卒業記念植樹

文字数 843文字

やっと卒業できるぜ。
俺は中3。

まあ、世間的には不良少年扱いだわな。
一通りの悪さはしてきた。

酒、たばこ、カツアゲ、喧嘩。
無免で、単車転がしたこともしょっちゅうだった。

一番面白かったのは、いじめだな。
おどおどしてる奴は、見てるだけでムカつく。

気に入らないと殴って、金せびって。
女子の前で、無理矢理ズボンとパンツ脱がしたこともあったな。

めそめそ泣いてるのを見ると、余計に虐めたくなる。
男だったら、もうちょっとシャキッとしろっつうの。

先公どもも、大概うぜえ。
ハゲの校長も、担任のオバハンも、いちいちうるせえっつうの。

俺がちょっと凄んだだけで、ビビるくせに、ごちゃごちゃぬかすんじゃねえよ。
鬱陶しいっつうの。

まあ、それも今日で終わりだ。
中学出たら、先輩の伝手でとび職する予定だし。

まあ、3年間好き放題やって、そこそこ楽しい中学生活だったぜ。
その時後ろから、頭に衝撃が来た。

気がつくと、身動きできなかった。
体中、何かでぐるぐる巻きにされているようだ。

目隠しされているので、何も見えない。
その状態で、地面に転がされているらしい。

どうなってんだよ。
喚こうと思ったが、口も塞がれていて、声が出せない。

すると何人かで、俺は持ち上げられた。
そして足を、地面の穴に差し込まれたようだ。

誰かが俺の目隠しを外すと、目の前に大勢が立っているのが見えた。
校長、教頭、担任、そして他の先公、俺のクラスの連中。

皆、何故だか笑ってやがる。
何がおかしいんだよ。
てめえら、後で覚えてろよ。

すると校長のハゲが、一歩前に出てきて言った。
「今から、卒業記念植樹を行います」

俺の前に立った全員が、拍手しやがった。
卒業記念植樹?何だそれ?

「タケオ君。君は在学中、数限りない悪さをしましたね。その償いとして、君を校庭の木にすることに決めました。
何言ってんだ?このハゲ。

「このお札を貼るとね。君は立派な若木になるんだよ」
そう言って笑いながら、ハゲは俺の額に何かの札を張り付けた。

途端に意識が朦朧となる。
そして俺は、校庭に立つ木になっていた。
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