第24話 英子の場合。 ゲス野郎!
文字数 1,140文字
思わず亮介の手を思いっきり払ってしまった。
「しまった」と思ったが遅かった。
亮介には本当に腹が立つ。
私はイライラしながら歩いた。
「君は俺の妻だろう?」だって?
どの面下げてそんな事を言うのか。
恥を知れと怒鳴り付けたい。
「チャラチャラしてんのはお前だろう!!若い女と浮気して!」
私は頭の中で有らん限りの悪態を付く。
辛い。
辛過ぎる。
辛いよ。
夫の裏切りを知っていながら、素知らぬ振りをするのが辛い。
こちらが何も知らないと思って・・・。
本当に私を馬鹿にしていると感じた。
今すぐにでも「ゲス野郎!!」と言って、糾弾してやりたい。
ああ。そうしてしまおうか。こんな復讐なんて考えないで。
ばっさりと切り捨ててしまえば。
すっきりすんじゃないか?
写真だって手に入れたのだから。証拠は揃ったのだから。
でも、そうしたら、今までの苦労はどうなるの?
この3カ月間。じっと我慢して来た私の苦労は。耐えて来た私の苦労は?
それに石垣島は?
石垣島がおじゃんに・・・。折角、頑張って痩せたのに・・・。
あと少し。旅行まで一か月を切ったのに・・・。石垣島に行くんだって。
私は赤信号で立ち止まる。
頭の中にいろいろな自分が浮かび上がる。本屋で寄り添う二人を見付けた自分。あのファミレスで浮気相手を見ていた自分。亮介とマルエリ(マルケッタ・絵里を略してマルエリ)がホテルから出て来た写真・・・。
妻か・・・。
妻って何なのかな?
もう破綻しているのに、お互いにお互いを騙して暮らしている。
何で亮介は私と離婚してあの女と一緒にならないのか・・・子供がいるから?
それとも村瀬さんが言う様にただの『遊び』なのか。
信号が変わって、また歩き出す。
はたと気が付いた。
尊君に電話を入れて置かなくては。
彼は何の事か分からなかっただろうから。
「村瀬が階段でこけて捻挫をしてしまったのです。なので、実行部隊は僕が引き継ぎます」
彼からの電話はそんな話だった。
「それは大変。お大事にしてください」
でも証拠の写真も手に入ったから、調査も終わりでいいかと思ったので、それを伝えようとした。その時、亮介が入って来たのだ。
私はちょっとした策略を思い付いた。
それで一方的にあんな話をしたのだが、尊君は何の事やらさっぱり分からなかった事だろう。
私は尊君にさっきの電話の内容を説明し謝った。
尊君は「ああ。そう言う事だったのですね」と言って笑った。
「で、どうでした?反応は?」
彼は言った。
私は亮介の反応を思い出した。
「もう、すごく効果的だった」
私はそう言って笑った。
笑ったら落ち着いた。
落ち着くと、子供達はさっきの騒ぎを聞いていた。と思い至った。
梨乃と和巳は心配しているだろう。子供達に悪い事をしてしまったと感じた。
それで急いで帰って行った。
歩きながら、ある考えが頭に浮かんだ。
「しまった」と思ったが遅かった。
亮介には本当に腹が立つ。
私はイライラしながら歩いた。
「君は俺の妻だろう?」だって?
どの面下げてそんな事を言うのか。
恥を知れと怒鳴り付けたい。
「チャラチャラしてんのはお前だろう!!若い女と浮気して!」
私は頭の中で有らん限りの悪態を付く。
辛い。
辛過ぎる。
辛いよ。
夫の裏切りを知っていながら、素知らぬ振りをするのが辛い。
こちらが何も知らないと思って・・・。
本当に私を馬鹿にしていると感じた。
今すぐにでも「ゲス野郎!!」と言って、糾弾してやりたい。
ああ。そうしてしまおうか。こんな復讐なんて考えないで。
ばっさりと切り捨ててしまえば。
すっきりすんじゃないか?
写真だって手に入れたのだから。証拠は揃ったのだから。
でも、そうしたら、今までの苦労はどうなるの?
この3カ月間。じっと我慢して来た私の苦労は。耐えて来た私の苦労は?
それに石垣島は?
石垣島がおじゃんに・・・。折角、頑張って痩せたのに・・・。
あと少し。旅行まで一か月を切ったのに・・・。石垣島に行くんだって。
私は赤信号で立ち止まる。
頭の中にいろいろな自分が浮かび上がる。本屋で寄り添う二人を見付けた自分。あのファミレスで浮気相手を見ていた自分。亮介とマルエリ(マルケッタ・絵里を略してマルエリ)がホテルから出て来た写真・・・。
妻か・・・。
妻って何なのかな?
もう破綻しているのに、お互いにお互いを騙して暮らしている。
何で亮介は私と離婚してあの女と一緒にならないのか・・・子供がいるから?
それとも村瀬さんが言う様にただの『遊び』なのか。
信号が変わって、また歩き出す。
はたと気が付いた。
尊君に電話を入れて置かなくては。
彼は何の事か分からなかっただろうから。
「村瀬が階段でこけて捻挫をしてしまったのです。なので、実行部隊は僕が引き継ぎます」
彼からの電話はそんな話だった。
「それは大変。お大事にしてください」
でも証拠の写真も手に入ったから、調査も終わりでいいかと思ったので、それを伝えようとした。その時、亮介が入って来たのだ。
私はちょっとした策略を思い付いた。
それで一方的にあんな話をしたのだが、尊君は何の事やらさっぱり分からなかった事だろう。
私は尊君にさっきの電話の内容を説明し謝った。
尊君は「ああ。そう言う事だったのですね」と言って笑った。
「で、どうでした?反応は?」
彼は言った。
私は亮介の反応を思い出した。
「もう、すごく効果的だった」
私はそう言って笑った。
笑ったら落ち着いた。
落ち着くと、子供達はさっきの騒ぎを聞いていた。と思い至った。
梨乃と和巳は心配しているだろう。子供達に悪い事をしてしまったと感じた。
それで急いで帰って行った。
歩きながら、ある考えが頭に浮かんだ。