第6話 テルミドールのクーデター

文字数 1,190文字

1795年7月27日(熱月)、ついに、反動が起きた。

 

テルミドールのクーデターと呼ばれる、穏健共和派による政権奪取である。


撃たれているのがロベスピエール、それを支えているのが、彼の弟子、サン・ジュスト。


自殺とも言われているが、重傷を負ったロベスピエールは、翌日、断頭台へ送られた。


ジョゼフィーヌは間に合った。

彼女は生きて、カルムの監獄から出ることができた。

アレクサンドル・ボアルネは、元妻ほど運がよくなかった。

 

彼のギロチンが執行されたのは、クーデターの4日前だった……。


(心配する兄弟たちに)

 

大丈夫だ。何もするな。私は潔白だ。すぐに証明される。

テルミドールのクーデターの影響で、ボナパルト将軍もまた、逮捕された。

トゥーロン包囲戦の司令官に任命したのは、ロベスピエールの弟、オーギュスタンの庇護があってのことだった。その繋がりからの、逮捕拘留だった。



※4話「トゥーロン包囲戦」、参照

パリと南仏の間には、距離があった。この距離が幸いした。

11日後。

彼は、何事もなく釈放された。

しかし、南仏での任は解かれた。

1795年10月、ナポレオンは、パリへ移り住んだ。

 

 

彼は、政府首脳に接近し、ラザール・カルノーの知己も得た。

 

 

*戦争大臣。軍人、政治家、数学者でもある。軍の改革をした

**ブログ「ボナパルト兄弟 その1」

[軍上層部]

 

 

ボナパルト将軍。歩兵旅団の指揮官になる気はないかね。

えっ!

(傍白)


休暇を終えても軍へ戻らなかった件で、軍をクビになったのを、白紙にしてもらった上に、大尉昇進、その上、トゥーロンの功績で、24歳にして将軍にまでなった。


ロベスピエールの弟との繋がりで投獄はされたが、事なきを得た。


これは、さらなる出世の機会か?


(わくわく)



*4話「トゥーロン包囲戦」参照

君に、ヴァンデ地方の蜂起を鎮圧してもらいたいのだ。

歩兵旅団の指揮官でどうかね?

 

 

*2話革命戦争とヴァンデの蜂起」参照

または、ブログ「フランス革命からナポレオンの台頭へ」


ヴァンデの内乱は、当時、絶望的な状況を呈していた。

 


ここに派遣された人間は、殺人鬼か犠牲者になるしかないと言われていた。


 

内乱を抑え、同じフランス人を殺して殺人鬼になるか。あるいは、反乱市民軍に寛容的でありすぎるとして、中央政府からギロチンにかけられるか……。


ブッチします。


ヴァンデ派遣の打診を断ったことにより、フランス共和国軍への復帰は絶望と思われた。

 

(ひとりごと)


やれやれ。極貧生活に逆戻りか。



屋根裏部屋に住み、食事は一膳めし屋で、一日一回だけ。ひもじいなあ。

今さら俺に、軍務以外の何ができる?

いっそのこと、トルコ大帝の軍に入れてもらおうか……(悩)。


社交界の花、タリヤン夫人宅のパーティ。


(痩せて青白い顔)


…………。

[陽気な未亡人となったジョゼフィーヌ]

 

 

 

(ナポレオンのすぐそばを通りかかるが、気がつかない)

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登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

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