ミサイル発射
文字数 1,564文字
それからしばらくして、たまたまぼくが茶トラ先生の実験室へ行くと、先生は居眠り椅子に座り、またまた深刻そうな顔をしていた。
「どうしたの? またデビルがやばい?」
「未来のわしからのタイムメールによると、某国が核弾頭を積んだミサイルを発射して、実はそれは誤発射だったらしいのだが…」
「え~!」
「それで迎撃には成功し、弾頭の核爆発は回避できたものの、ミサイルの破片が山中に落下し、そこでは相当量の放射能汚染が起こっておるらしい。もちろん原発事故よりはずいぶんと少ない量の放射能なのだが、もちろんそんなもが落下してくるのも大変な問題だ」
「じゃ、どうするの? ええと、替え玉作戦?」
「替え玉のミサイルというわけにも…、おお、そうだな。替え玉作戦だな。未来の歴史を…」
「書き換えるんだね!」
そして数日後、茶トラ先生に呼ばれ、またまた例の月旅行のメンバーが茶トラ先生のガレージへ結集した。
それで実は、スワンボートはこの前月へ行った時よりもさらに物々しくなっていた。
何と、ボートの横っ腹に立派な機関砲が取り付けてあったのだ! しかもカウボーイが使う投げ縄のようなものまで付いていた。
ただし縄ではなく、頑丈そうなワイヤーで出来ていたけれど。
「この機関砲はわしが旋盤なんかを使って作ったのだ。わしは金属加工も得意なのだ」
「ねえ、銃刀法違反じゃないの?」
「事態はそれどころではない」
「そうなんだ」
「しかしこんなものを作ったのも止むを得ん理由からだ。わしは本来平和主義者だ」
「そうだよね。茶トラ先生は平和を愛する人だよね。悪い奴にはケリを入れるけど。で、ええと、この機関砲、何に使うの?」
「いいからいいから」
「で、ええと、ワイヤーロープ製のカウボーイの投げ縄みたいなのは? それもいいからいいから?」
というわけで、それからみんなでスワンボートで出発した。
茶トラ先生が機長。ぼくが副操縦士。後ろの真ん中はデビルで、その両側は両手に花のゆりちゃんとヤス子ちゃん。
それで、もちろん核ミサイル発射の時刻と場所と、それからミサイルの飛行ルートは、タイムメールでばっちり把握していたから、それからぼくらはミサイルを誤発射した亡国上空の宇宙空間に、スワンボートで待機した。
そしていよいよその時刻になると、真っ白い煙を残し、物凄い速さでミサイルが飛び出し、そのままどこかへ飛び去った。
それでぼくらはペダルをこぎ、弾道ミサイルを追いかけた。
弾道ミサイルの速度は人工衛星より遅いくらいだ。
だから、ぼくらのスワンボートはあっという間にミサイルに追いつき、ミサイルに並んで飛び始めることができた。
ただしミサイルからは結構な距離、おそらく1キロメートルくらいは離れていたと思う。
それは安全のためなんだそうだ。
ところで茶トラ先生の話では、弾道ミサイルはロケットと同じで、一度宇宙空間まで飛び出すと、その後エンジンが停止し、それから放物線を描いて飛行し、目的地に落下する。
つまりそれが弾道飛行だ。
そして目的地の上空数百メートルで核弾頭が爆発する。(物騒な話だ)
それで、ぼくらがミサイルを見ていると、しばらくして燃料が切れたらしく、噴射が止まった。
ミサイルのロケットエンジンが停止したのだ。
そしてそれからは、ミサイルは弾道飛行をする。つまりやり投げのやりみたいに飛んでいくのだ。
それで、ぼくらがミサイルを眺めていると、茶トラ先生はコックピットからゲームのリモコンのようなものを取りだし、それはスワンボートの横っ腹にある機関砲を操作するものらしく、そしてコックピットのモニターには、望遠レンズで見たようなミサイルが映し出され、同時に照準のようなものも写っていた。
それから茶トラ先生はリモコンを操作して、突然、ダダダダッとミサイルを撃ち始めた。
