第47話 地獄の仕掛け事件１
文字数 659文字
権力を掌握した者には、必ずこれを打ち倒そうとする者が現れる。
1800年12月24日、クリスマス・イブ……。
おい、支度にいつまで時間がかかるんだ？
［ミュラ（ナポレオンの部下・義弟）］＊
本当ですよ、義姉さん。ハイドン作曲のオラトリオ『天地創造』のフランス初演ですよ！ 聞き逃す手はありません！！
＊ナポレオンの妹、カロリーヌの夫。この年の初め、結婚した。33話「ブリュメールのクーデター」参照
ミュラ、お前、よく、舌を噛まずに言えたな。
第一執政が、公演に行くことは、新聞で報道されている。遅刻するわけにはいかないんだよ、ジョゼフィーヌ。
［ジョゼフィーヌ］
あーん。待って。このショールが……。
（いらっ）
もういい！ 先に行く！ お前らは後からついてこい！
こうして、若干遅れて、馬車は出発した。ナポレオンの馬車には、ミュラ、ランヌ*1、ベルティエ*2が同乗していた。
少し遅れて、ジョゼフィーヌ、娘のオルタンス*3、そしてラップ*4 を乗せた馬車が続く。
*2 ブログ「ベルティエ元帥」
*3 ブログ「オルタンス」
あれ。あんなところに馬車がある。道を塞いで、邪魔だなあ。
道の片側を塞いでいる馬車を、押しのけるようにしてナポレオンらの乗った馬車が通り過ぎた直後。
荷馬車は爆発、後続の随員８人が爆死、28人が負傷という大惨事になった。
ナポレオンの一行は無事で、後続のジョゼフィーヌの馬車では、オルタンスが手に軽い怪我を負った程度だった。
（オペラ座にて）
……。
（落ち着き払って姿を現す）
