携帯電話

文字数 612文字

携帯電話を見ながら歩いていると、突然画面が切り替わった。
――あれ?どうしたんだろう?
そう思って画面を見ていたら、交差点で自動車同士が衝突する事故の映像が流れている。

その時、前方で大きな音が鳴った。
驚いて、その方向を見ると大勢の通行人が騒いでいる。
交通事故があったようだ。


事故の起こった場所を通り過ぎる時、野次馬の間から事故現場を見た僕は驚いた。
ついさっき、僕の携帯電話に映っていた映像そのままだったからだ。

まさかとは思ったが、携帯電話に映った事故の映像ははっきりと覚えている。
怖くなった僕は、急ぎ足で事故現場から立ち去った。

暫くして。
その日も僕は、携帯電話を見ながら歩いていた。
するとまた突然、画面が切り替わった。

画面には、壁に取り付けられていた店舗の看板が外れて、歩道に落ちる映像が流れていた。
僕は思わず立ち止まった。

すると5mほど先の歩道に、壁から外れた看板が落ちてきた。
幸い通行人を巻き込むことはなかったようだが、辺りは騒然となる。

僕は当に怖くなったので、携帯電話をポケットにしまうと、踵を返して、元来た道を引き返すことにした。
あれ以来、歩きながら携帯電話を見るのは止めている。

ある日僕が道を歩いていると、携帯電話の着信音が鳴った。
――誰だろう?
携帯電話を取り出してみると、画面に僕が映っていた。

そして画面上の僕の上から、人が落ちて来た。
驚いて見上げると、真上から人が落ちて来ていた。
その人の顔は、恐怖に歪んでいた。

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