それから

文字数 676文字

 それから突然、ぼくにとっての時が、ものすごい速さで逆回転を始めた。
 時計台の時計がぐるぐると逆回転を始め、ぼくはそのくすのきの下で、何日かを逆回転に過ごし、鴨川沿いをてくてくと後ろ向きに歩き、京都駅へもどり、逆方向へ走る新幹線に乗り…

 とにかくぼくはずっとずっと逆方向に動き続け、茶トラ先生の家へ行ったりして、そしてあのホームセンターの証明写真へ後ろ向きにたどり着き、そしてぼくは後ろ向きにその証明写真機へ入り、それから椅子に座った。

 すると突然、逆回転の時が止まったような感じがして、それから今度は証明写真の機械が動き始めた。

 辺りがめまぐるしく明るくなったり暗くなったり、そしてやがて、寒くなったり暑くなったりしたんだ。

 しばらくそれが続いて、そして機械が止まると、そこはいつものタイムエイジマシンの中で、鏡の両側には赤や青のランプがあり、それからぼくはカーテンを開け、外へ出ると、そこはいつもの茶トラ先生の実験室だった。

「すまんかったな。ちょっとばかり、タイムエイジマシンの時の制御機能が暴走しておったのだ。それでわしは何とかその暴走を止め、それから時間を逆流させ、お前さんを過去から救出した。いったいどんな過去へ行ったのかはさっぱり分からんが、それにしてもお前さんは、ずいぶんと遠い過去へと行ったもんだ」
「ねえ、あんまりタイムエイジマシンを魔改造しないほうがいいよ。ぼく酷い目にあったんだからさ。だけどぼく、そこでとてもすてきな人に出会ったんだよ」

 タイムエイジマシン 80年代へ 完
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