「どうしたの? またデビルがやばい?」
「未来のわしからのタイムメールによると、某国が核弾頭を積んだミサイルを発射して、実はそれは誤発射だったらしいのだが…」
「え~!」
「それで迎撃には成功し、弾頭の核爆発は回避できたものの、ミサイルの破片が山中に落下し、そこでは相当量の放射能汚染が起こっておるらしい。もちろん原発事故よりはずいぶんと少ない量の放射能なのだが、もちろんそんなもが落下してくるのも大変な問題だ」
「じゃ、どうするの? ええと、替え玉作戦?」
「替え玉のミサイルというわけにも…、おお、そうだな。替え玉作戦だな。未来の歴史を…」
「書き換えるんだね!」
そして数日後、茶トラ先生に呼ばれ、またまた例の月旅行のメンバーが茶トラ先生のガレージへ結集した。
それで実は、スワンボートはこの前月へ行った時よりもさらに物々しくなっていた。
何と、ボートの横っ腹に立派な機関砲が取り付けてあったのだ! しかもカウボーイが使う投げ縄のようなものまで付いていた。
ただし縄ではなく、頑丈そうなワイヤーで出来ていたけれど。
「この機関砲はわしが旋盤なんかを使って作ったのだ。わしは金属加工も得意なのだ」
「ねえ、銃刀法違反じゃないの?」
「事態はそれどころではない」
「そうなんだ」
「しかしこんなものを作ったのも止むを得ん理由からだ。わしは本来平和主義者だ」
「そうだよね。茶トラ先生は平和を愛する人だよね。悪い奴にはケリを入れるけど。で、ええと、この機関砲、何に使うの?」
「いいからいいから」
「で、ええと、ワイヤーロープ製のカウボーイの投げ縄みたいなのは? それもいいからいいから?」
というわけで、それからみんなでスワンボートで出発した。
茶トラ先生が機長。ぼくが副操縦士。後ろの真ん中はデビルで、その両側は両手に花のゆりちゃんとヤス子ちゃん。
それで、もちろん核ミサイル発射の時刻と場所と、それからミサイルの飛行ルートは、タイムメールでばっちり把握していたから、それからぼくらはミサイルを誤発射した亡国上空の宇宙空間に、スワンボートで待機した。
そしていよいよその時刻になると、真っ白い煙を残し、物凄い速さでミサイルが飛び出し、そのままどこかへ飛び去った。
それでぼくらはペダルをこぎ、弾道ミサイルを追いかけた。
弾道ミサイルの速度は人工衛星より遅いくらいだ。
だから、ぼくらのスワンボートはあっという間にミサイルに追いつき、ミサイルに並んで飛び始めることができた。
ただしミサイルからは結構な距離、おそらく1キロメートルくらいは離れていたと思う。
それは安全のためなんだそうだ。
ところで茶トラ先生の話では、弾道ミサイルはロケットと同じで、一度宇宙空間まで飛び出すと、その後エンジンが停止し、それから放物線を描いて飛行し、目的地に落下する。
つまりそれが弾道飛行だ。
そして目的地の上空数百メートルで核弾頭が爆発する。(物騒な話だ)
それで、ぼくらがミサイルを見ていると、しばらくして燃料が切れたらしく、噴射が止まった。
ミサイルのロケットエンジンが停止したのだ。
そしてそれからは、ミサイルは弾道飛行をする。つまりやり投げのやりみたいに飛んでいくのだ。
それで、ぼくらがミサイルを眺めていると、茶トラ先生はコックピットからゲームのリモコンのようなものを取りだし、それはスワンボートの横っ腹にある機関砲を操作するものらしく、そしてコックピットのモニターには、望遠レンズで見たようなミサイルが映し出され、同時に照準のようなものも写っていた。
それから茶トラ先生はリモコンを操作して、突然、ダダダダッとミサイルを撃ち始めた。
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