第37話 実害はない3

文字数 488文字

 あとは靴箱。
 夜中くらいになると、一定のリズムで何かがコンコンと鳴り始める。
 最初はどこで鳴っているのかまったくわからなかったけれど、探しまわってようやく靴箱の中っぽいことがわかった。
 でもそんな音がするようなものは入っていない。
 一応、靴を全部出して調べてみたけれど、音の出どころはついにわからずじまい。

 まだある。
 これは場所を限定せず起こるんだけど、裸足で歩いているとたまに、何か硬いものを踏んだような感覚がある。
 でも確かめてみると何もない。
 たまに尖っている部分を踏んでしまったような痛みがある場合も。
 でも血は出ないし、何も刺さっていないし落ちていない。
 どんなに掃除を頑張っても効果ナシ。

 ベッドも。
 休日にアラームをセットせずに寝ていると、一人暮らしなのに話し声が聞こえて飛び起きる。
 もちろん誰もいないし、声はそれっきりだ。
 せっかく心ゆくまで寝られるチャンスを邪魔されるので、ハッキリ言ってこれが一番腹立たしい。

 それでも別に、キッチンや風呂場が使えないとか、うるさくて寝られないとか仕事に集中できないとか、そこまでの実害はないので、気にせず住んでいた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み