作戦会議、そして実行
文字数 2,003文字
それから数日後ぼくは、ぼくらの時代のデビルを茶トラ先生の実験室へ連れて来て、詳しく事情を説明した。
その話を聞いたデビルはもう、唖然、というか、愕然としていた。
それから茶トラ先生は、
「つまり田中君、人間は一攫千金に成功し、大金を手に入れると、たいていこういう結末になるものなのだ。あ~、例えばアメリカンフットボールやバスケットボールなどで、数百億円とかいう大金を手にした選手は、引退数年後には、あらかた破産しておるのだ」
「え! 本当なのか?」
「え~、ぼくも信じられないよ」
「あ~、その理由は、それまで持っていなかったような大金を突然手にしたとたんに、生活が激変してしまうからだ。その結果、豪邸やら高級車やら宝石やら無駄遣いばかりして、やがてろくでもない連中にたかられ、金を借りられたり、いろんなインチキ投資話を持ちかけられたりして、最後は破産するのだ。そしてそれが分かっておるから、わしは質素な生活しかやらないのだ」
「うんうん。茶トラ先生の生活が質素だってことは、ぼくも良~く知っているよ。スーツを塗装して何回も使い回したり、タイムエイジマシンだって元々はスクラップ寸前の証明写真機だろう? だけど茶トラ先生、いいかげんにコーヒーカップくらい買えば? そんなの百円ショップなんかでいくらでも売ってるじゃん」
「あ~、フラスコは化学実験で使え、しかもコーヒーカップとしても十分に実用的だ。だからこれで何不自由ないのだ」
「あらそうなの。とにかく、やっぱり豪快に質素だね。そういえば茶トラ先生の自動車だって、ぼろぼろの軽だしね。あれ何十年乗ってるの? で、あれたしか、360ccだよね」
「走って物が運べれば何の問題もない。しかしわしはスワンボートと2機のソラデンという、科学技術の粋を尽くした、素晴らしい空飛ぶ乗り物を持っておるではないか」
「そういえばそうだね。まあいずれも払下げ品の魔改造だけど」
「ともあれ、あ~、それではそろそろ、あ~、今回のミッションについて説明をしよう」
それから茶トラ先生は、デビル一家救済のための計画について詳しい説明を始めた。
やっぱりそれは替え玉作戦みたいだった。
どうやらデビルがデビルのお父さんの替え玉になるみたいだ。
それで、それまでに「いろんな未来」の茶トラ先生が、いろいろ偵察なんかをやってくれたらしく、茶トラ先生は、そのいろんな未来の茶トラ先生と、タイムメールで連絡を取り合い、そしてそのインチキリゾート投資契約の、くわしい情報を手に入れていた。
そして早速その日、作戦実行となった。
それでデビルは、豪華客船のときみたいに防護服を着てタイムエイジマシンに入り、ぼくも防護服を着て一緒に入った。
替え玉作戦ではぼくも何かの「役」があるらしい。
で、とにかくデビルのお父さんがたぶらかされて、そのインチキリゾート投資契約を交わしたという日時と場所のについても、もちろん茶トラ先生は、ばっちり把握していた。
それで38歳になったぼくとデビルと、そしていつもの年齢の茶トラ先生は、タイムエイジマシンでその日へ移動し、それからみんなでスワンボートに乗って、その場所へ移動した。
その時刻は夜で、そこはとある豪華ホテル。
もちろんぼくらは、スワンボートであっという間にそこへ着いた。
それから茶トラ先生は、スワンボートをホテル裏の空き地にある駐車場に降下させ、空いていた一台分の枠に、そのままどかんと「駐車」した。
それからサングラスやら帽子なんかで変装し、ぼくらはホテルのロビーへ行き、ソファーに座り、デビルのお父さんが来るのを待った。
ちなみに茶トラ先生は、ポケットのクロロホルムの茶色の小瓶とかハンカチとか、気付け薬なんかを確認したりしていた。(例の得意技のため?)
それからホテルのロビーの別の場所に、赤いソンブレロを被りサングラスをした、茶トラ先生そっくりの人物が座っていたけれど、茶トラ先生は「あれは未来のわしが偵察しておるのだ」と言った。
なんだかとてもややこしい。
それから少しして、デビルのお父さんは何と、大金が入っているらしい(と、茶トラ先生がぼくらに耳打ちした)、車輪の付いた大きなトランクをごろごろと引ずりながら、ホテルのロビーにやってきた。
なんだかとても落ち着かない様子で、きょろきょろしている。
それからぼくらはデビルのお父さんの後をつけた。
エレベーターに乗ったので、それでぼくらもしれ~っと一緒に乗り、一緒の階でしれ~と一緒に降り、また後をつけて、するとデビルのお父さんはホテルの廊下を歩いて、そしてある部屋のドアの前に立った。
それで、その直前にハンカチにクロロフォルムを浸した茶トラ先生は、いきなりデビルのお父さんを後ろから羽交い絞めにし、そしてクロロフォルムで浸したハンカチをデビルのお父さんの顔に被せ…
鉄板の、茶トラ先生の得意技だ!
