第47話 川辺のダンボール3

文字数 531文字

 ただただ消灯時間が待ち遠しかった。
 ずっと上の空で、風呂には入ったかどうか覚えていないし、マズいはずのメシも気づいたらなくなっていてラッキーだった。
 そして、約束の時は訪れた。

 はやる気持ちを抑え、俺含めた4人のメンバーで綿密な打ち合わせを行った。
 鑑賞中に先生に踏み込まれたときに備える必要があった。
 鑑賞するのは、ドアを開けても見えない二段ベッドの上。
 もしもの時は、スマホで動画を見ていたことにする。
 その場合、俺のスマホを身代わりに没収させる。

 実際に鑑賞を始めるまでは思いのほか時間がかかった。
 俺たちは死んだように静かにしているのに、他の部屋の連中が騒ぐものだから先生の見回りが終わらないんだ。
 空気を読めよ……。
 ようやく落ち着いたのは11時を回ってからだった。

 4人で手分けして運び込んだDVDを持ち寄って、俺たちは顔を見合わせた。
 レンタルビデオ屋で使われるようなケースに入ったDVD15枚なのだが、どれにも題名が書かれていなかったからだ。
 見つけたとき、浮かれすぎてよく確かめもせずに持ち帰ってしまった。
 もしかするとエロい内容ではないという可能性もある。
 考えていても仕方がないので、適当な1枚をプレイヤーに押し込んで再生ボタンを押した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み