第30話  亮介の場合  インスタントラーメン 

文字数 898文字

エリと別れて、さっさと家に帰ってきたが、家の中は真っ暗だった。
「あれ?どこかへ行っているのか?」
そう思って、家族のグループラインに「帰って来たよ。みんなどこに行ったの?」
と送った。

英子から「今日は飲み会だと言っていたから、三人で外食に出掛けた」
と返って来た。
俺は「何だ・・・」と思った。
これだったらエリと行っても良かったかも知れない。

大したものは食べていなかったから、インスタントラーメンを作って食べた。冷蔵庫の中の野菜やハムを切って炒めてラーメンの上に乗せた。ビールを飲みながらそれを食べた。
独身の頃はよくこれを食べたなあ・・・と思い出した。

 時計を見ると9時を過ぎていた。
俺は自分の使った食器を洗って、それを仕舞った。
風呂を洗って湯張りをする。

 
テレビを見ていると玄関の開く音がして、がやがやと3人が返ってきた。
「ただいま~」
「パパ。早かったね」
梨乃が言った。
「うん。ちょっとね」
俺は答えた。
「珍しく早かったのね」
英子が言った。
頬がほんのりと赤い。
ほろ酔い気分らしい。朝のつんつんした感じが無くなっていて、俺はほっとした。
「パパに。はい。お土産」
英子は小さな箱を差し出した。
「何?」
「チーズタルト。美味しいよ」
「有難う。早速食べようかな。・・何を食べてきたの?」
俺は聞いた。
「お寿司」
英子が言った。
「新しい店を開発したの。美味しかったわよ。今度は一緒に行きましょう。・・・今、お風呂を入れるわね」
「ああ、もう入れたから。入るのなら先に入ってもいいよ」
俺は言った。
「有難う。じゃあ、ちょっと先に洗面所を使うね」
英子はそう言うと洗面所に入って行った。

俺は和巳が部屋に行こうとするのを呼び止めて言った。
「和巳は明日、何か用があるの?」
和巳は特別無いよ。と答えた。


「じゃあ、明日パパとどこかに行かないか」
「どこへ?」
「明日までに考える」
「別にいいけれど」
「じゃあ、明日は9時出発な」と俺は言った。
「ママと梨乃は?」和巳は尋ねた。
「ママと梨乃は置いて行く」
俺はそう言った。

「お先に」と言って英子が風呂から出て来た。
「やけに早いな」
俺が言うと「酔っているからシャワーだけにしたの」と言って部屋に向かった。

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