学校『魂魅ちゃん』

文字数 583文字

学校には色々な『もの』が棲んでいます。
今日はその中で、『魂魅(たまみ)ちゃん』のお話をしようと思います。

『魂魅ちゃん』は、元は『玉美』という名前の、8歳の女の子でした。
玉美ちゃんが生きていた時代には、世界中で大きな戦争が起こっていました。

玉美ちゃんのお父さんは戦争に駆り出され、帰ってきませんでした。
お母さんも空襲に巻き込まれて、死んでしまいました。
一人ぼっちになった玉美ちゃんも、食べる物がなくて、とうとう餓死してしまいました。

餓死した玉美ちゃんは、行く場所がなくて、近くにあった学校に住み着きました。
その時玉美ちゃんは、『魂魅(たまみ)ちゃん』になったのです。

『魂魅ちゃん』は人間だった頃、いつもお腹を空かせていたので、学校に通う子供たちの魂を、少しだけ齧って食べるようになりました。
とは言っても、食べる量はほんの少しだったので、魂を食べられた子供たちに大した影響はありません。
何か少しもの足りないなと感じるくらいです。

しかしある時『魂魅ちゃん』は、ある男の子の魂を、少し食べ過ぎてしまいました。
そしてその子の心から、何かが欠け落ちてしまいました。

それは人として、とても大切な心のパーツだったようです。
何故ならば、その男の子は成長して、大勢の人を無慈悲に殺す、殺人鬼になってしまったからです。

魂魅(たまみ)ちゃん』は今日も子供たちの魂を食べています。
間違って食べ過ぎなければいいのですが。
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