替え玉作戦2号機、3号機
文字数 1,924文字
それからスタッフがやいややいやと墜落現場へと向かい、「現場検証」が行われ、ただちに「事故調査委員会」も発足したみたいだけど、墜落の原因は「不明」ということになった。
それからしばらくして、現場の後片付けも終わり、衝突クレーターも立派に埋められ、それから商談相手の会社のお偉いさんたちの席へ、スタッフの一人が歩み寄り、
「えぇ~、今回は大変お見苦しいところをお見せいたしまして…えぇ~、次はきっとうまくいきますから。へへへ♪」とか言って、その足でぼくのところへのっしのっしとやって来て、
「こら! しっかり飛ばすんだぞ!」
と、ぼくにしっかりプレッシャーをかけ、そしてほかのスタッフたちが2号機のエンジンをスタートした。
それでもう一度、「ブイーンポンポロンポンポロン」と、エンジンがうなり始めた。
今度は二度目なのでぼくは少し慣れていた。
滑走路の端っこでUターンまではばっちり。
それからエンジン全開!
しばらく滑走して、勢いが着いたところでぼくは左側のレバーを思い切り引いた。
すると飛行機(2号機)は離陸後、1号機と同様に時計回転に宙返りを始めた。
ちなみに2号機はさらにパワフルだったみたいで、宙返りの回転半径は1号機のそれよりも少し大きかった。
まあ、それはどうでもいいけれど。
それで、ぼくは同じことをやってもしょうがないと思い、今度はわざと時計の九時のあたりでレバーを離してみた。
はっきり言って、これは「わざと」だった。
で、そうするとともかく飛行機はロケットのように垂直上昇を始めたんだ。
やっぱり物凄いパワーだ。
そしてそれからも飛行機はぐんぐん上昇し、やがて雲に入って見えなくなった。
それからぼくが、「どうなるのかな~♪」なんて、真剣に雲を見ていたら、飛行機は雲の中で気が変わったのか向きを変えたみたいで、雲から出てくると、またしても地球へと向かって真っすぐに飛んで来た。
しかも今度はニュートン先生の万有引力の法則も絡んでいたから、速度が半端ではなかった。
とにかくキーンという轟音をとどろかせ、そのまま飛行機は、あろうことか、商談相手の人たちの席のまん前に「ドカ~~~~~ン!」と落ち、豪快に破片が飛び散ったんだ。
もちろん商談相手のお偉いさんたちは、「わ~~~~~!」といいながら、クモの子を散らすように逃げ惑った。
それから、再び「事故調査委員会」が発足したり、ぼくは「も~~~~~~~! いい加減にしろぉ~~~~!」とか言われたりしたが、それはそれでよい。
3号機!
詳しい話は省略するけれど、宙返りを続ける飛行機が、今度はちょうど時計の針の七時あたりで、ぼくはレバーを離してみた。
もちろんこれも「わざと」だった。
すると飛行機は、それから緩やかな角度で上昇しながら順調に飛行を続け、はるか遠くの山並を越え、そのまま消えた。
それからぼくは送信機を持ったまま、何となく後ろを振り返ってみたのだけど、そこには凍りついたスタッフと、怖い顔をした商談相手のお偉いさんたちが並んでいた。
お偉いさんの中には、立派な服に着いた飛行機の破片をぽんぽんと手で払いながら、ぼくを睨み付ける人もいた。
それでぼくはとても恐くなり、そのまま走って逃げた。
走ってトイレへ戻ると、茶トラ先生が気付け薬を使い、お父さんを見事復活させた。
だけどお父さんは何が何だか訳が分からない様子だった。
それでぼくはお父さんにサングラスと送信機を手渡すと、
「鈴木君、こらからただちに駐機場へ向かいたまえ!」
と言ったら、お父さんは「分かった」と言って、それからよたよたと駐機場へと歩き始めた。
「お散歩」を口笛で演奏しながら…
そしてぼくらは、またゲリラのようにはって茶トラ先生の軽自動車へ戻り、それから実験室へと向かった。
「それにしても見事な墜落だったな。トイレの小窓から見ておった」
「あれで…、良かったんだよね」
「もちろんだ。これでお祝いのパーティーが開かれることはないだろう」
「でも、残念会なんか…」
「その可能性はなきにしもあらずだな」
「なきにしもあらず?」
「う~ん…」
「そしたらどうするの?」
「しかしそれは、そのとき考えるしかなかろう。だが、少なくとも運命は大きく変わったはずだ」
それからぼくらは、 茶トラ先生の実験室へ戻り、「もう一人の茶トラ先生」が起きないうちに、二人で七月十九日へ戻り、そしてぼくは十二歳に戻された。
だけど実はぼく、本当はもう一度八月二十四日に戻りたかったんだ。
その理由は…
それからしばらくして、現場の後片付けも終わり、衝突クレーターも立派に埋められ、それから商談相手の会社のお偉いさんたちの席へ、スタッフの一人が歩み寄り、
「えぇ~、今回は大変お見苦しいところをお見せいたしまして…えぇ~、次はきっとうまくいきますから。へへへ♪」とか言って、その足でぼくのところへのっしのっしとやって来て、
「こら! しっかり飛ばすんだぞ!」
と、ぼくにしっかりプレッシャーをかけ、そしてほかのスタッフたちが2号機のエンジンをスタートした。
それでもう一度、「ブイーンポンポロンポンポロン」と、エンジンがうなり始めた。
今度は二度目なのでぼくは少し慣れていた。
滑走路の端っこでUターンまではばっちり。
それからエンジン全開!
