第26話 百物語1

文字数 935文字

 何年か前、ツイッターでホラー映画についてつぶやいたことがきっかけで親しくなったフォロワーがいる。
 最初は観た映画の感想ツイートにコメントをくれたんだ。

 感想と言ってもこき下ろす感じのものだったから、フォロワーが一気に3人も減った。
 だがそいつは「自分も、結局一番怖いのは人間系のオチはクソだと思います」みたいに同意して、フォロワーになってくれた。
 マサル大王って名前のヤツだ。
 それからは、僕が感想ツイートをするとマサル大王もリプライで感想を述べ、会話が続く……みたいな展開が恒例になった。

 そして半年くらい前かな。
 僕とマサル大王のやり取りに飛び入り参加してきたのが、スグキラバーってヤツ。
 僕らが「この作品はグロさが足りない」と話しているところに「それなら私も観られそうです!」みたいな感じで入ってきた。
 ホラー映画は好きだけどグロ系が苦手だから、観る映画を探すのに難儀していたらしい。
 確かめたわけじゃないけれど、スグキラバーはどうも女性のようだ。
 だからどう……というつもりはないが、僕らはスグキラバーも大丈夫そうな映画をいくつかピックアップして教えてあげて仲良くなった。
 お互い、ホラー映画の知識だけはちょっとしたものだったから。

 で、8月。
 お盆に入ったくらいのときに、最近テレビの心霊番組がバッとしないという話題になった。
 確かに、僕が子供の頃は夏ともなれば心霊番組が目白押しだった気がする。
 心霊写真の鑑定や、呪いの人形や掛け軸をお祓い、霊能者が心霊スポットに突撃――などなど。
 今年も番組表を見た感じ、あるにはあるようだが……動画投稿サイトの心霊特集みたいな感じのものばかりで食指が動かない。
 マサル大王が「世知辛い世の中になったもんですね」と言うと、スグキラバーが即座にこんな提案をしてきた。

「うちらでオンライン百物語しませんか?」

 自慢じゃないが、一人でも余裕で百物語ができるくらいは怪談のストックがある。
 ネットに書き込まれていたり人から聞いたりして「これは」と思う怪談は、スマホのメモアプリに系統ごとに分類して保存してある。
 マサル大王も二つ返事で賛成したのでその場でお互いの予定をすり合わせ、トントン拍子でオンライン百物語の開催が決定した。
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