タイムエイジマシン完成へ、そして…
文字数 2,304文字
ともかく、茶トラ先生がタイムエイジマシンを完成しないかぎり、ぼくらはどうしようもない。
それでぼくらは、茶トラ先生の手伝いなんかもやったけれど、(タイムエイジマシンにカーテンを付けたり、ランプを付けたり、ヒューズを付けたり)だけどぼくらは、ほかにあまりすることもなかった。
そのときは梅雨に入っていて、雨ばっかりでどこにもいけなかったし。
それにぼくらは、ここでは幽霊みたいに何も食べなくていいし、トイレへもいかなくてもいいし…
それで、そんなある日のこと。
久しぶりに晴れて、それでデビルと二人で外へ出て、ウサギの公園へ行ってみた。
すると、ちょうどそのとき、何と過去の「ぼく」が新品の自転車に乗って走っていて、そしたら過去の「デビル」が「ぼく」の自転車をハイジャックしていた。
その様子を見ながら、デビルはばつが悪そうに、
「あのときはごめんよ」と言ってくれた。
それでぼくは、
「もう忘れたよ」と言ってあげた。
もちろんそれからすぐに、「デビル」が自転車でもどってきて、「ぼく」にこちゃごちゃと因縁を付け始めたけれど、そしたら突然デビルは、文句を言っている「デビル」の方へ、つかつかと歩いていって、そして、
「てめえ何やってんだ、バカヤロウ!」っていったけれど、「デビル」はデビルをばっちりシカトした。
それから少しして、「ぼく」が「デビル」から自転車を取り返すとどこかへと走り出した。
もちろん「デビル」は自転車に乗った「ぼく」を追いかけ始め、そしてなんとデビルも、「デビル」を追いかけはじめた。
だけど「デビル」もデビルもすぐに疲れたみたいで、二人とも戻ってきた。
そして「デビル」はどこかへ行ってしまい、一方、デビルはぼくのところに戻ってきて、もういちど「すまん」と言ったので、ぼくはデビルに「もういいんだよ」と言ってあげた。
それから、そのあと「ぼく」がどうなったのかも、もちろんぼくは良く知っていた。
草スキー公園の坂で自転車がイカれて、立ち往生して、そして「ぼく」は茶トラ先生に出会い、自転車を修理してもらうんだ。
そんなことは分かっていたから、それで何となく、それからぼくらはぶらぶらと歩いて、お猿の公園とか、ぼくらの小学校とか、二人でいろいろ歩いて回って、それから薄暗くなってから茶トラ先生の実験室へ戻った。
すると茶トラ先生は、さっき「ぼく」に出会って、自転車を修理してあげたと言ったので、ぼくは「そのことなら、ぼくはずいぶん前からよく知ってるよ」と教えてあげた。
それから数日後、茶トラ先生の努力と、ぼくらの手伝いのかいもあり、一応タイムエイジマシンが完成した。
それから茶トラ先生は「さっそくテストだ」と言って、目覚まし時計を使って「タイムマシン」の機能を試した。
実験では、マシンの中でたしかに目覚まし時計が進んだり、遅れたりもした。
それからカエルを使った「動物実験」もやった。
それは、実験室の窓から突然ピョンと乱入したアマガエルをマシンに入れ、おたまじゃくしに戻したり、また元のアマガエルに戻したりして、エイジマシンの機能も試したりしたんだ。
それからそんなことをいろいろやり、最後に茶トラ先生自身が実験台になったりして、これで万事OKということになり、それでぼくらは元の時代へと戻ることになった。
「茶トラ先生、いろいろとありがとう」
「先生、おれも感謝してるぜ」
「それじゃぼくら、未来へ帰るね」
「そうだな。それじゃイチロウ、そして田中君も、未来でまた会おう」
「もうすでに会ってるじゃん。今日ぼくの自転車、修理してくれたただろう?」
「そのことをよく知っておるな」
「あたりまえじゃん。ぼくがやったことだからさ」