しばらく滑走して、勢いが着いたところでぼくは左側のレバーを思い切り引いた。
すると飛行機(2号機)は離陸後、1号機と同様に時計回転に宙返りを始めた。
ちなみに2号機はさらにパワフルだったみたいで、宙返りの回転半径は1号機のそれよりも少し大きかった。
まあ、それはどうでもいいけれど。
それで、ぼくは同じことをやってもしょうがないと思い、今度はわざと時計の九時のあたりでレバーを離してみた。
はっきり言って、これは「わざと」だった。
で、そうするとともかく飛行機はロケットのように垂直上昇を始めたんだ。
やっぱり物凄いパワーだ。
そしてそれからも飛行機はぐんぐん上昇し、やがて雲に入って見えなくなった。
それからぼくが、「どうなるのかな~♪」なんて、真剣に雲を見ていたら、飛行機は雲の中で気が変わったのか向きを変えたみたいで、雲から出てくると、またしても地球へと向かって真っすぐに飛んで来た。
しかも今度はニュートン先生の万有引力の法則も絡んでいたから、速度が半端ではなかった。
とにかくキーンという轟音をとどろかせ、そのまま飛行機は、あろうことか、商談相手の人たちの席のまん前に「ドカ~~~~~ン!」と落ち、豪快に破片が飛び散ったんだ。
もちろん商談相手のお偉いさんたちは、「わ~~~~~!」といいながら、クモの子を散らすように逃げ惑った。
それから、再び「事故調査委員会」が発足したり、ぼくは「も~~~~~~~! いい加減にしろぉ~~~~!」とか言われたりしたが、それはそれでよい。
3号機!
詳しい話は省略するけれど、宙返りを続ける飛行機が、今度はちょうど時計の針の七時あたりで、ぼくはレバーを離してみた。
もちろんこれも「わざと」だった。
すると飛行機は、それから緩やかな角度で上昇しながら順調に飛行を続け、はるか遠くの山並を越え、そのまま消えた。
それからぼくは送信機を持ったまま、何となく後ろを振り返ってみたのだけど、そこには凍りついたスタッフと、怖い顔をした商談相手のお偉いさんたちが並んでいた。
お偉いさんの中には、立派な服に着いた飛行機の破片をぽんぽんと手で払いながら、ぼくを睨み付ける人もいた。
それでぼくはとても恐くなり、そのまま走って逃げた。
走ってトイレへ戻ると、茶トラ先生が気付け薬を使い、お父さんを見事復活させた。
だけどお父さんは何が何だか訳が分からない様子だった。
それでぼくはお父さんにサングラスと送信機を手渡すと、
「鈴木君、こらからただちに駐機場へ向かいたまえ!」
と言ったら、お父さんは「分かった」と言って、それからよたよたと駐機場へと歩き始めた。
「お散歩」を口笛で演奏しながら…
そしてぼくらは、またゲリラのようにはって茶トラ先生の軽自動車へ戻り、それから実験室へと向かった。
「それにしても見事な墜落だったな。トイレの小窓から見ておった」
「あれで…、良かったんだよね」
「もちろんだ。これでお祝いのパーティーが開かれることはないだろう」
「でも、残念会なんか…」
「その可能性はなきにしもあらずだな」
「なきにしもあらず?」
「う~ん…」
「そしたらどうするの?」
「しかしそれは、そのとき考えるしかなかろう。だが、少なくとも運命は大きく変わったはずだ」
それからぼくらは、 茶トラ先生の実験室へ戻り、「もう一人の茶トラ先生」が起きないうちに、二人で七月十九日へ戻り、そしてぼくは十二歳に戻された。
だけど実はぼく、本当はもう一度八月二十四日に戻りたかったんだ。
その理由は…
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