その話を聞いたデビルはもう、唖然、というか、愕然としていた。
それから茶トラ先生は、
「つまり田中君、人間は一攫千金に成功し、大金を手に入れると、たいていこういう結末になるものなのだ。あ~、例えばアメリカンフットボールやバスケットボールなどで、数百億円とかいう大金を手にした選手は、引退数年後には、あらかた破産しておるのだ」
「え! 本当なのか?」
「え~、ぼくも信じられないよ」
「あ~、その理由は、それまで持っていなかったような大金を突然手にしたとたんに、生活が激変してしまうからだ。その結果、豪邸やら高級車やら宝石やら無駄遣いばかりして、やがてろくでもない連中にたかられ、金を借りられたり、いろんなインチキ投資話を持ちかけられたりして、最後は破産するのだ。そしてそれが分かっておるから、わしは質素な生活しかやらないのだ」
「うんうん。茶トラ先生の生活が質素だってことは、ぼくも良~く知っているよ。スーツを塗装して何回も使い回したり、タイムエイジマシンだって元々はスクラップ寸前の証明写真機だろう? だけど茶トラ先生、いいかげんにコーヒーカップくらい買えば? そんなの百円ショップなんかでいくらでも売ってるじゃん」
「あ~、フラスコは化学実験で使え、しかもコーヒーカップとしても十分に実用的だ。だからこれで何不自由ないのだ」
「あらそうなの。とにかく、やっぱり豪快に質素だね。そういえば茶トラ先生の自動車だって、ぼろぼろの軽だしね。あれ何十年乗ってるの? で、あれたしか、360ccだよね」
「走って物が運べれば何の問題もない。しかしわしはスワンボートと2機のソラデンという、科学技術の粋を尽くした、素晴らしい空飛ぶ乗り物を持っておるではないか」
「そういえばそうだね。まあいずれも払下げ品の魔改造だけど」
「ともあれ、あ~、それではそろそろ、あ~、今回のミッションについて説明をしよう」
それから茶トラ先生は、デビル一家救済のための計画について詳しい説明を始めた。
やっぱりそれは替え玉作戦みたいだった。
どうやらデビルがデビルのお父さんの替え玉になるみたいだ。
それで、それまでに「いろんな未来」の茶トラ先生が、いろいろ偵察なんかをやってくれたらしく、茶トラ先生は、そのいろんな未来の茶トラ先生と、タイムメールで連絡を取り合い、そしてそのインチキリゾート投資契約の、くわしい情報を手に入れていた。
そして早速その日、作戦実行となった。
それでデビルは、豪華客船のときみたいに防護服を着てタイムエイジマシンに入り、ぼくも防護服を着て一緒に入った。
替え玉作戦ではぼくも何かの「役」があるらしい。
で、とにかくデビルのお父さんがたぶらかされて、そのインチキリゾート投資契約を交わしたという日時と場所のについても、もちろん茶トラ先生は、ばっちり把握していた。
それで38歳になったぼくとデビルと、そしていつもの年齢の茶トラ先生は、タイムエイジマシンでその日へ移動し、それからみんなでスワンボートに乗って、その場所へ移動した。
その時刻は夜で、そこはとある豪華ホテル。
もちろんぼくらは、スワンボートであっという間にそこへ着いた。
それから茶トラ先生は、スワンボートをホテル裏の空き地にある駐車場に降下させ、空いていた一台分の枠に、そのままどかんと「駐車」した。
それからサングラスやら帽子なんかで変装し、ぼくらはホテルのロビーへ行き、ソファーに座り、デビルのお父さんが来るのを待った。
ちなみに茶トラ先生は、ポケットのクロロホルムの茶色の小瓶とかハンカチとか、気付け薬なんかを確認したりしていた。(例の得意技のため?)
それからホテルのロビーの別の場所に、赤いソンブレロを被りサングラスをした、茶トラ先生そっくりの人物が座っていたけれど、茶トラ先生は「あれは未来のわしが偵察しておるのだ」と言った。
なんだかとてもややこしい。
それから少しして、デビルのお父さんは何と、大金が入っているらしい(と、茶トラ先生がぼくらに耳打ちした)、車輪の付いた大きなトランクをごろごろと引ずりながら、ホテルのロビーにやってきた。
なんだかとても落ち着かない様子で、きょろきょろしている。
それからぼくらはデビルのお父さんの後をつけた。
エレベーターに乗ったので、それでぼくらもしれ~っと一緒に乗り、一緒の階でしれ~と一緒に降り、また後をつけて、するとデビルのお父さんはホテルの廊下を歩いて、そしてある部屋のドアの前に立った。
それで、その直前にハンカチにクロロフォルムを浸した茶トラ先生は、いきなりデビルのお父さんを後ろから羽交い絞めにし、そしてクロロフォルムで浸したハンカチをデビルのお父さんの顔に被せ…
鉄板の、茶トラ先生の得意技だ!
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