第16話 タリアメントの戦い
文字数 1,274文字
この報を受け、イタリアにいるナポレオン軍は、ブレンナー峠を越えてチロルから進軍してくるオーストリア軍に対抗するため、左翼を精鋭部隊で固める必要があった。
峠から雪が消えれば、下からフランス軍が進軍してくる。
オーストリア軍は、タリアメント川に沿って布陣していた。
川は雪解け水に溢れ、危険な状態になっている。
3月16日午後、ナポレオンが、意表をついて攻撃に出た。
すぐに、ベルナドット軍が浅瀬を渡り、対岸のオーストリア軍に奇襲をかけた。
突然の奇襲に、オーストリア軍は、浮き足立った。
オーストリア軍は、傭兵の集まりだ。
彼らには、命を捨ててまで戦う理由がない。
兵達は、我先にと逃亡を始めた。
フランス軍は、カール大公軍を追いやり、タリアメント河を越えて、オーストリア領内に侵攻した。
この戦いを含め、ナポレオン軍はオーストリア軍を3度撃退、オーストリア領を行軍し続けた。
それなのに、民衆は消極的であるばかりか、反抗的ですらある※。
時間が足りない!
絶体絶命だった。
ところが……。
また、ライン左岸を巡っても、交渉を継続する約束を呑まされた。ドイツ問題解決の為、後日、ラシュタット会議が持たれることになった。
※半年後に、カンポ・フォルミオ講和条約として、再確認される。
※順に、
・カール大公からフランツ帝への報告
・フランツ帝がカール大公に書いた手紙
・ナポレオンがウィーンに送った書状
より抜粋
(『マリー・ルイーゼ』アラン・パーマー[岸本完司・訳])