は時計を確認した。
そして立ち上がった。

俺は時間ぴったりに店に入った。
店の中を見回すと、エリはいなかった。
だが、あの男がいた。
男は俺を見た。
俺も男を見た。
男はすぐに机の上のPCに目を落とした。

俺は店の人に聞いた。
店員は言った。
「ご予約を頂いた、マルケッタ様ですね。マルケッタ様はコテージの方にいらっしゃいます。今、ご案内を致します」

 多国籍料理のその店はちょっとした庭があって、そこに張り出した感じでコテージが作られていた。
「個室をご予約されましたので」
店の女性はそう言った。
茶髪の男の横を通り過ぎる。俺は男を見た。
男は顔を上げなかった。

扉を開けるとエリが手を振った。
正面がガラス張りになっている。
俺は立ち止った。
ガラスを通して、男がこちらを見ているのが分かった。
男は席を移動したらしい。こちらに正面を向けている。
俺は男に背中を向けて座った。

「亮ちゃん。御免ね。忙しいのに。どうしても早めに話をして置きたくて」
エリが言った。
「ああ。久し振り。いいよ。だってすぐ済むのだろう?で、新しい仕事は決まったの?」
俺は微笑んで言った。
「うん。決まったよ。今度は横浜なの。だからちょっと遠くなるから、引っ越そうかなと思っているのよ。でね・・。話と言うのは・・」
エリは一旦言葉を止めて、俺を見た。

「実は赤ちゃんが出来たの」
彼女はそう言った。

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