変わり果てたデビル一家2

文字数 1,308文字

 で、デビルのお父さんはお金を全て無くし、それどころか、その投資契約には、そのインチキ会社の莫大な借金まで背負わされることになっていたらしく、(虫眼鏡で見ないと分からないような小さな小さな字でごちゃごちゃと書いてあったらしい)それでデビルのお父さんは、その莫大な借金を豪快に背負ってしまったらしい。

 それからというもの、やくざ風の男が連日、何人もデビルの家へ押しかけ、ドアや窓を叩きガラスを割ったり、大声を上げながら借金の取り立てをやったり、あげくには、テレビに出るような悪徳弁護士までやって来て、デビルの家も高級家具も高級外車も何もかも、全部その借金のかたに差し押さえられてしまったんだ。

 そしてデビルのお父さんはとても落ち込んで、そのまま行方不明になり、(生きているかどうかもわからないらしい)それで住む家も失ったデビルとお母さんは、仕方なく遠い所の親戚を転々とし始めた。

 だけど、デビルたちにはあまり親しい親戚はいなかったらしい。
 親戚たちはせっせとお金を借りに来たくせに、お金が無くなると、手のひらを返したようにデビルたちに冷たくなったんだ。

 しかもデビルのお母さんは突然病気になり、もう死にそうな状態で、だけどお金がなくて病院にも行けず、それで親戚の家では持て余されるようになった。
(この突然の、そして謎の病気は、あの、未来の薬を開発した田中浩二君の存在と関係あるのでは、と、後から茶トラ先生は言っていた)


 そしてとうとうデビルも居場所がなくなり、ひとり親戚の家を飛び出してホームレスになりながら、長い長い道のりをてくてくと歩き続けたんだ。

 あるときはレストランの裏口で残飯をもらったり、ひどいときなんか、ゴミ箱にある食べ残しとかも食べたりしながら、もうぼろぼろになりながら、やっとこさ、その未来の茶トラ先生のところへたどり着いたらしいんだ。

 それで未来の茶トラ先生は、出前で中華どんぶりを取ってくれ、それを食べながらデビルは涙を流して喜んだらしい。

 そして未来の茶トラ先生はデビルに、一度ぼくらの時代へ戻って、ぼくや茶トラ先生に相談するように言ったそうだ。

 それと未来の茶トラ先生は、早速デビルから根掘り葉掘り聞き出して、デビルと家族が具体的にどこでどういうことになったのかを詳しいレポートにまとめて、それをデビルに手渡していた。
 それで、こういう悲惨な話が全て分かったんだ。

 とにかくそうやってデビルの話を聞き、そしてその未来の茶トラ先生からのレポートを読み、状況を完全に把握した茶トラ先生は、デビルに、

「わしらが何とかするから安心するように。それから、今はわしの家の風呂はお湯が出んから、未来のわしの家で風呂に入れてもらって服も洗ってもらえ」と言って、それでデビルは「頼んだよ茶トラ先生。イチロウも、頼んだぜ。それとこの時代のおれによろしくな」と言ってから、未来の茶トラ先生のいる、その未来へとタイムエイジマシンで帰っていった。

「ねえ、先生んちのお風呂、壊れてるの?」
「明日修理する」
「で、デビルのことはどうするの?」
「方法は、ないわけではない…」
「これって、替え玉作戦っぽくない?」
「そのへんだな」

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