「言われてみればまさにそのとおりだな。しかし、あ~、ともかく今回は、未来のお前さんと合えて、とても楽しかった。未来の田中君にも合えてよかった。それじゃ、あ~、二人とも、元気でいるんだぞ!」
「茶トラ先生も元気でね。だけどまたすぐに会えるね。それじゃ!」
「茶トラ先生、元気でな。また未来で会おうぜ!」
そうしてぼくらはマシンに入り、カーテンを閉め、茶トラ先生が操作をしたらタイムエイジマシンは順調に動きだし、それからしばらくして、マシンが止まった。
それでカーテンを開け、おそるおそる外を見たら、そこは茶トラ先生の実験室で、ぼくらはほっと胸をなでおろした。
そして実験室では茶トラ先生が椅子に座って居眠りをしていたので、ぼくらが、
「茶トラ先生、ただいま!」
「先生、今、過去から帰って来たぜ!」というと茶トラ先生はすぐに目を覚ました。
「おお、そうか。それで、過去はどうだったのだ?」
「それがね、過去では茶トラ先生が…」
それからぼくらは茶トラ先生に、それまでの話を全部してあげた。
間違えて1年前へ行ってしまって、それから苦労してタイムエイジマシンを作った話とか。
「実はわしはお前さんたちが過去へ行った直後、突然妙に眠くなり、それでこの椅子でうたたねをしておったのだ。そしたら妙にリアルな夢を見た。そしてそれは、今お前さんたちが今話したことと瓜二つだった」
「え~、そうだったの?」
「それに考えてみると、タイムエイジマシンは、1年前にはまだ存在していない。だからそんな過去へは…」
「考えてみると、たしかにそうだよね。だったらぼくら、一体どうしてたんだろう? 本当は過去へ行ったんじゃなくて、実は茶トラ先生の夢の中へ行ってたのかな? だってぼくら、タイムエイジマシンが完成する前の時代へなんて、行けるわけないよね」
ふと、過去へ 完
次回から新しいエピソード「静香ちゃんの秘密」へ
それでぼくらは、茶トラ先生の手伝いなんかもやったけれど、(タイムエイジマシンにカーテンを付けたり、ランプを付けたり、ヒューズを付けたり)だけどぼくらは、ほかにあまりすることもなかった。
そのときは梅雨に入っていて、雨ばっかりでどこにもいけなかったし。
それにぼくらは、ここでは幽霊みたいに何も食べなくていいし、トイレへもいかなくてもいいし…
それで、そんなある日のこと。
久しぶりに晴れて、それでデビルと二人で外へ出て、ウサギの公園へ行ってみた。
すると、ちょうどそのとき、何と過去の「ぼく」が新品の自転車に乗って走っていて、そしたら過去の「デビル」が「ぼく」の自転車をハイジャックしていた。
その様子を見ながら、デビルはばつが悪そうに、
「あのときはごめんよ」と言ってくれた。
それでぼくは、
「もう忘れたよ」と言ってあげた。
もちろんそれからすぐに、「デビル」が自転車でもどってきて、「ぼく」にこちゃごちゃと因縁を付け始めたけれど、そしたら突然デビルは、文句を言っている「デビル」の方へ、つかつかと歩いていって、そして、
「てめえ何やってんだ、バカヤロウ!」っていったけれど、「デビル」はデビルをばっちりシカトした。
それから少しして、「ぼく」が「デビル」から自転車を取り返すとどこかへと走り出した。
もちろん「デビル」は自転車に乗った「ぼく」を追いかけ始め、そしてなんとデビルも、「デビル」を追いかけはじめた。
だけど「デビル」もデビルもすぐに疲れたみたいで、二人とも戻ってきた。
そして「デビル」はどこかへ行ってしまい、一方、デビルはぼくのところに戻ってきて、もういちど「すまん」と言ったので、ぼくはデビルに「もういいんだよ」と言ってあげた。
それから、そのあと「ぼく」がどうなったのかも、もちろんぼくは良く知っていた。
