第27話 百物語2

文字数 832文字

 当日。
 事前に大雑把に決めたルールは3つ。

1.オンライン会議アプリで開催する
2.部屋の照明は消して、モニターの明かりのみにする
3.怪談は必ず心霊または妖怪絡みのものとし、狂人ネタ、犯罪ネタ、時空ネタなどは不可
4.伝聞でもネットで拾った話でも可

 3つめの補足をしておこう。
 いわゆる怪談サイトでは、怖い話のジャンルが多様化している。
 その中でルール3に該当するのは、金縛りに合ったとか、山で一つ目の化物に遭遇したなど、人智を超えた存在が関係する怪談に限られる。
 ベッドの下にオノをもった男が潜んでいる、みたいな話は、都市伝説としては秀逸かもしれないが、結局人間の話なのでボツ。
 異様な殺害方法を用いた未解決事件などは、確かに下手な怪談より恐ろしいものもあるが、やはり人間が引き起こしたものである以上認められない。
 トンネルを抜けたら何十キロも離れた町にワープしたとか、電車に乗っていたら突然無人の駅に迷い込んだなどの時空ネタは個人的に大好物だが、今回の趣旨と外れるのでダメ。

 約束の午後9時。
 5分前にオンライン会議アプリに接続すると、スグキラバーがすでにオンラインになっていた。
 おお、茶髪の女の子だ……深い意味は無い。
 そして時間ちょうどにマサル大王がログイン。
 いかにも文系の大学生といった風貌だ。
 初顔合わせで簡単な自己紹介を終えると、百物語が始まった。

 トップバッターは僕。
 オンライン会議アプリの裏で開いているメモアプリから、あまりメジャーではない怪談を語った。
 電車の中で向かいの座席の人の首が伸びて網棚からにらんでいるという話。
 怖いよりもクスっとされたが、二人とも知らなかったようなのでヨシとする。

 2番めはスグキラバー。
 いきなり学生時代の実体験という本気度の高い怪談をぶつけてきてくれる。
 週番で暗い校舎を見回っていたら、真っ暗な音楽室でドラムが鳴りだしたという話。
 2人で見回りをしていて2人とも聞いたというから、気のせいではないのだろう。
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