妖果

文字数 938文字

不幸にも1人の中学生の男の子が、学校の屋上から投身自殺してしまった。
男の子の名は、ヒロカズといった。

原因は、同級生による執拗な虐めだった。
聞くに堪えないような虐めだったらしい。
ヒロカズを虐めたのは、A、B、C子、Dの4人組だった。
しかし4人には、まったく反省の色はない。

ヒロカズが亡くなった数日後、4人は校舎裏のいつもの溜まり場に集まっていた。
「ここってさあ、ヒロカズが飛び降りた場所だよな」
Aが言った。

「あいつ、俺らへの当てつけで、ここに飛び降りたんじゃね?」
Bが追随する。

「そんなもんで、ビビらんちゅうの。俺ら」
Dの言葉に、4人が爆笑する。

「ねえ。あれ何よ」
C子が言ったので、他の3人が目を向けると、地面から植物が生えていた。

4人が集まってみると、50cmほどの茎の先に、4つ実のようなものがなっている.
「何これ?こんなのあったっけ?」

C子が言うと、Dが応える。
「昨日までなかったよな。これ何かの実?取ってみっか」
そう言ってDは、実を1つもいだ。
途端にC子の首が取れて、地面に落ちる。
C子の体は地面に倒れて、首からは大量の血が噴き出した。

A、B、Dの3人が言葉を失っていると、雀が1羽近づいて来て、実の1つを嘴で突いた。
すると、雀が突いた部分に穴が開く。
途端にDの頭にも穴が開き、Dは脳漿を巻き散らしながら、地面に倒れた。

AとBは倒れた2人を見て呆然とする。
さすがに何が起こったか、理解したようだ。
2人は慌てて雀を追い散らした。

そしてAが震える声でBに言った。
「どうするよ、これ」
「どうするって、先公に言って警察呼んでもらうっきゃねえだろ」

Bの応えにAが反論する。
「先公呼びに行ってる間に、また雀に突かれたらどうするよ」
「確かにな。じゃあよ。取り敢えずこいつを掘り出して、安全な場所に移そうぜ」
Bの提案にAは即座に賛成した。

2人は慎重に植物の根元を掘り返していった。
植物の根は、球根の様な形だった。
やっとの思いで掘り出した植物の根を見て、2人は絶句する。
球根と思ったのは、自殺したヒロカズの頭部だったからだ。

Aはあまりの驚きに、植物を取り落としてしまった。
落ちた拍子に、2つの実が砕け散る。
そしてAとBの頭も砕け散った。
それを見ていたヒロカズは、とても嬉しそうに笑った。
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