第17話 ヨシエちゃん2

文字数 610文字

「塩かけるといいって聞いたことがあるよ」
「やってみたんだけど、お母さんに怒られただけだったんだ。
 ベッドがザラザラになるでしょ、って」
「そうだね、たしかに怒られるかもね」

 どうしよう。
 私、視えるけどおはらいみたいなこと全然知らないんだよね。
 そういうことなら、私じゃなくて隣のクラスの占いのできる今井さんに相談したほうがいいのに。

「うーん、あとはお経を唱えるといいらしいけど、唱えられる?」
「まさか。
 できたらとっくにやってるよ」
「だよねー」

 困ったな。
 さりげなく今井さんをすすめてみようかな。

「でも、何で私に?」
「同じだから、もしかしたら何とかしてくれるかなと思って」
「あっ、ヨシエちゃんも視える人なの?」
「も、って言うか……」

 ザリッと音を立てて、ヨシエちゃんはブランコをゆらすのを止めた。
 そして、すごく難しい顔をして前後に揺れる私を見つめつづけた。

「宮内さんも青くて目が黄色いから、何とかしてくれるかなって」

 いつの間にか、ブランコのギャラリーがすごいことになってた。
 そっか、私ってあっち側だったんだっけ。
 すぐ忘れちゃうんだよね、毎日、次の日になると忘れちゃう。

 ブランコに集まってる子のほとんどは、無人のブランコが揺れているように見えるかも。
 そしてごくごく一部の子は、青くて黄色い目の女の子がブランコに乗ってるのが視えるかもね。
〈完〉
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