第23話 渦潮マンゴスターチ3

文字数 752文字

 さすがに心配になって、会ったときに「誰と話してるんだ?」と聞いてみた。
 そしたらそいつ、半ギレで「渦潮マンゴスターチに決まってんだろ!」と怒鳴るんだが、検索してもそんなアカウントは存在しないんだ。
 と言うより、何だよ。渦潮マンゴスターチって……。

 時間が経つに連れて、タイムラインには発狂しているとしか思えない友人のツイートが流れてくるようになった。
 おかしいのが、それまで友人の過激発言に同調していたフォロワーまでもが「落ち着いてください」だの「そんなことを言っている人はいませんよ」だの言い始めたこと。
 しかしそれくらい、友人ははたから見ておかしくなっていた。

 それからしばらくして、友人は画像つきのツイートを行った。
 自分のスマホでツイッターアプリを開いたときのスクリーンショットだった。
 友人の、要約すると「熱中症は甘え」的なツイートに対するリプライがあって、アカウント名は渦潮マンゴスターチ。
 コメント内容は140文字に渡る「死ね死ね死ね……」。
 すぐに確認したけれど、そんなツイートはなかった。
 ま、ツイッターのスクリーンショット画像なんていくらでも捏造できるからなんとも言えない。
 会ったとき、無理やりにでもツイッター開いて見せてもらえばよかったかな。
 頼んだらめちゃくちゃ不機嫌になって断られたから、追求しなかったけれど。

 今、タイムラインに友人のツイートは流れてこない。
 電話番号も変えたのか、つながらなくなった。
 社会人になってからの友人なんて、こんなもんだよな。

 ただ、ツイッターではときたま同じような状況を目にすることがある。
 存在しないコメントに対して、むき出しの敵意で反論するツイートを。
 いわゆる霊感のない人には視えないツイートってのが、今の時代あるのかもしれない。
〈完〉
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