草スキー公園の坂で自転車がイカれて、立ち往生して、そして「ぼく」は茶トラ先生に出会い、自転車を修理してもらうんだ。
そんなことは分かっていたから、それで何となく、それからぼくらはぶらぶらと歩いて、お猿の公園とか、ぼくらの小学校とか、二人でいろいろ歩いて回って、それから薄暗くなってから茶トラ先生の実験室へ戻った。
すると茶トラ先生は、さっき「ぼく」に出会って、自転車を修理してあげたと言ったので、ぼくは「そのことなら、ぼくはずいぶん前からよく知ってるよ」と教えてあげた。
それから数日後、茶トラ先生の努力と、ぼくらの手伝いのかいもあり、一応タイムエイジマシンが完成した。
それから茶トラ先生は「さっそくテストだ」と言って、目覚まし時計を使って「タイムマシン」の機能を試した。
実験では、マシンの中でたしかに目覚まし時計が進んだり、遅れたりもした。
それからカエルを使った「動物実験」もやった。
それは、実験室の窓から突然ピョンと乱入したアマガエルをマシンに入れ、おたまじゃくしに戻したり、また元のアマガエルに戻したりして、エイジマシンの機能も試したりしたんだ。
それからそんなことをいろいろやり、最後に茶トラ先生自身が実験台になったりして、これで万事OKということになり、それでぼくらは元の時代へと戻ることになった。
「茶トラ先生、いろいろとありがとう」
「先生、おれも感謝してるぜ」
「それじゃぼくら、未来へ帰るね」
「そうだな。それじゃイチロウ、そして田中君も、未来でまた会おう」
「もうすでに会ってるじゃん。今日ぼくの自転車、修理してくれたただろう?」
「そのことをよく知っておるな」
「あたりまえじゃん。ぼくがやったことだからさ」
「言われてみればまさにそのとおりだな。しかし、あ~、ともかく今回は、未来のお前さんと合えて、とても楽しかった。未来の田中君にも合えてよかった。それじゃ、あ~、二人とも、元気でいるんだぞ!」
「茶トラ先生も元気でね。だけどまたすぐに会えるね。それじゃ!」
「茶トラ先生、元気でな。また未来で会おうぜ!」
そうしてぼくらはマシンに入り、カーテンを閉め、茶トラ先生が操作をしたらタイムエイジマシンは順調に動きだし、それからしばらくして、マシンが止まった。
それでカーテンを開け、おそるおそる外を見たら、そこは茶トラ先生の実験室で、ぼくらはほっと胸をなでおろした。
そして実験室では茶トラ先生が椅子に座って居眠りをしていたので、ぼくらが、
「茶トラ先生、ただいま!」
「先生、今、過去から帰って来たぜ!」というと茶トラ先生はすぐに目を覚ました。
「おお、そうか。それで、過去はどうだったのだ?」
「それがね、過去では茶トラ先生が…」
それからぼくらは茶トラ先生に、それまでの話を全部してあげた。
間違えて1年前へ行ってしまって、それから苦労してタイムエイジマシンを作った話とか。
「実はわしはお前さんたちが過去へ行った直後、突然妙に眠くなり、それでこの椅子でうたたねをしておったのだ。そしたら妙にリアルな夢を見た。そしてそれは、今お前さんたちが今話したことと瓜二つだった」
「え~、そうだったの?」
「それに考えてみると、タイムエイジマシンは、1年前にはまだ存在していない。だからそんな過去へは…」
「考えてみると、たしかにそうだよね。だったらぼくら、一体どうしてたんだろう? 本当は過去へ行ったんじゃなくて、実は茶トラ先生の夢の中へ行ってたのかな? だってぼくら、タイムエイジマシンが完成する前の時代へなんて、行けるわけないよね」
ふと、過去へ 完
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