第3話 貧乏士官
文字数 1,085文字
[ナポレオン・ボナパルト]
コルシカ生まれの私は、フランス本土で教育を受けた。
ブリエンヌの兵学校を出た後、パリの士官学校でも学んだ。
その後、国王の軍に入り、砲兵少尉にまで昇進した。
士官学校在学中に、父が亡くなった。
遺された母と、まだ幼い弟と妹たち。
私の薄給では、とてもじゃないけど、彼らの生計を支えられない……。
そうそう、ルイ、お前の教育は、俺がすることになった。お前ももう、12歳だもんな。そろそろ勉強のことも考えなければいけない!
ナポレオン兄さんとジョゼフ兄さん、リュシアン兄さんは、フランス本土で、きちんとした教育を受けられたのに……。
大丈夫だ! 初等教育くらい、俺にも何とかなるさ! 読み書き算数だろ? それと、軍務だ! ルイ、お前の将来は俺と一緒だ! お前も軍人になるんだ! つか、なるしかない!!
コルシカにはまだ、小さなジェロームがいるし、エリザ姉さんと、妹たちが二人もいるんだよ! あと、母さんも!
そうだな。家族は協力しなければならない。
もっとちょくちょく、コルシカへ帰ってみるか……。
コルシカ島……。
地元独立運動の指導者、パオリ派は、親英路線を進んでいた。
ボナパルト兄弟は、亡くなった父が、フランスの総督と仲がよかったので、地元のコルシカの指導者、パオリ派から、目をつけられていた。
地元で尊敬される志士パオリに逆らい、故郷コルシカに居続けるのは、危険だった。
ボナパルト一家は、コルシカを離れ、フランス、マルセイユに上陸した。
[フランス軍陸軍省]
ボナパルトはどうした? 3ヶ月の休暇が終わっても、帰ってこないじゃないか!
規則の守れないやつは、クビだ!
ボナパルトの後任を任命する!※
※1992年2月6日付
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