第46話 プロイセンへの接近
文字数 1,766文字
ドイツ諸国は、フランスとロシアの間にある。いわば、フランスの野望から、ロシアを守ってくれているのだ。
だから、ドイツの国々は、わがロシアの暖かい外套で包み込んでやらなければな。
側近にも告げず、ヨーロッパ国境に赴いたついでに、国境を越え、プロイセンのフリードリヒ・ヴィルヘルム3世*と王妃ルイーゼ*を訪問した。
ミタウに滞在していたフランスのブルボン家は、今、ワルシャワにいるのですよ。*
はっはっは。妻が頼まれましてな。
なにしろ妻は、
(傍白)
おや……。ロシア皇帝は、
*アレクサンドルの父、パーヴェルに追い出された
滞在は1週間に亘り、この間、観兵式や演習の見学、晩餐会、舞踏会などが催された。
アレクサンドルは、盛大にもてなされた。
彼は、国王夫妻に対し、常に愛想よく、にこやかに振舞った。
アレクサンドルは、この恋愛ごっこが楽しかった。
けれど、相手が自分に夢中になってくれれば、それで満足だった。
ペテルブルク
[側近]*
エリザヴェータ皇后のことはさておき、チャルトルィスキの言う通りです。ロシア帝国の威厳のこともお考え下さい。
以前は、地上の全ての君主が、亡くなられた
*シメオン・ヴォロンツォフ伯爵
**『アレクサンドル1世』アンリ・トロワイヤ[工藤庸子]