第34話 物欲センサー5

文字数 413文字

 その次の日も、誰も訪ねて来ない。
 さらに次の日も……どうなってんだろ?
 たまたまあの女性が博愛精神に満ち溢れていて、貧困ゆえの犯罪を見逃してくれたのか。

 慎ましく有り難く使わせてもらった20万もいよいよ底をついて……次を考えなきゃいけない。
 次ってのは、強盗のことね。
 いざ実行ってときは緊張で手が震えるし、その後は毎日いつ警察が乗り込んで来るか気が気じゃない。
 すごいストレス。
 でも人間、金がないとやってけないのよね。

 夜遅く、前回と同じ場所でターゲットを待つ。
 同じように一人で家路を急ぐ女性を狙って……あとは同じ。
 ところが困った事に、その後の展開も同じだったんだ。

 戦々恐々としながら、警察官が自宅のインターホンを鳴らすのを待つ日々。
 なんで?
 どうして被害者は誰も通報しないんだよ!?

 自首したら執行猶予かなんかがついて、服役させてもらえないかもしれない。
 こうなったらもう、誰か殺すしかないのかなぁ……。
〈完〉
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