第33話 ブリュメールのクーデター

文字数 1,860文字


1799年11月9日(ブリュメール18日)。
[外務大臣タレイラン]


シェイエスとデュコ**は、総裁の職を放棄しました。

あなたも総裁を辞任なさることを、お勧めします。



*ブログ「タレイラン」

**ともに、総裁

[総裁バラス]*


うぐぐ。

ボナパルトをエジプトへやるんじゃなかった!



*ナポレオンとの関係は、第7話「ヴァンデミエール将軍」以降参照

[警察大臣フーシェ]*


(現れる)

ボナパルト将軍なら、すでにエジプトから帰ってますよ。



*ブログ「ジョゼフ・フーシェ」

えっ!?
そして、軍を指揮しています。総裁政府に反対する、ね!
………………。

(総裁を辞める辞表に署名する)


こうして、ブリュメールのクーデター、序章は幕を閉じた。


次の焦点は、総裁政府に代わる強力な権力を許す、憲法改正だ。


しかし、五百議会には、憲法擁護派が多かった。



*総裁政府の下部組織

[ナポレオン]


(議会に入場する)

共和政は行き詰まった!

私は、この失政に終止符を打つ!

[議員]


法外処分!

法外処分!



*いかなる法的権利も持たない状態

聞け!

権力は確立された。私は、共和制を守る!

[議員]


独裁打破!

独裁打破!

違う! 私は自由の為に貢献している!


諸君ら、五百人議会こそが、恐怖政治を目指しているのだ!



*立法府に置いて、5人の総裁政府に対し、下院の役割を果たす。

[議員]


そもそもボナパルトは、勝手にエジプトでの軍務を離脱した!

彼を軍事裁判にかけよ!

うぐぐ。


(顔をかきむしる。

 吹き出物がつぶれ、血が出る)


議員に詰め寄られる兄の窮地を見て、ナポレオンの弟、リュシアン・ボナパルトは、素早く議場を退場した。


彼は真っすぐに、軍の待機所に向かった。


[リュシアン・ボナパルト]


(軍人達に)


大変だ!

五百人議会の議員たちが、ナポレオンを殺そうとしてる!


その証拠に、兄は今、顔から血を流している!



4話「トゥーロン包囲戦」参照

 ブログ「リュシアン・ボナパルト1」~

 この時、五百人会(総裁政府の下院にあたる)議長

(兵士)

だが我々は、ボナパルト将軍の直接の部下ではない。なにより、我々の任務は、国会の護衛だぞ。



*ナポレオンは、数名の部下を連れて、エジプトから帰国したばかり

(ちょうど出てきたナポレオンの胸に剣を突き付ける)

「もし兄が、われわれがこれほどの犠牲を払って勝ち得た自由を侵害することがあるならば、私がこの手で兄を殺すことを誓う!」



*『物語 フランス革命』足立正勝(中央公論新社)


鼓笛隊が太鼓を打ち鳴らし、銃剣を持ち、軍はすみやかに議場に侵入した。


[ミュラ]


議員どもを、全員、摘まみだせ!



ブログ「ナポレオンの妹たち3カロリーヌ」

[議員]


軍事クーデターだ!

[議員]


殺されるぞ!

おい、そこの騎兵! 特別の任務を命じる!
[ミュラの信頼厚い騎兵]


はっ!

カンパン夫人の寄宿舎へ急行して、第一執政の妹さん**を保護するのだ!



*マリー・アントワネットの元侍女。ナポレオン政権下では、女子教育で有名

**ナポレオンの妹、カロリーヌ

はいっ!
[議員]


今のうちに、逃げろ!

逃げろーーーーーっ!!


議員たちは、窓から飛び出し、あるいは、兵卒を押しのけて、ちりぢりになって逃げていった。




こうして、ブリュメールのクーデターは成功した。



臨時の執政となったナポレオンは、他の2名の総裁、シエイシスとデュコを、元老院議長、副議長に封じ、力を削いでしまう。



それから、自ら第一執政となり、第二・第三執政には、自分の意のままに動く、カンバセレスとルブランを任命した。



新憲法が発布されたその日、彼は宣言した。

市民諸君、革命は、開始された当初の原則において固定された。革命は終わったのである。*



*『物語 フランス革命』足立正勝(中央公論新社)

このナポレオンの宣言をもって、フランス革命の終焉とする歴史家は多い。


バスティーユ襲撃(1789.7.14)から、

ブリュメールのクーデター(1899.11.9)まで、

実に10年の歳月が流れていた。






ナポレオンが「剣」に選ばれた……あのう。

この時代には イケメン 有能な将軍はいなかったのでしょうか。


そもそもナポレオンは、腐敗政治の大元・バラス総裁(倒されるべきターゲット)の懐刀だったはずですし。

7話「ヴァンデミエール将軍」参照


ジョゼフィーヌは、バラスの愛人だったはずですし?

あ、だから? 

8話「ナポレオン、最初の結婚」



その辺りを、ブログで探っています。

ブログ「イケメン将校を探しに」

ブリュメールのクーデターについて、調べたことをまとめました。


ブログ「革命の終結/ブリュメールのクーデター」

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

オーストリア皇帝フランツ


神聖ローマ帝国最後の皇帝でもある。

くそまじめで、四角四面な性格。

ロシア皇帝アレクサンドル1世


父パーヴェルの暗殺に関与または黙認し、即位した。

欧州の平和は自分が守る、と、固く心に誓う「騎士」。

フランス皇帝ナポレオン


あ、最後になっちゃった……。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色