第35話 イタリアを取り戻す!

文字数 1,089文字

[世界の科学者]


未だにドロミューは解放されない。

科学界の代損失だ!

フランス政府は何をやっているのか!



*エジプトからデュマ将軍らとともに帰還途中で、難破し、シチリアに監禁されているフランスの科学者。31話「ナポリへの漂流」参照

[フランス外務大臣タレイラン]



世界の科学者たちが、大騒ぎをしている。フランスの名誉の為に、このままにしてはおけない。


ローマ教皇を通して、ドロミューの解放を要求してみようかと思います。

[第一執政ナポレオン]


ローマ教皇に頼るだあ?

そんな恥ずかしいことができるか!!

ドロミューの囚われている独房は、劣悪な環境だと聞きます。このまま彼が死んでしまったら、世界の学者から、フランスはどれだけ非難されるか……。
だいたい、フランスは、イタリアで勝利したはずだろう?

ラシュタット会議では、フランスに有利な条約を提案したはずだ。また、オーストリアとは、カンポ・フォルミオの和約を結んでいる。**


フランスが望んでいるのに、なぜ、ドロミューは解放されないのだ? 

イタリアは、フランスの支配下にあるというのに!



18話「ラシュタット会議」参照

**16話「タリアメントの戦い」参照。なお、この和約は、オーストリアに対しナポレオンが単独で締結したもので、ナポレオン初期の、大きな功績として挙げられている

それは……。

あなたがエジプトへ行かれてからというもの、フランス軍には苦難が続いたのです。

オーストリア・イギリス・ロシア、トルコの諸国は、第二次対仏大同盟を結び……。

対仏大同盟……

トルコは、まあ、俺のせいだが……ロシアまで!?



23話「諸国の思惑・カール大公の恋」参照

はい。

ロシアのスヴォルフ将軍は、ミラノを制圧、トリノ、マントヴァ、アレッサンドリアなど、次々と掌中に収めました。

なんだと!

私が手に入れたイタリアを、フランスは、あっさり手放したというのかね。

フランス軍は、ジェノヴァへ退却しました。

イタリアには、モローに代えて、勇敢なジュベール将軍*を総司令官として置いたと聞いた。



*ブログ「ジュベール将軍・モロー将軍」

33話「ブリュメールのクーデター」、参照

ジュベール将軍は、戦死しました。

……。

ロシアのスヴォルフ将軍の活躍によって、余裕が生まれたようです。連合軍は、カール大公をライン方面に差し向け……



24話「マリー・テレーズの選択」参照

もういい!

(立ち上がる)

第一執政、どちらへ?
決まってる!

イタリアを取り返す!

ドロミューはどうします?

シチリアから彼を取り返さないと、科学者どもが、我が国にとって不名誉なことを喚き続けます!

だから、イタリアを取り返すといったろう?
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登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

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