第16話 ヨシエちゃん1

文字数 769文字

 ヨシエちゃんから相談があると言われてビックリした。
 だってヨシエちゃん、誰かと話してるの見たことないから。
 おはよう、って言うとニッコリしてくれるけど、おはようとは言ってくれない。
 授業で先生に当てられたときしか声を聞いたことないんだもん。

 お昼休みに約束して、一緒に校庭に行った。
 ちょうどブランコが2人分空いてたから、並んで座った。

「あのね宮内さん、わたし最近少し悩んでて」

 ヨシエちゃんがすごく小さい声で切り出した。
 あっ、宮内さんって私のことね。
 そっか、ヨシエちゃんは名字で呼ぶんだ。

「そうなんだ、どうしたの?」
「家のわたしの寝室なんだけど、何だかおかしいの」
「私で力になれるかな?
 わかんないけど、話してみて」
「うん」

 私はブランコをこぎ始めたけど、ヨシエちゃんはこがなかった。
 ブランコに腰を下ろしたまま、足でちょっと前後にゆするくらい。
 一年生っぽい女の子が、私のほうのブランコをめちゃくちゃ見てくる。
 代わって欲しいのかな。

「寝室にあるわたしのベッド、頭のほうに柵みたいのがあるの」
「いいなぁ、お嬢様みたい。
 私もそういうベッドが良かった」
「うん。
 でもね、柵なんてないほうがいいよ。
 青くて黄色い目の小さいおじいさんがしがみつくんだもん」

 青くて……目が黄色い……おじいさん?
 それって、もしかしなくてもオバケ?

「なにそれー」
「わからない。
 目が黄色いのがすごく怖くて嫌なんだけど、どうすればいいんだろう?」
「何かしてくるの?」
「ううん。
 しがみついてるだけで動かないから平気。
 でもすごく怖いんだ」

 なるほどね、恐怖体験の相談ってわけか。
 もしかして、私が視える人だってバレちゃったのかな?
 誰にも言ってないはずなんだけど。
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