バレリーナ

文字数 472文字

チアキはバレエが何よりも大好きだった。
3歳の頃からバレエを習っていて、キャリアは10年以上になる。

チアキの夢は、将来世界的なバレエ団に入団し、プリマドンナになることだった。
そのための努力を惜しんだことはない。
厳しい練習にも、歯を食いしばって耐えてきた。

しかし最近、彼女はとても悩んでいた。
ピルエット(体を片脚で支え、それを軸に、そのままの位置で独楽のように体を回転させる技術)がどうしても上手く踊れないのだ。

理由は分かっていた。
回っているうちに眩暈がするのだ。
子供の頃はそうでもなかったが、最近はピルエットを踊っているうちに、どうしても足元がふらついてしまう。

視点を1点に固定すること。
顔を意識して固定すること。
先生からも指導を受けて、理屈は分かっているのだが、どうしても上手くいかない。

顔を固定する。
顔を固定する。
――そうだ、首を回さなければいいんだ!

チアキは首を回さずに、1回転してみた。
――できた!
チアキは嬉しくなって、何度もくるくる回った。

回っているうちに、首が捻じれてどんどん細くなっていく。
ぷちっ。
チアキの首はちぎれて床に落ちた。
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