第32話 ナポレオンのくそ
文字数 1,128文字
[クレベール将軍@アレクサンドリア]
(ナポレオンからの手紙を読む)
わなわなわな
(怒りで震える)
※クレベール
※詳細は
くそっ!
ナポレオンのやつ、こっそりフランスへ帰りやがった!
こんな手紙一本で、エジプト遠征の後始末を、全部俺に押し付けて!
(わなわなわな)
まだエジプトには、2万もの兵が取り残されているんだぞ!
その大半が、ペストを患っている!
5万でトゥーロンを出航した兵は、1万5000にまで減っていた。
ナポレオンを乗せた船は、まず、故郷コルシカ島へ立ち寄った。
検疫逃れの為である。
下の弟ルイ*に、敵の旗を持たせて、一足先にパリへ帰らせたが、その際、コルシカ島に立ち寄らせた。
だから、知っている。
コルシカは、故郷の英雄ナポレオンに、検疫などという失礼なことをするはずがない!
外国からの船の検疫には、40日ほどを要する。
しかし、クーデター計画は、急を告げていた。
呑気に40日も待っていられない。
フランス本土へは、本来ならマルセイユから上陸しなければならない。
その点、フレジュスは寒村だ。のんびりしたものさ。
なにしろ、この船は、エジプトからの帰港ではなく、コルシカ出航、ということになる。厳しい検疫なんて、必要ない!
保健衛生上の規則を破りまくって、
……ナポレオンは間に合った。
その日。
ブリュメール18日に。