その理由は…

文字数 642文字

「ねえねえ、本当はぼく、もう一度八月二十四日へ戻りたかったんだけど…」
「親父さんのお通夜がどうなったのか知りたいのか?」
「まあね」
「それはやめておけ。つまり、運命が書き換えられるのには、少しばかりの時間が必要なんだ。それを今すぐに八月二十四日へ行くと、まだお通夜をやっておるかも知れんし、お前さんが行くことで妙な相互作用が起こり、 運命がより複雑な変化を起こすかもしれん」
「いや、小難しい話はいいからさぁ、それはお父さんのこともあるけどね。ぼく、甲子園の優勝校が知りたくて…」
「お前さんはまだそんなばかなことを考えておったのか!」
「いや…、ちょっとね」
「はは~ん。この前はジュースを賭けるくらいに言っておったが、もしやお前さん、金を賭けとるだろう?」
「…」
「そういえば、いつぞやは自転車をこわしておったが、もしやあれは誰かにこわされたのではないのか?」
「…」
「やっぱりな。要するに悪ガキに自転車をこわされ、多分、ジーパンが破れたとか何とか言って、因縁を付けられて金をせびられとるのだろう?」
「茶トラ先生、ものすごい洞察力!」
「洞察力はいいが、とにかく、そういう連中とはあまり関わるな」
「うん…」
「まあいい。とにかくお前さんがラジコン飛行機を破壊したおかげで、ああ、一機は行方不明だが、とにかく、親父さんの運命は変わったはずだ」
「うん」
「まあそれで運命がどう変わるかは、予測困難な部分もあるが、ともかく、様子を見るとしよう」

 それから夏休みが始まる
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み